Scene is start...
長い長い廊下。
冷たく無機質なその回廊を歩いて行くと、その先に一枚の扉があった。
夕姫は感じる。
“この先に彼女はいる”
この扉を開ければ、君は彼女と対面することになるだろう。
|
夕姫 |
……ってなんで私に話しかけるように言うのですか?! |
GM |
演出の引きを創っているのですよ。 |
夕姫 |
あ、なるほど。 |
ジーク |
「この先に?」
確認するかのように、夕姫に声を掛ける。 |
夕姫 |
「わたしの中の“石”が共鳴しています。まず間違いないと思います」 |
ジーク |
「そっか。
なら、いこうか」 |
紡 |
「そうだね。行こうか」 |
夕姫 |
「リート。
朝海を、よろしくお願いします」 |
ジーク |
「ああ。やれるだけのことはする」 |
夕姫 |
「紡君。
私達を最後まで見守ってね」 |
紡 |
「言われるまでもない」 |
夕姫 |
では、扉を開けます。 |
ギィ――
重い音と共に扉が開く。
その先、眼前に広がるのはあの白い部屋、崩れた壁。
左右や扉こそ崩れてはいないが、向かって正面――鉄格子の窓の方は窓どころか天井も壁も喪われ、大きく崩れ落ちている。
その向こう、はるか遠くにある丘の上には、1本の桜の木。
だが、その桜の木は、枯れてしまっている。
部屋の中には少女がひとり、その木をその光景を眺めている。
さぁ……と風が流れると、その風と共に少女の黒髪と赤いリボンが揺れる。
朝海がひとり、ぽつんとそこには立っていた。
|
GM |
朝海は君たちの足音と来訪に気づくと、ゆっくりと振り返ります。
「桜……枯れちゃったんだ。
ね? やっぱり、かみさまなんていなかったんだよ」 |
紡 |
朝海のことばにしばらく沈黙していたけれど、やがて口を開く。
「確かに、神様はいないのかもしれない」
これには彼女から反応は……? |
GM |
朝海は微笑みを浮かべていますよ。 |
紡 |
「でも、朝海にはジークが、それにぼくたちがいるじゃないか」
ちょっと変則的ですが、ここでロイスを結ばせてください。
実験体になったみんなに対してのロイス、“ぼくたち”。関係は【遺志】。 |
夕姫 |
【遺志】ということは、死んだみんな……? |
紡 |
うん。
実験に関わって死んでいったみんな、そして今も生きているみんな。全員を含めてのロイスだね。
「ぼくたちは、朝海の力になることだってできるんだよ」 |
朝海 |
「私の力になる?」
さも不思議そうに、紡君の言葉をオウム返しに口にする。
「私が欲しいのは、ジークだけ。あなたがジークを元に戻してくれるの?」 |
GM |
朝海はそう紡君に語りかけた上で、今度はジークへと向かいます。
「ねェ、ジーク。なんであの子とまた一緒にいるの?」 |
ジーク |
あの子というのは……? |
GM |
夕姫のことですよ。
「ねえ夕姫。なんであなたも、ジークと一緒にいるの?」 |
翔 |
間髪いれずにここで割り込む。
「そいつァ、俺が連れてきたからだな」 |
夕姫 |
こ、このかける君のあっけらかんさが凄くうれしいっ……。 |
朝海 |
「連れて来た?」 |
翔 |
「ああ。俺がそこの白いのを巻き込んで、ユキ助けた」 |
朝海 |
「じゃあ、やめたんだ。私たち、入れ替わるの。あなたはやっぱり、私を裏切るんだ。
――裏切り者!」 |
夕姫 |
「……」
何も返しません、言いません、言い訳もしません。 |
翔 |
「ハハハハッ。
ユキの意志ならそうかも知れねえなあ? だけどあの装置さ、俺がぶっ壊しちまったんだ。
それを“裏切り者”って言うンなら、俺の方が“裏切り者”じゃあねぇかなァ?」 |
夕姫 |
ほんっとかける君が味方にいると心強いっ……。 |
朝海 |
「そっか、壊しちゃったんだ……じゃあ、しょうがないよね。
でも、それじゃあ、この力は、私だけのものなんだ」 |
翔 |
「ああ、そうなるな。アンタだけがとくべつだ」 |
朝海 |
「そっか、わかった。
じゃあ私、この力でジークを元に戻すね」
にこりと浮かぶあけどない笑み、改めてジークへと向かい視線を合わせて笑いかける。
「だいじょうぶ、ジーク。もうすぐだよ。もうすぐ、全部ぬりかえてあげる」 |
ジーク |
「……。
『あのときのように』とはいかないが、また今から新しく友達にはなれないのか?
君も私も変わってしまったが、その上で新しく先を視ることはできないのか?」 |
朝海 |
「“ともだち”って?
それって、私と関係をやり直すってこと? 私と一緒にいてくれないってこと?」 |
ジーク |
「あの時の私としてではなく、今の私として一緒に居たいんだ」 |
朝海 |
「だってジークは私と一緒にいてくれるって言ったじゃない」 |
ジーク |
「いまも、そういったよ」 |
朝海 |
「なんで? なんで“ともだち”からやりなおさなきゃいけないの? そんなのおかしいよ」 |
ジーク |
うーん、言い方が悪かったのかな……? |
朝海 |
「そっか。やっぱりこの人たちが邪魔なんだ。この人たちがいるからダメなんだ。
この街があるからダメなんだね。そっか、そうだよね。こんな街があるから――いけないんだ」 |
ジーク |
うーん……そうではないの、だが……。 |
朝海 |
「だいじょうぶだよジーク、私できるから。
この街をなかったことにするなんて、私には実はカンタンなことなの♪
だいじょうぶ、すぐにやってあげる――」 |
GM |
そういうと、朝海の髪がばあ――と、白く染まっていく。
歪な笑みを浮かべる蜃気楼の魔女、ファタ・モルガーナへと変貌する。 |
翔 |
「街を壊したところで、ジークをダチになることなんてできねぇぞ。
壊したからってダチになるわけじゃねえし、余計に嫌われることだってあるさ」 |
ファタ |
「何言っているの? ジークが私をうらぎるるわけがないじゃない」 |
翔 |
朝海の様子に軽くけらけらと笑いながら言いますよ。
「違うよ。アンタが裏切る行動をとってンだよ」 |
ファタ |
「わかんない、なに言っているかわかんない。私がジークをうらぎらないもの」 |
翔 |
さっすがジャーム、信じちまったら一直線だ話を聞かねえ。 |
GM |
ジャームに説得は、できませんよ。 |
夕姫 |
では少し割り込ませていただきます。
ポケットから、青いリボンを取り出して髪に結びます。
「あなたとの約束を破るつもりはないの。
ちゃんともう一度入れ替わって、今度はあなたが幸せになれるようにしてあげる」 |
GM |
リボンを結わえたことで対の姿になった夕姫と朝海。
その姿を見、言葉を聞くと朝海ことファタ・モルガーナは嘲り混じりの笑みを満面に浮かべる。 |
ファタ |
「ダメだよ、ゆきちゃん。だってまたうらぎるんでしょ?
2回も裏切ったんだもん。もう、ゆきちゃんなんて――信じない」 |
GM |
そういった瞬間に“領域”が一気に広がります。
クライマックス戦闘を開始しましょうか。 |
ごわり、“領域”が広がる。
それと同時に4人が立っている場所からヘクス状に何かが奔り、広がっていく。
広がっていくヘクスと共に奔る光と衝撃。
それと同時に部屋が“領域”が砕かれ、何か別のものへと組み上がっていく――。
|
GM |
ファタ・モルガーナを中心として、“領域”が蠕動し変質していく。
まずは君たちから見て左斜め後方、ゆるりと白い卵のようなものが浮かび上がる。
その卵に道化師のような意地の悪い笑顔が浮かび上がるかと思うとそれがぽん、ぽん、ぽんぽんぽん……。16個に分裂し、4体ずつトループを組み、“コンチェルト”と呼ばれる敵が出現する。
|
夕姫 |
うわ……嫌な感じが……。 |
GM |
次にファタ・モルガーナの近くで、魔術師の姿をした巨大な巨人が形成されます。
“ニライカナイ”です。 |
夕姫 |
“ニライカナイ”は巨人ですか?
