ミドルフェイズ/Middle phase section 4

Scene 19:トリガーイベント:残酷な真実

Scene is start...

 情報端末の前で問答を続ける5人。そのとき、突然、爆音が鳴り響いた。
 そして、それに続くようにして、ひどく不快感をもよおさせる甲高い笑い声が響く。
「クハハッ、どうしたUGN! ちっとは抵抗してくれねぇと面白くないぜ!」
 相手の心を逆撫でるようなあの声は。“バンダースナッチ”千木良昭仁のものだ!
GM  UGN支部の、医務室に近い場所が襲撃されています。
「……! あの声は!」
アルセーヌ 「オー……セッカチですね、あのわんわんヤローも」
「皆! 話はまず、敵を片付けてからよ!」翻り、駆けて行こう。
時夜 「……っ! スバルねーちゃん!」駆けだします。
アーリアル 「時夜くん、こっちっ! ちかみちっ!」と先導する。
時夜 「あ、アっちゃんサンクっ!」
GM  君たちが駆けつけると、医務室の前の廊下で千木良がUGNエージェントたちをなぎ倒しています。
千木良 「ふんっ、やっぱりきやがったか! クハッ! 面白くなってきたぜ!」
「……」
 部下がやられているのは見過ごせない。割って入って行こうとします。
「止まりなさい、バンダースナッチ!」
アルセーヌ 「オー、アキヒト。早いお着きネ。ママンのオッパイのティストどーでしたカ?
 いちおーサジェストしときますケド……そのヒトタチから犬ッコロどけてニゲるなら、ジャスアリトゥ延びますヨ? 寿命」
千木良 「け、言うねぇアルセーヌ。お前こそ、今しっぽを巻いて逃げれば許してやらないこともないんだぜ?
 しかし、てめえらも物好きなやつらだなぁ。なんであんなやつを守るんだ? あの女は……いや、あれは所詮――――」
―――死んだ人間に擬態しただけの化け物だってのによ!
千木良 「永見昴は半年前に死んだんだ。FHに入るための手土産に、あいつがいたUGNの研究所をぶっ潰した俺が言うんだから間違いねぇよ。クハハッ」
アルセーヌ 「……そーですネ、それは間違いナイ」
千木良 「そうとも、今の奴は偽者なのさ。永見孝三が研究中に偶然生み出した知性を持つレネゲイド――レネゲイドビーイングってやつが、永見孝三の記憶を頼りに擬態しているってわけだ」
時夜  パンダースナッチの科白を聞いた上で 「ねーちゃん、大丈夫?!」
 彼女のそばに近づこうとします。
GM  昴はこの場にいません。あくまで、医務室の前の廊下ですので。
時夜  *おおっと*
 じゃあ医務室の方に向かって行ってる、程度に置き換えて貰えると助かりまーす。
「……こんなの、なにが面白いんだよ。辛いだけじゃないか」
 千木良の前に立つ。こいつが今の状況を楽しんでるのは、見ればわかる。イライラが収まらない。
 どいつもこいつも。
「昴の死を、これ以上弄ぶなよ。……クソやろう」
千木良 「面白いさ、こんな化け物、そう簡単にお目にかかれるわけじゃねーからなぁ!
 それにやつの記憶には欠損があるだろう?
 なんでだと思う? クハハッ! 原因は簡単だぜ?」
アーリアル 「えと、本人じゃなくて、他人の記憶の再現、だから…………?」
千木良 「おっと、嬢ちゃんなかなか察しがいいねぇ。
 そうとも、あれは永見昴本人じゃなく、そいつを知ってる人間の記憶を元に擬態しているから不完全な記憶しか持てないんだよ。
  お前らが守ろうとしているあれは、永見昴の記憶や心を引き継いですらいないってわけさ、傑作だなぁ! クハハッ!!」
「……」
千木良 「それでも、本人は完璧に自分が孝三の娘だって思い込むようになってるせいか、自分がレネゲイドビーイングだってことは忘れちまってるみたいだがな。