あ、ということは私はコイツではありませんね。 |
GM |
そしてファタ・モルガーナの傍らに、現出する2つの存在。
ひとつはファタ・モルガーナを護るかのよう、楯と槍を持った白い騎士。
ひとつは吸血鬼のような姿をした、深紅の液体のような何かを操る者。
”ヴァイスリッター”と“カーナルディル”が現出します。 |
夕姫 |
エンゲージはファタ・モルガーナと同一でしょうか。 |
GM |
同一です。
そして、ウォーン、ウォーン……。
奇妙な方向が響いたと同時に、今まで現出したものたちも君たちも含め、まるでこの部屋全体がせり上がるような恰好で巨大な何かがせり上がってきます。
それは阿修羅の大仏のような4つの顔を持った存在。回転灯篭のように顔はくるくると回っている。
“庭園の主”という存在が出現します。 |
夕姫 |
阿東支部長の2つ名ではないですかそれは?! |
GM |
そして“庭園の主”の肩の上には道化師がひとり。彼は意地の悪い笑みを浮かべ、くるくるとその阿修羅の肩の上で回っている。
|
翔 |
ってこたー、そいつは“首つりジャック”か。 |
GM |
その通りです。
なお、“庭園の主””首つりジャック”に関しましてはHpを持っておらず攻撃もしてきません。 |
配置は――
PCたち
コンチェルト
“庭園の主” “首つりジャック”
――大まかにこんな感じ、点線が形成しているエンゲージです。
PC陣営は、全員同じエンゲージにいる状態からスタートします。
|
GM |
攻撃はしてきません、が――
ここで“庭園の主”のEロイス<庭園の規律>が発動します。 |
◆庭園の規律:1ラウンド目
移動を行った者には、重い罰を与えます。
|
GM |
<庭園の規律>に逆らってはなりません。
逆らったものには、重い罰が科されます。 |
ファタ |
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。
みんな、みんな真っ白にしてあげるんだからっ♪」 |
GM |
彼女が叫んだ瞬間、ドクン――。4人のレネゲイドが衝動に沸き立つ。
衝動判定、行ってみましょうか。 |
翔 |
衝動判定は[精神:意志]で、目標は…… |
GM |
今回は8、です。 |
サイコロコロコロ――
衝動判定がありますから、更にレネゲイドは活性化し侵蝕率も大上昇です。
|
夕姫 |
衝動判定とかいらないっ……! |
紡 |
夕姫の場合は流石にさっきの【ジェネシフト】、4D10は振り過ぎたのじゃないかなあ? |
夕姫 |
いえ、あれは最大を振る場面だったのでそこは―― |
GM |
ともかく衝動判定に失敗した人はいますか? |
PC’s |
(首を横に振る) |
ジーク |
敢えて言うが、47を振った私が失敗したら皆失敗している。 |
夕姫 |
高すぎますよ?! |
翔 |
冷静過ぎンのにも程があるっつーの、その出目は。 |
GM |
皆強いですね。
ではセットアップ・フェイズ。PC陣の行動値最速は11ですが、それより早く動く者たちが3人。
まずは先にエネミー陣営が、セットアップ・エフェクトを使用します。 |
夕姫 |
おや……? |
GM |
まずはヴァイスリッター、彼はオリジナルEエフェクト:≪プロフェッショナルガード≫
行動済みになる代わりにガード値がぐ〜んと上昇します。 |
ジーク |
……。 |
GM |
そしてカーナルディル、彼はオリジナルEエフェクト:≪プロフェッショナルレジスト≫
行動済みになる代わりに装甲値がぐ〜んと上昇します。 |
翔 |
へぇ? |
GM |
さらにニライカナイ、彼はオリジナルEエフェクト:≪リヴァイヴ≫
行動済みになる代わりにエネミー全体のHpがぐ〜んと回復します。 |
夕姫 |
もう良いですよGM?!
……ってあれ、コンチェルトは? |
GM |
コンチェルトは動きません。
意地の悪い道化の面が、ケタケタと笑っているだけです。 |
夕姫 |
それがセットアップですか。
ところで彼我の距離はどの程度でしょう? |
GM |
全て10mとしましょうか。 |
夕姫 |
了解です、では此方。
ちょっとルール的には微妙なラインなのですが≪クイックダッシュ≫≪原初の虚:融合≫
≪クイックダッシュ≫で戦闘移動、近づいて朝海とエンゲージ、≪原初の虚:融合≫を使用します。 |
GM |
夕姫、それは移動をしましたね? |
夕姫 |
え、ってあ……規律! |
GM |
では、重い罰を与えましょう。
夕姫が移動をした瞬間、庭園の主の方の上に乗っていた道化師がぴょん――
飛び降りて、ぴょん、ぴょん……近づいてくる。 |
道化師 |
「いけないねえ、君はこの庭園の罰則を満たした。
罰則を満たした人間は罰されるべきだ――罰を受けなさい」 |
GM |
紫色のガスがどお――と広がり、夕姫へと噴きかかる。
状態異常:邪毒ランク2をどうぞ。 |
夕姫 |
「……っ」
朝海をかばう形でガスを受けましょう。
罰則それそのものはどうでもいい程度のものではありますけれどっ……。 |
GM |
ところで融合対象は、朝海?
≪原初の虚:融合≫は融合を受ける方に拒否権がありますよ? 当然のように拒否しますよ? |
夕姫 |
当然でしょうね、そこで約束を持ちだします。
「私がいなくなれば、ジークはあなたのもの。そうでしょう?
2人に生まれてしまったのがいけなかったの。
だから、これからずっと私は、あなたの“影”になってあげる――」
こういいつつ彼女に触れ、≪原初の虚:融合≫を使用します。 |
GM |
それを聞くと、彼女は夕姫の言葉に耳を傾けます。
≪原初の虚:融合≫を許可しましょう。 |
夕姫 |
さらに即時成長で≪イージーフェイカー:異能の指先≫を習得します。
ひとまずはロール&演出と行動はここまでです。 |
即時成長は こちらです、今回はやり過ぎでなければOKにしてあります。
さて、夕姫は何をたくらんでいるのやら……。
|
紡 |
ぼくもこのタイミングで朝海に対してロイスを習得します。
感情はポシティブで【尽力】、彼女の力になってあげたい。
「おしつけがましいかもしれないけれど、きっと救ってみせるから」 |
ファタ |
「救う? 私を?
私はジークがいればあとはどうでもいいの、あなたの助けなんていらない」 |
紡 |
「それでも助けようとする意志をぼくは――ぼくたちは君に持つんだ」 |
ファタ |
「だったらもっと早く助けてくれればよかったのに」 |
紡 |
「遅かったかもしれない。でも、遅すぎたってことはないはずだ」 |
GM |
唐突に後ろから、戦闘に登場をしていないある男の声が聞こえてきます。 |
三坂 |
「そんなことはないよ。もう遅すぎたのさ。
だが君のやっていることは興味深い、このまま続けたまえ。
君に何が出来るのか、私が見ていてあげよう」 |
ジーク |
むしろ先に彼を倒すべきだったか。 |
夕姫 |
そうかも知れません。
ですがリート、今は外野よりも目の前のことに集中しましょう。 |
GM |
他にセットアップ・エフェクト使用者はいませんでしたね?
では行動値0、ファタ・モルガーナは―― |
夕姫 |
そこにロールで割り込みます。
「あなたが得るはずだった幸せの記憶、私はあなたに全て譲るわ。
≪異能の指先≫を使いなさい。
私の記憶、あなたが受け取って。私は抵抗しないから――」 |
GM |
おや。 |
夕姫 |
≪異能の指先≫は抵抗をしていない相手に対して使用可能、任意の記憶を読み取れる。
私が≪原初の虚:融合≫をしているから、朝海も今なら私が持つこのエフェクトが使えるはず。
ちょっとメジャーアクションを消費して、やってもらえませんでしょうかね? |
GM |
ふ〜ん、なるほど。ではメインプロセスが来たらやりましょうか。
とりま彼女は≪原初の白:限界突破≫を使用、これにてセットアップ・フェイズ終了です。
エネミーはほとんどが行動済みですのでPC陣が行動順にイニシアティブからどうぞ。 |
夕姫 |
私は≪原初の虚:融合≫中、その為に行動済みですね。 |
紡 |
でも、ここで攻撃をするべきかな……? |
ジーク |
ファタ・モルガーナに私たちの攻撃は届かないかもしれない、でも他のは潰しておく必要性はある。
急かないならば全員で【待機】を選び、彼女の出方を見るのも一手だ。
行動値:0のファタ・モルガーナは私たちが全員待機をしたら、私たちが動く前に必ず動かねばならないからな。 |
紡 |
ならばそれで行くね、【待機】。 |
ジーク |
もちろん【待機】だ。 |
翔 |
ユキは『信用して見ててくれ』とも言ってたしな、俺も【待機】だ。 |
GM |
全員待機ですか。ではコンチェルトも待機宣言でファタ・モルガーナの行動順。
彼女は夕姫の言葉に耳を傾け、メジャーアクション:≪イージーフェイカー:異能の指先≫を夕姫に対して使用しましょう。 |
夕姫 |
此方抵抗の意志は全くありません、ここから演出させていただきます。 |
夕姫が研究所で用済みとなり、UGNに記憶を植え付けられてから後の生活。
リートとの学校での、生活。
それが実体験の様に朝海へと流れ込み、追体験していく。
夕姫と朝海、2人がお互いの意識として、その記憶を意識を共有していく。
追体験しているさなかにふと気づくと、その意識の内に誰かが立っている。
赤と青のリボンをつけた女の子が立っている。
リボンを揺らし、黒髪の女の子が口を開く。
「ごめんなさい。
私、ちょっと奥手だったから、あんまりジークと楽しい記憶はないんだ。
けれど、あなただったらどういう生活をしていたのかな? 朝海。
――あ、これからは“わたし”か」
|
GM |
……。 |
夕姫 |
きっとシナリオに書いてある通りの流れですよね?
この位のことはやってくると、きっと思ってましたよね? |
GM |
……。 |
夕姫 |
な、なんでしょう? その表情……。 |
GM |
何かが足りない。 |
夕姫 |
え? |
GM |
何かが足りてない感じですね、それだけですか? |
ファタ |
「そっか、ゆきちゃん。ちゃんと幸せに生きてられたんだね?
いいなあ、ゆきちゃん……この幸せは、本当は私が、私が得るはずだったのに……」 |
夕姫 |
「それは、ちがうよ」 |
ファタ |
「違う? 何が違うの?」 |
夕姫 |
「貴方が得てきた痛みも、私が得てきた幸せも、もう同じものだから。
私はもう、“夕姫”として生きていくつもりはないから」 |
ファタ |
「そうやって、自分から逃げるんだ?
あなたが裏切らなければ、こんなことにはならなかったって、言ったよね?」 |
夕姫 |
「朝海、何を言っているの?
先生は言っていたでしょう? どちらにしろ私たちは裏切り合っていたはず、どっちかが選ばれるだなんて先生が決めたことなのだから」
|
ファタ |
「あなたが、あなたが残るはずだったんでしょ?」 |
夕姫 |
「違う。最初から2つの人生があるはずだった。今は分かれた人生が1つになっただけ。
貴方の痛みは私がもらう、この≪異能の指先≫があるもの」 |
ファタ |
「……」 |
夕姫 |
「勝手にひとりでならないでちょうだい?」 |
ファタ |
「そう。
それがあなたの結論なんだ、夕姫」 |
夕姫 |
「そうね。もう私は、他者と自分とを分ける壁で、自分を戒めるつもりはないから。
それはもちろん、あなたとも」 |
ファタ |
「でも、ごめんね夕姫。
――私、あなたのこと、大嫌いなの」 |
GM |
こういった瞬間、バチンっ――
夕姫の融合がはがされます。 |
ファタ |
「あなたと一緒に生きていくなんて、そんなことできるわけないじゃない!
だってあなたが裏切ったんでしょ? あなたが裏切らなければ私はこんなことにならなかったの。
私はいつもジークと一緒に居たはずなのに、なんで今さらあなたが私にくっつくの?
意味がわからないわ。
あなたはただ消えればいいのよ。
あなたになんて興味ないの、私はジークがいればそれでいいの。
要らないよあなた。じゃま。どっかいって?」 |
翔 |
こりゃキチぃ。 |
ファタ |
「ね、ジーク? こんな人要らないよね? だってこの子私を裏切ったんだよ?
この子がいなければ、私はジークとずっと一緒に居られたのに。ほんっと最悪だよね」 |
ジーク |
「……」 |
ファタ |
「だいじょうぶ。すぐにこんな子、元から居なかった子にしちゃうから――」
ここでファタ・モルガーナがEエフェクト・≪加速する刻≫を発動させます。 |
夕姫 |
も、もう一度メインプロセス発生ですか?! |
GM |
いぇす。
そしてメジャーアクション:≪さらなる力≫を発動、ヴァイスリッターを起動し夕姫を攻撃します。
――ところで“白騎士(ヴァイス・リッター)”は、本来どんな戦い方をしますかね? |
ジーク |
どう考えても私に対しての質問だな、GM。
騎乗してのランスチャージを騎乗なしで素でやる形だ。 |
GM |
ヴァイスリッターは低く槍を構えると、夕姫に対して猛進してきます。
(ころころ)――達成値46。 |
夕姫 |
避けられるわけがありませんよ?! |
GM |
(ころころ)――攻撃力は70でした。 |
夕姫 |
槍に貫かれ、大粒の涙をこぼします。
「そっか、残念です。でも、どうしてなんでしょう?
私もあなたのこと大嫌いなのに、今凄く傷ついています……」
<寺崎朝海>のロイスをタイタス化して昇華、起き上がります。 |
ファタ |
「もっと傷つけばいいの。私はあなたの何倍も傷づいたんだから。
だって――そうよね?」 |
GM |
その瞬間、先程まで融合していた残滓が夕姫の方へとフラッシュバックし流れ込む。
朝海が体験してきた記憶、それを全て追体験してください。 |
夕姫 |
「……っ!」 |
GM |
さらに続きます。≪加速する刻II≫、≪さらなる力≫を使用。
カーディナルが揺らめき動いて――さて、“深紅色(カーディナル)”はどんな動きをしますかね? |
翔 |
俺だよなあ、どう考えても。
血の流れを増幅させて手に腕に纏い紅の爪にし、力任せに切り裂きぶん殴る。 |
GM |
カーディナルは自らの周りに流れている液体を操って巨大な爪とし、夕姫へと襲いかかる。
(コロコロ)――達成値:49、当たったならば攻撃力:66。 |
夕姫 |
<阿東頼子>をタイタス・昇華。
「ごめんね、痛かったよね。でも、私はもうあなたのこと受け留めたもの。
この位で倒れたら、いけないでしょう?」
そう言って起き上がります。 |
GM |
待機組みどうぞ。
行動値は翔:8、ジーク:9、紡君:11ですから、行動値の小さい翔から行動してください。 |
翔 |
いわゆる戦術戦略全無視して行動すっぞ。
マイナーアクションで戦闘移動、夕姫や朝海達の居るエンゲージに飛び込む。 |
ジーク |
……罰則……。 |
翔 |
ンなモンは知ったこっちゃねえ、ユキの元に行く! |
GM |
では翔にも罰則が発動します。
駆けだす翔の足元から、くるくるとピエロが現れる。 |
道化師 |
「ダメだなあキミも本当に、規律を破っていいのはボクタチだけだよ?
キミが規律を破ったら、お仕置きだぁ」 |
GM |
邪毒ランク2、どうぞ。 |
翔 |
「……」
何を喰らおうが何を言われようが全てガン無視。
メジャーアクション:≪コンセントレイト:ブラムストーカー≫≪獅子奮迅≫≪渇きの主≫≪鮮血の一撃≫≪ブラッドバーン≫。 |
ジーク |
おや? それではかなり低いような…… |
翔 |
侵蝕率足りねえンだよ、≪マシラの如く≫ならギリ入るっちゃ入るが今はそのカードは切らねえ。
駆け抜ける中、腕を切っては血を流しては手繰って纏い、紅の鉤爪を造りだす。
飛びこむかのよう突撃し、ユキ以外を纏めて薙ぎ払う。
11D10+1、クリティカル値7――達成値は27。 |
GM |
すっと白騎士が動く。
≪砂の結界≫、ヴァイスリッターがファタ・モルガーナをカバーリング、楯となるよう庇います。
他はガードもドッヂも行いません。 |
翔 |
(ころころ)攻撃力も27、装甲値無視。 |
GM |
ヴァイスリッターのEロイス:≪拒絶の結界≫が発動。
白騎士への斬撃は見えざる壁に弾かれてしまいます。 |
夕姫 |
ちょっ……!
これってまさか、自分自身に対応する相手でないとつぶせない……? |
GM |
カーディナルにはダメージは通りましたが、ね。
翔の拳がカーディナルを貫く。だが次から次へと再生をしていく―― |
翔 |
ぶぁりと血が噴き、滴り落ちる。
触れて啜りはしたものの自身の攻撃の反動、Hp7点喪った。 |
夕姫 |
「ごめん、かける君。失敗しちゃった」 |
翔 |
くくっ、と薄く笑い返しとくよ。 |
ジーク |
次は私の番だ。
マイナーアクション:≪インフィニティウェポン≫≪ダブルクリエイト≫≪イオノクラフト≫
私も一歩後れ同じようファタ・モルガーナや夕姫の居るエンゲージへと向かう。
そしてこの瞬間私も動いた、邪毒を喰らうことになる。 |
道化師 |
「いやぁどいつもこいつも判ってないなあ。
君にも罰を与えなくてはいけないねえ?」 |
ジーク |
罰を喰らってから一瞥する。
「私はもうここの人間じゃない、ここの規則に従う理由はない」 |
道化師 |
「果たして、それはどうかなぁ?
子供はいつまで経っても親からは逃げられない……」 |
ジーク |
メジャーアクション:≪コンセントレイト:ノイマン≫≪マルチウェポン≫≪バリアクラッカー≫
「私の名を冠するというのならば、本物の突撃を見せてやろう」
ヴァイスリッターに対し突撃をする。9D10+5、クリティカル値:7で――達成値:59。 |
GM |
楯を構えガードはします、が…… |
ジーク |
≪バリアクラッカー≫の前に防御など無力、ガード値/装甲値ともに通じない。
攻撃力は95、装甲値・ガード値ともに無効。
ヴァイスリッターと同じ突撃だが、私の場合は巨大な楯に2つの騎士槍が合わさった歪な武具。
それを思い切り、白騎士に向かい叩きつける。 |
GM |
ヴァイスリッターはHpが0になり、崩れ落ちそうになります。
――が、彼は何故かそのまま立ち続ける。
Eロイス:<永劫の奴隷><さらなる恐怖>で造られたエネミーであることが判ります。 |
夕姫 |
倒せ、ない? |
ジーク |
例えHpが0になろうとも、クリンナッププロセス迄は立ち続けるという亡霊か。
ともあれ亡霊を貫いた武具を私の方へと引き、「拙いながら、これが突撃というものだ」 |
GM |
朝海はそれを見るとぱちぱちぱち、手を叩きます。
「あはっ、すごい。すごいすごいっ。さすがジーク、やっぱりジークは私のヒーローだねっ。
こんなつくりものなんかより、よっぽど強いっ」 |
夕姫 |
朝海が、朝海が哀れに……。
いや実際哀れなのですけど本当に、この子っ……。 |
紡 |
ぼくも行動します。
マイナーアクション:≪オリジン:レジェンド≫、これは正体を露わにすることでもある。
身体がぶれテクスチャー上になり、ぱちぱちいったりところどころほころびたりしている。 |
ジーク |
確か、もしかしなくても四十九院が全力を出したら…… |
夕姫 |
この辺一帯の敵なんていなくなってしまう、でしょうね。 |
紡 |
全力を、出すよ。
メジャーアクション:≪原初の赤:サイレンの魔女≫≪原初の白:クロスバースト≫
シーン選択の全体攻撃、対象はエネミー全て。
8D10+39、クリティカル値:10で――51。 |
夕姫 |
数値が、おかしい……。 |
紡 |
クリティカルはしないけれど固定値がものすごく高いからね。 |
GM |
ヴァイスリッターは再度≪砂の結界≫、ファタ・モルガーナをカバーリング。
他は誰も何もしません。 |
紡 |
攻撃力は69点、装甲値無視。
影が広がり散りみんなの想いが、“ぼくたち”がエネミーへと襲いかかる。 |
GM |
ヴァイスリッターは割愛、カーディナルはえーっと…… |
えげつない。
|
GM |
……。
カーディナルは今の攻撃をもろに受けました、ニライカナイもかなり一気に減りました。
そして、コンチェルトなのですが――ケタケタと笑い攻撃を受けます。
ですがAがBをカバーリング&≪虚無への回帰≫、Cも≪虚無への回帰≫ |
ジーク |
そいつらはウロボロスか。
確かそれは、ダメージを0にするエフェクトだったな。 |
GM |
そしてDはダメージを受けながら≪復讐の領域≫を使用、紡君とダメージがリンクし還ってきます。
ケタケタと笑う道化師の面のついた卵。
カチンと硬くなった12の卵と、パチンっ――と爆ぜ散ったもう4つ。
4つが爆ぜたその瞬間、紡君にフラッシュバックするよう何かが流れ込んでくる―― |
――なぜ、キミは生まれたのか。
――キミは誰で、どこから来て、どこへ行くのか。
「その記憶は、本当にキミの記憶かな?」
「それは本当に、キミタチの記憶かな?」
「その記憶は、誰のものではないはずだよ。なんでキミはそこにいるんだい?」
「――そこに居るキミは、”紡”じゃないはずだ」
|
紡 |
「確かにぼくは、あの場に居た”紡”じゃない。あの場に居た誰でもない。
でも、ここに居るぼくは、”四十九院紡”だ!
あの場に居た誰でも無くても、ぼくはぼくだ。”ぼくたち”だ!」
リンクされ69点ダメージを受けながらも即時成長、≪原初の黒:ラストアクション≫を取り発動。
戦闘不能直前にメインプロセス発生、同様のコンボで攻撃します。 |
GM |
来いよベネット! 掛かってこいよっ!
こちらも同様で、ヴァイスリッターはまた庇い他は何もしませんよ。 |
紡 |
侵蝕率はまだ160ではないから、でも補正は4D入って……(サイコロコロコロ) |
ジーク |
幻覚かもしれないんだが、私は悪魔を見ている、気がする。 |
夕姫 |
気のせいですよ。
ちょっと実験体仲間の中に、心強い味方がいただけですよ。 |
紡 |
――達成値:56。
攻撃力:70、装甲値無視。 |
GM |
うぁ……。
BはAをカバーリングして影と想いに喰いつくされ、Cは≪復讐の領域≫でダメージをリンク。
な、何の意味もないけれどっ……! |
翔 |
カーディナルたちは? |
GM |
……。
今ので、全部、沈み、ました。
カーディナルは身体が灰になるようにさらさらと崩れたものの、なお象りそこにあり続けます。
ニライカナイはドロドロと泥人形のように崩れては、再度魔術師の姿を象ります。 |
翔 |
そいつらもヴァイスリッター同様のEロイス持ちか。 |
GM |
コンチェルトは今度は8つ、ケタケタと笑いながらぱぁんと弾け飛びます。 |
紡 |
そしてこのメインプロセス後、<阿東頼子>のロイスをタイタスにして起きあがる。 |
ファタ |
「そっか。つむぎ君、そういう力になったんだ。つむぎ君だけ判らなかったんだ。
だってつむぎ君、居なくなっちゃったから――」
そう呟くとオートアクション:≪万象の虹≫を使用。≪原初の赤:サイレンの魔女≫をコピーします。 |
GM |
一連が終わりましてクリンナップ・フェイズ。
邪毒を貰った規律違反者は、邪毒ランク:2の6点ダメージを受けてください。 |
翔 |
ビキビキビキ――残りHp:21。 |
夕姫 |
残りHp5、か、かろうじて……っ。 |
ジーク |
痛いな、残りHp:29。 |
GM |
ヴァイスリッターはすうっと掻き消されるように、カーデイナルは灰のようにさらさらと崩れる。
そしてニライカナイは砂細工に水を掛けたかのように、どろどろと溶けて喪われていった。
そして領域がまたたきファタ・モルガーナのオリジナルEロイス:<白の螺旋>発動。
Hpが100点回復していきまして、次のラウンドです。 |
◆庭園の規律:2ラウンド目
リアクションを行った者には、重い罰を与えます。
|
GM |
攻撃を受けた場合に選べるドッヂとガード、どちらも選べばその瞬間罰則が科されます。
その戦闘型はもういないから杞憂でしょうが、カバーリングをした場合もガードを選んだ扱いとなりますから、その度に罰則が科されることになります。
なお、第1ラウンドの規律であった【移動】に関しては、この瞬間解禁されます。 |
夕姫 |
ではセットアップ・フェイズですね。
≪原初の白:サポートボディ≫、私とエンゲージしている2人に使用します。
侵蝕率によってエフェクトLvが上がりました、今度はダイスを+6個してください。
「ごめんなさいみんな。朝海と話したけれど、ちゃんと説得できなかった」 |
翔 |
「まあ、正直言やぁジャームとだべってりゃよくあることだから。
後は殴って――」バシン、拳を手のひらに打ち付け「――話し合いじゃねえの?」 |
夕姫 |
「そうだね。嫌われちゃったけれど、あの子の痛みは私が引き受けなきゃ。
最後まで立っているからみんな、お願いね?
もしどうしようもなくなったら、私も――アレを使うから」 |
翔 |
ククと、一笑に付しとくよ。 |
GM |
こちらはファタ・モルガーナは再度≪原初の白:限界突破≫
コンチェルトはケタケタと笑っています。 |
紡 |
トップはぼく、マイナーアクションでみんなの傍へと向かいエンゲージ。
メジャーアクション:≪原初の赤:サイレンの魔女≫≪原初の白:クロスバースト≫
――達成値:54! |
GM |
薄く笑うファタ・モルガーナとケタケタ笑うコンチェルト、エネミーは誰もリアクションしません。 |
紡 |
(ころころ)低っ、攻撃力は56・装甲値無視。 |
夕姫 |
それで低いとか何言ってるのですか?! |
紡 |
でも朝海には通じないかも知れないね。 |
GM |
(にこにこ)
コンチェルトはぱぁん、破裂しては≪復讐の領域≫が紡君を襲う。
そしてファタ・モルガーナに対して襲う影と想いは届く前に霧散する。何ひとつ効果が通りません。 |
夕姫 |
ちょ、ちょっと紡君、ロイス欄を見せてください?! |
紡 |
え、あ、うん(レコードシートを渡し) |
紡君のロイスはDロイス1つと通常ロイスが6つ、通常ロイスは以下の通り。
〆阿東 頼子|>【誠意】/不安
月見 夕菜|>【好意】/不安
桐生 翔|>【幸福感】/疎外感
ジークリート・ウェイスェンフェルト|>【懐旧】/嫉妬
“ぼくたち”|>【遺志】/不安
寺崎朝海|> 【尽力】/不安
この中で、[〆]がついている阿東頼子のロイスのみが先程タイタスとなっている。
|
夕姫 |
あ、朝海のロイスを取っているからですよ!
恐らく朝海と決別するなり乗り越えるなりで、彼女のロイスをタイタスにしないと通じない。 |
ジーク |
ふむ……。 |
紡 |
朝海にロイスを結んでいるから、通らない?
うーん、うーん……。 |
ジーク |
同じく寺崎朝海へのロイスを持っているのは夕姫と私。翔はもっていない。
ならばそれは、私が試してみるべきか?
だが四十九院はファタ・モルガーナへのロイスを持っていないから通じないのではないだろうか? |
夕姫 |
いえ、恐らくは結んでいるからです。
あの廃棄資料には『リンクが途切れた際の出力に不安がある』と書いてあります。
だから彼女にまつわるロイスを持っているとアウトなのだと思います。 |
紡 |
なぁるほど。 |
夕姫 |
で、そうするとですね?
リートの一撃を彼女に届かせるためには、リートは3つロイスを切らねばならないのですよ。
<夢の中の少女><寺崎朝海><ファタ・モルガーナ>と、リートは彼女にまつわるロイスを3つ、持っていましたよね? |
ジーク |
……。
私は攻撃、しなくても良いか? |
夕姫 |
そこは3つ切って攻撃してくださいよ、ジャーム退治の専門家。
ただものすごいメタ発言です、誰か≪インスピレーション≫……いや≪クエリィ≫使ってください。
GMに対して質問してみてくださいっ。 |
GM |
そんなものは許しません。 |
正確にはここでGMは許可できません。
そもそも≪クエリィ≫はDX3にはありません、あるのは別のゲームです。
≪インスピレーション≫はノイマンのエフェクトですから、ジークが即時成長するなら許可しますがね。
|
ジーク |
……。
やるべきか? 即時成長での会得と質問。 |
夕姫 |
無理はしないでください。それにあれはメジャーアクションを消耗します。
でも『そうじゃないかな?』とは思うのですよ。
私たちがファタ・モルガーナや朝海に執着している以上、彼女の力となってしまい届かない。 |
翔 |
執着っつっても俺もファタ・モルガーナへの絆・ロイスは切りたくねえぞ? |
紡 |
うーん。ぼくも朝海を助けたい、おしつけがましいけれど助けたい。
それにぼくはもう侵蝕率が、ロイスが、ロイスがっ……。 |
ジーク |
……。
この中で、やはり私がもっともロール的にも彼女へのロイスを切るのは適切な気がするな。 |
GM |
さて処理を進行していいでしょうか? |
紡 |
ま、待って、待ってください?!
練るので、タイタス化するロールを練るのでもう少し待って……っ! |
システム・メッセージ:紡君が長考に入りました。
|
紡 |
うーん、うーん、どういうロールで行けばっ……。 |
GM |
言っておきますが攻撃したいなら他の方も演出を考えておいてくださいね。
彼女に対するロイスを切りながらの攻撃の演出を、ですよ。
とはいえ無理に攻撃する必要なんてものはありません。
このセッションで最後にやることは、それで貴方が満足するかどうかですよ。
この結末に対し、君たち自身がどう向かうのが一番素敵か――それが最も大事なのです。 |
翔 |
ンじゃ俺は全力で口説く、説得してロールする。 |
夕姫 |
私はかける君がデレてくれたお陰で凄いほっこりしています、幸せです。
実は内心でちょっと『朝海とか良いかな?』って気になってますよ。 |
紡 |
良し、でき……ってあれ、ダメだ、これ……むしろ逆……か?
最後の最後で彼女に対してのロイスをぼくは取ったから―― |
GM |
隣では紡君がものすごい悩んでいるようですが、“攻撃しない”という選択肢もありますよ。
ロイスを切り攻撃するということは、つまりは【彼女を殺す】ということですからね。 |
紡 |
うーん、うーん……。 |
システム・メッセージ:紡君がさらに長考に入りました。
|
ジーク |
ところで私は次の行動順だが、待機宣言をする気でいる。
これで今回私は自分を喪いジャームへと堕ちるかもしれないが、それでもロイスを3つ切り彼女を斃す覚悟はできた。
その為の待機宣言だ。 |
翔 |
俺もちょっと別の理由があって、待機宣言するハラだな。
――こっちはその為のエフェクトなんざ持ってないけどな、それでもヤんぞ。 |
夕姫 |
あの、私の予想が違って大惨事でも、責任は持てません、よ? |
紡 |
でもこれしか今は方法がないよ。
「一方的に力になるのはこれまで。さあ、ぼくたちと一緒に歩んで行こうよ」
<寺崎朝海>のロイスを“関係の変化”という形でタイタス・昇華。 |
GM |
おや?
では紡君から広がった影の残滓、それがファタ・モルガーナへと届き、触れる。
ダメージや効果が通るようになりました。 |
紡 |
通るように、なった? |
GM |
なりました。
では次の方――というか行動値的には11で同時行動でしたね、夕姫どうぞ。 |
夕姫 |
朝海の目の前にすっくと立ち、手を振り上げて思いきりびんたをします。
システム的にはメジャーアクション:通常攻撃。 |
紡 |
え、て……通常?
夕姫はそもそも[肉体]が凄く低いし、何より今回セットアップで≪原初の白:サポートボディ≫を使用してた、よね? |
夕姫 |
……あ。
え、てことはダイスが5個減っちゃうから侵蝕率補正入れても1D10で――(ころころ)――1。
ファンブルー?! |
GM |
ばっ、パシン――
彼女は振りあげられた夕姫のその手をぱっと止め、反対に思い切り頬へと平手打ち。 |
ファタ |
「あなたに私を叩く権利なんてあるの?」
冷たい目を向け、言い放つ。 |
夕姫 |
「……」
言うべきことがないので、涙目で睨みつけます……。 |
紡 |
やっぱり≪原初の白:サポートボディ≫が足ひっぱったね。 |
夕姫 |
本当は言いたい言葉があるのだけれど、これを言ってしまったら終わりだから言わないっ……。
『叩かれるために叩いたのよ』だなんて、言ったらひととして終わりじゃないですか。
気持ちはそうなの、そうなのですが言ってはいけない。
ファンブルするって判ってたの、当たるわけがないって知ってたのっ……。 |
GM |
――そうですね。
では次の行動の方々……は待機でしたね。では行動値0、ファタ・モルガーナが動きます。
場に何もいなくなってしまった彼女は、動かすおもちゃがいなくなってしまったので君たちをきょろきょろと眺めながらにこやかに笑う。
|
ファタ |
「――ああ、そっか。この力があれば壊すのが楽になるね」 |
GM |
そういって≪原初の赤:サイレンの魔女≫をシーンに対して使用します。
達成値は8。ガードもしくはドッヂを選択すると規律を破ることになりますので注意してください。 |
ジーク |
そのまま喰らう。 |
紡 |
ぼくはあえて罰則を見る、ドッジを選択。
≪浄瑠璃の鏡≫併用して[精神:RC]で回避を試み――(コロコロ)――成功。 |
翔 |
ユキをカバーリング。 |
夕姫 |
……え? |
ジーク |
カバーリングするとガードを自動で選んだことになる上に行動済みになるけれど、良いのか? |
翔 |
あ? 構わねえ。
規律も破るし行動済みにはなるのはわかってる。が、それでもここはユキをかばう。 |
夕姫 |
……っ。
私かける君に一生ついていく。UGN抜ける。阿藤頼子帰れっ、あなたのせいですよっ! |
GM |
大体あってる。 |
翔 |
大体あってる。
大体あってンだけど、FH側の“首つりジャック”も一枚噛んでんだがな。 |
GM |
では翔・紡両名には罰則を与えましょう。
白いヘクスが細かく割れ、研究者の服を着た首なし男が現れる。
彼は首がないにもかかわらず声を響かせケタケタと笑い、液体をぶつけてくる。 |
翔 |
ユキに攻撃が向かいそうなところを割って入り、身代わりでその液体を攻撃を受ける。 |
道化師 |
「いやぁだめだよぉ。やっちゃいけないっていっただろぉ?
全く聞きわけのない子供たちだなあ?」 |
翔 |
「俺の聞き分けのなさなんてイマサラだって思わねえかぁ?」
せせら笑うよう、ケタケタと笑う。 |
道化師 |
「まったく、聞きわけがない子供たちだなあ……」
ケタケタと笑い、その言葉がリフレインしていく。 |
GM |
2人は侵蝕率をプラス5点ずつしてください。
そして≪原初の赤:サイレンの魔女≫を受けた組への攻撃力は7点、装甲値無視。
カバーリングを宣言した翔は倍の14点です。 |
紡 |
そしてここでドッヂ成功、即時成長で≪朧の旋風≫、Hpを一気に喪いながらも動きます。
侵蝕率は172、メジャーアクションで同様のコンボ、影が奔りぬける―― |
夕姫 |
仲間の、実験体の怨霊が集結していく…… |
翔 |
マジ帰れんのかそれ……。 |
紡 |
ヤバいかもね。
でもぼくは、ぼくたちはここは死んだ仲間と生きている仲間の想いを代弁して貫くよ。
――達成値:50。 |
GM |
ファタ・モルガーナはリアクションをしません。
ですが紡君にフラッシュバックが入ります。 |
白い壁、白い天井、自分の中で思い出した、あの景色――
ひとりの少女が絵を描いている。
その光景を、自分は見ている。
鉄格子の窓の向こうにある光景は、丘の上にある一本の桜。
だが少女の腕の中のキャンパスの中に描かれているのは、たくさんの咲き誇る、桜の木々。
|
紡 |
キャンバスを覗き込むと、外の風景と描かれている絵の風景が違うことに気づく。
「――。
そうだよね、ひとりぼっちはさみしいよね?」 |
朝海 |
「つむぎ君も、そう思う?」 |
紡 |
「まあ、そうだね」
ポリポリと、頬を掻きながらそう答える。
「別にひとりが怖いってわけじゃないんだけれど、やっぱりみんなと一緒に居たいよね」 |
朝海 |
「私ね、嘘でもいいと思うの。
こうやって――この、嘘の世界の中でも、少しでもこの木が幸せになれたら、それってきっとステキなことだと思うの。
これって、私のエゴかなあ?」 |
紡 |
「そんなことはないと思うよ。
例え嘘だっていい。幸せを願うことが悪いことだなんて思わない」 |
GM |
「そうだよね」
そういうと彼女は絵を描く手を止めて、鉄格子の向こうの桜を見、近づいていきます。
「私ね、ここを出られたら、あそこにたくさんの種を植えるの」 |
紡 |
「種?」 |
朝海 |
「うん。この桜の木が寂しくないように。
いつかきっと、何年も何年も先に、仲間と出会えるように――」 |
GM |
心の内を形にしながら、振り返り紡君へと向きあいます。 |
朝海 |
「だから、いつかきっと、ここから出ないと。
いつか、きっと、ここから出て、皆と一緒に幸せになるんだ」 |
少女が微笑みを浮かべている――……。
|
|
GM |
彼女の笑みが記憶の中にすっと差しこむ。
だが、いま目の前に居る彼女は狂ったように笑う、ただのジャームへとなり下がった。 |
夕姫 |
……。
『私ね? この桜の木の下に、夕姫の死体を植えるの』 |
GM |
すごく言いだしそうな微笑みですね。
木は既に枯れてしまっており、彼女は狂ったように笑いながらジーク1人を求め続ける。 |
紡 |
そんな朝海は見ていられない。
見ていられないという顔をするのだけれど、ちゃんと彼女の顔を見据える。
「こんなこと、終わりにしないと――」
攻撃力は76点。 |
GM |
通りますねえ。
ですがまだファタ・モルガーナは笑みを浮かべ立っている。 |
翔 |
紡を見てっと俺要らねえ気しかしねえよな、マジで強ぇ。 |
夕姫 |
いやいやいや、かける君いなかったら夕菜さん死んでますからね。 |
翔 |
……。
しょーみ、俺がいなけりゃユキが“愚者の黄金”を使ってた気はしてっけどな。 |
ジーク |
そうだね、君がいなかったら夕菜はもちろん夕姫も救われていないだろうね。
恐らく夕姫は己を壊すと知ってなお“愚者の黄金”を初めから躊躇いなく使い、ジャームへと堕ちてエンディングで私と対峙していただろう。 |
夕姫 |
……はい。正直、その可能性が、ありました……。 |
ジーク |
ともあれ次は私の番だ。 |
夕姫 |
待ってくださいリート、動くのを1ラウンド待つ気はないですか?
具体的には次のセットアップ・フェイズまで待つ気はないでしょうか? |
ジーク |
ん? 何か考えているね夕姫。では待とうか。 |
夕姫 |
ありがとうございます。
≪原初の虚:融合≫を併用しジークに力を預ける等を行うつもりです。 |
ジーク |
[行動放棄]を選択、悲しそうな目で彼女を見ている……。
なんと言葉を掛けようか。浮かんだ言葉、これでは朝海は救われない。
とはいえどジャームの時点でどうともならないのだが……。 |
GM |
双子の姉により受けた裏切り、ひとりぼっちで受け続けた凄惨な日々、それによって壊れた心。
一度壊れジャームへと堕ちたものはどうともならず、救うことなぞできません。
より正確には、救うも何も彼女を彼女として元に戻すことはできません。 |
翔 |
俺がアイツを口説いてFHに連れていくっつーのも、ジャームが居られる場所を提供するっつー意味でしかねえ。
どこで折り合いをつけるかの問題になってくる。
そしてここまで行くとアイツに届くのはジークの言葉だけ、説得するのはテメェの仕事だ。 |
ジーク |
ではひとことだけ。
「もう、あのころには戻れないんだね……」
そして視線を床へと落とす。 |
ファタ |
「あのころ? あのころに戻ろうとしてるんじゃない。私はずっとあのころのままだよ?
あのころに戻ってないのは、あなたの方だよ」 |
ジーク |
うーん……。
こう返ると、彼女を説得しようという形に心が動かない。 |
GM |
何度も重ねるようですが、彼女はジャームです。
説得なんてできません。 |
翔 |
説得が出来るかどうかじゃねえ。しようとする・するかどうかの問題っスよ。 |
ジーク |
もう私の中で割りきりが出来てしまった。その気すら起きない。
次のラウンドでロールをすることを宣言する。 |
GM |
ではクリンナップ・フェイズ。
邪毒を持っている3人は6点ずつダメージを受けましょう。 |
夕姫 |
「っ……!」
Hp0、リートのロイスをタイタス・昇華で起き上がる。ごめんなさいリート……。 |
翔 |
ぐっ……残り1、黄泉道の四つ辻ギリギリだ。 |
ジーク |
私も痛い、まだ2人に比べれば余裕はあるが……。 |
GM |
では3ラウンド目、セットアップフェイズで何かをもくろむ夕姫からどうぞ。 |
夕姫 |
規律はどうしましたか? |
GM |
おおっと、規律があったね。 |
◆庭園の規律:3ラウンド目
攻撃を行ったものには、重い罰を与えます。
|
夕姫 |
こ、このタイミングで攻撃への規律……っ!?
≪原初の虚:融合≫から与える力、≪原初の黒:ライトスピード≫とかやったらいけないのではないですか! |
ジーク |
≪原初の黒:ライトスピード≫はメジャーアクションが2回行動となるエフェクトだったな。
それが何だというんだ? 攻撃に使うと思っているのか?
君が持つ≪縮地≫も併用し、≪バックスタブ≫を乗せるように使うにきまっているじゃないか。 |
夕姫 |
ああ、なるほど。そういう発想になりますよね……。
ともあれセットアップ、ロールから入ります。
「ごめんなさい私のせいで、朝海ちゃんとの約束守れなくなっちゃって」 |
ジーク |
「んー……」
言い淀むよう、少しの間悩みを浮かべる。
「言いたいことがまったくないといえば嘘になるのだけれど、もう良いんだ」 |
夕姫 |
「朝海との楽しかった記憶、忘れないであげて。私の元にもあるから」
≪原初の白:サポートボディ≫≪原初の虚:融合≫で対象はリート、まずは≪原初の白:サポートボディ≫でダイス+6個してください。
|
ジーク |
了解。 |
夕姫 |
「ねぇ、私の“領域”内で、私の壁を壊してくれない?
全ては私が、あの子を羨んだせいで起こったことだから。
――もう、壁が大きすぎて、自分一人では壊せそうにないの」 |
ジーク |
ふぅ、と長いため息をひとつ。
「私はね、すごい不器用だから。やれることはいつでも1つだけ。
障害があれば、叩いてぶち壊す。
それが敵であっても、あなたの壁であっても、やれることは一緒」 |
夕姫 |
「それで私の壁と、朝海の心を救ってあげて」
セットアップの次行動は行動値9のリート、ここで私のエフェクトから≪クイックダッシュ≫を使用していただけませんか? |
ジーク |
OK。 |
夕姫 |
≪クイックダッシュ≫は戦闘移動を行うエフェクト。
それに対して此方から≪原初の紫:冥界の檻≫を使用、移動を妨害します。 |
道化師 |
「(ケタケタケタケタ……)」 |
夕姫 |
さあリート、対決判定と行きましょう。
≪原初の紫:冥界の檻≫の射撃攻撃という形で、冷たい何かが分厚い壁となってリートの前に立ちふさがります。ドッヂで回避して私の壁を乗り越え壊してください! |
ジーク |
え、あ? 夕姫何を言っている? |
紡 |
一見意味がない行動のように見えるけれど、これは凄く意味のある行動。
夕姫はドッジに成功したときにメインプロセスを発生させる≪朧の旋風≫も持っていたよね。 |
夕姫 |
(ころころ)――?!
≪原初の白:サポートボディ≫でダイスが減ってるのにクリティカル?! 達成値:17。
思ったより壁が厚かった……人生規模で壁造っているとものすごい……。 |
ジーク |
無理だ、避け切れない。
ならば<夢の中の少女>をタイタス・昇華、達成値を+10して夕姫の壁を乗り越える。
一回その壁に動きを阻まれてしまうのだけれど、そこに夢の中の少女がフラッシュバックする。
『だいじょうぶ、今助けてあげる――』 |
夕姫 |
ちょっとリートの宣言をジャックさせていただきます、していただきたいことを連ねますね。
移動に成功したので≪縮地≫を併用、一端エンゲージから離脱。
さらに回避に成功したからオートアクションで≪朧の旋風≫を起動、メインプロセスを発生させる。 |
紡 |
夕姫、その前に今の≪原初の紫:冥界の檻≫は、射撃“攻撃”だよね。 |
夕姫 |
あっ!? |
GM |
先程道化師はケタケタと笑っていましたよね、罰則のお時間です。
「イケないこだねえ?」
悪意が鼻につく声が響くと、夕姫の足元に道化が現れる。 |
道化師 |
「まったく。
どんなにがんばっても、この壁は壊せはしない。
だって、この壁が壊せないからこそ君は嘘をついたんだ。そうだよね、そうだったよね――?」 |
夕姫 |
「私ひとりでは無理かも知れません。
でも今は、力を貸してくれる友達もいるし、私を見守ってくれる人もいる。
だから、この壁が壊れるまで、諦める気はありません」 |
GM |
――Hpマイナス10です。 |
夕姫 |
死っ……いや、危ないHp1残ってる! |
ジーク |
夕姫の力を想いを借り、≪縮地≫で離れ、≪朧の旋風≫で発生したメインプロセスを動く。
マイナーアクション:≪原初の黒:ライトスピード≫≪縮地≫≪イオノクラフト≫で皆の処へと戻る。
第1メジャーアクションで≪イージーフェイカー:異能の指先≫、対象は夕姫。
朝海が受けた地獄のようなあの記憶、それを私も受け留め共有する。 |
夕姫 |
抵抗なんてしません。
あの子の楽しかった記憶も辛い記憶も、全て持って行って下さい。
その記憶が移れば移る程に、リートの武具が私の“領域”に、神々しい光に包まれる。 |
ジーク |
「……っ。
だいじょうぶ、朝海。いま、助けてあげるから――」
第2メジャーアクション:≪コンセントレイト:ノイマン≫≪バリアクラッカー≫≪マルチウェポン≫≪背教者の王≫≪バックスタブ≫
さらに<寺崎朝海>のロイスをタイタス昇華、クリティカル値-1としファタ・モルガーナへと攻撃。 |
夕姫 |
……?
って、切るロイスは<寺崎朝海>だけですか ?!
<ファタ・モルガーナ>のロイスがリートにはまだ残ってますよね、これで攻撃が無効化されたら終わりですよ?!
私もリートもこの一連のコンボで、一挙に侵蝕率が50以上上がっているのですからー?! |
ジーク |
だいじょうぶ、タイミング的には問題ない。 |
GM |
ですが彼女へのタイタスを昇華したのならば、きちんと演出をしてください。 |
ジーク |
≪イージーフェイカー:異能の指先≫の演出ではダメだろうか? |
GM |
……。
≪イージーフェイカー:異能の指先≫を使った“あと”にタイタスを切りました、よね? |
ジーク |
あ。そうだったな。 |
夕姫 |
語りかけてください、朝海ちゃんに。
もう彼女にはリートの声しか届きません。 |
ジーク |
「朝海」
彼女の目を見据え、対峙する。
喉から胸から言葉がうまく形にならず、ためらってはしばらく。
「言いたいことがうまくまとまらない、だけれど――まずは、忘れててごめんね」 |
ファタ |
「ジーク。ジークが思い出してくれて、私嬉しい」 |
ジーク |
「だけどね?」
ぐっと武具を握る手に力を込め、腰を落とし低い姿勢となり構える。
「“ファタ・モルガーナ”
あなたの行動は私の日常を壊そうとしている。だから私は、あなたを止める」 |
ファタ |
「何を言っているのジーク。
なんで“ファタ・モルガーナ”だなんて、そんな呼び方で私を呼ぶの?
もっとちゃんと私を見てよ」 |
ジーク |
軽く目を伏せた後、再度彼女を見据える。
「“朝海”
朝海がそんな力を使わなくても、私はもう、あなたの傍に居るから――」
言外にこの言葉には、『もうここで終わりにしないか?』という想いが籠る。 |
GM |
その結論は、判ってますよね?
淀みも影も何一つなく、屈託なく彼女は満面の笑みを浮かべる。 |
ファタ |
「うん、だいじょうぶ♪ もう全てを白く塗りつぶすのに、そんなに時間は掛からないよ。
だから――待ってて?」 |
ジーク |
「わかった」
決定的な隔意の壁を感じ、首を静かに横に振る。
「ごめんね、朝海。あのころのことを忘れたわけじゃない、大切なやくそく。
――だけどね?
今そこに居るあなたは、今そこでやろうとしていることは、私の敵になろうとすることなんだよ」
改めて、<寺崎朝海>に対するロイスをタイタス・昇華しクリティカル値を下げる。
10D10+5、クリティカル値:6――30! |
GM |
リアクションは行いません、受け留めましょう。 |
ジーク |
そしてこのタイミングで<ファタ・モルガーナ>のロイスをタイタス・昇華。
ファタ・モルガーナはSロイス、選択するのは[ダメージバースト]、ダメージダイスを5D増加! |
|
ジーク |
151点装甲値無視・ガード値無効!
低姿勢から渾身の力を込め、ぐーパンでぶん殴るような形で突く。
光を纏った歪な武具、その双の矛先が彼女を貫く。 |
ファタ |
「あっ……」
最愛の相手に無情にも貫かれ、何の気なく口から漏れる吐息。 |
夕姫 |
その双槍には私の“領域”が包んでいる。
“領域”は私のカタチを取り、朝海へと抱きつきます。 |
ファタ |
目からは嬉々とした光が失せ、断ち切られ拒絶された事実が虚無感へと面を染める。
「……そっか。
私たちが……私たちが消えれば、いいんだ……」
声色は寂寞が入り混じる。 |
GM |
オリジナルEエフェクト:≪絶対者の指先≫
このシーンに存在する、その全てに対して使用します! |
夕姫 |
「ごめんなさい、あなたはもう苦しまなくてもいいの。ごめんなさい……」
泣きじゃくりながら倒れていきましょう。 |
GM |
……。 |
夕姫 |
な、なんでそんな顔なのですかGM……。 |
GM |
無効化は? |
夕姫 |
そんなことがこのエフェクトに対して出来るのですか? |
ジーク |
出来るよ、夕姫だけ。
記憶を戻したその時に、出来るようになったじゃないか。 |
夕姫 |
……っ!
する。無効化します!! |
GM |
“誰”に対して使われた≪絶対者の指先≫の効果を無効化しますか?
任意で好きな数だけ、無効化することが可能です。
君たち4人は当然ながら、朝海ことファタ・モルガーナにも使われています。 |
ジーク |
朝海と私以外、といってもいいのではないだろうか。 |
夕姫 |
そうですね、リートが結果を出してくれるならばそれもありかと思います。
でも個人的に、かける君はSロイスなのも相まって助けたいのですよ……っ。
――ってあれ? そうなると“自分以外”への無効化、かな? |
ジーク |
違う違う夕姫。私の言葉の意味を勘違いしている。
朝海と私以外を無効化し、2人で喪われても良いのではないのだろうか? |
夕姫 |
あ、そっちですか。いやそこは……。 |
システム・メッセージ:夕姫が長考に入りました。
|
夕姫 |
朝海の望み、叶えてあげたい。
でも叶えたい? 叶えたいのですか、私。叶えたいんですかこのあばずれ、うーん……。 |
翔 |
いま何かちらっと黒い本音が見えたな。 |
ジーク |
ここで彼女の願いを叶えるならば、私と朝海を殺すコトだ。 |
夕姫 |
OK決めました、“私以外”を無効化します! |
GM |
演出をどうぞ。 |
夕姫 |
先に≪絶対者の指先≫の演出をください! |
GM |
“領域”が蠕動する。
水面に水滴が落ち、広がっていくかのように振動すると、白い“領域”は広がって全てを包み込む。
白はそのまま何もかもを飲み込み、丸まっていく――。 |
夕姫 |
その白い“領域”がふわり――ひらくと、黒い“領域”が周りのみんなを包んでいる。
ただ朝海に抱きついていた私だけがどさり、横に倒れる。 |
GM |
戦闘を終了します。 |
夕姫 |
朝海、残ってますよ? |
GM |
おおっと。
ではまだ続きますね、ごめん。 |
翔 |
セットアップ・フェイズ、まだ割り込めますか? |
GM |
まだセットアップ・フェイズなんですよねぇ。 |
翔 |
ンで、エンゲージ状態は? |
ジーク |
全員、同一エンゲージだったな。 |
翔 |
どさりと倒れたのを見るとおもむろに手首を切り、流れる紅を倒れた夕姫へとぽたり、垂らす。
「アンタ一人で全部背負って、逝く必要性なんてないだろ?」
≪赤き聖賓≫、対象は夕姫。彼女のHpを10にし戦闘不能から掬う。 |
紡 |
≪原初の虚:融合≫も消えてばらばらになっている上、翔は8、ジークは9で行動値も1歩後。
きちんと処理的にも間に合うね、この行動も。 |
ジーク |
私は彼のデータを見てから、行動値を1だけ上回る形で造ったしな。 |
翔 |
……テメェ。 |
夕姫 |
「ごめんなさい。また同じことやっちゃった……」 |
GM |
セットアップ終了してイニシアティブに行きましょう、行動値:11組からどうぞ。
なおファタ・モルガーナのHp殆ど残ってませんので、次攻撃した人がトドメを刺しますよ。 |
紡 |
いや、そうなんだけれど、どうしよう……。 |
夕姫 |
いや紡君、確かあなた今侵蝕率が私たちより余程高かった筈っ。
いったい何と争っているのですか?! |
紡 |
うん、いや、≪加速する刻≫と争ってて。 |
確かにファタ・モルガーナの行動順が来たら≪加速する刻≫≪加速する刻II≫併用しますよ。
≪サイレンの魔女≫3連発のオンステージですよ。
|
翔 |
やめろ、やめとけっ、お前侵蝕率もう191なんだぞっ。
これ以上日常に戻れなくなる率高めるんじゃねーっ!? |
ジーク |
大丈夫だ四十九院、さすがに今度は待機しない。
私が彼女の止めを刺すよ。 |
紡 |
じ、じゃあ【待機】します。 |
ジーク |
では私が規律を犯しながら引導を渡す。
規律の罰則、Hp−10を受けると相打ちの形になるが、このメインプロセス自体は動ける。
メジャーアクション:≪コンセントレイト:ノイマン≫≪マルチウェポン≫、最後に一発ぶん殴る。 |
GM |
リアクションはしません、受け入れます。 |
ジーク |
――達成値60、攻撃力94点・装甲値&ガード値ともに有効。 |
GM |
倒れます、演出をどうぞ。 |
ジーク |
「友達を殴るのにこんな仰々しい武器は要らないよね」
そういうと手に持つ歪な武器が、白手袋へと変質する。
握りこんだその拳が、深々とファタ・モルガーナのボディへと突き刺さる。 |
――フラッシュバック。
朝海のあどけない笑顔、泣きじゃくる姿、白い家での数々の記憶。
ジークと別れてからの朝海の絶望、苦しみ、狂う程の辛い記憶と想い。
その間に起きた出来事、夕姫とジークが過ごしていた数々の記憶。
そして――今回。
溢れてよぎるは数々の記憶。
「あなたの痛みは、私が背負ってあげるから」
意識せずに毀れて落ちるは、ひとすじの涙。
白の騎士は言葉と共に、何かを振り切るようその拳を振り抜いた。
貫く想いに耐えることもできず、蜃気楼の魔女の身体は崩れ、倒れ伏す。
力無く崩れ落ちるその最中、彼女はジークの頬に手を当てた。
にこり――微笑みが浮かぶ。
「ジーク……先に行って待ってるから……。
今度こそ、向こうでは、ずっと……一緒に、いようね……」
最期の言葉。
はたり、力無く落ちる腕。
抱きとめられた彼女の身体は少しずつ温もりが喪われ、冷たく動かなくなっていく。
命のともしびは消えてゆく。
|
ジーク |
「あちら側に行ったら、今度こそ――ずっと一緒にいようね」 |
...Scene is end.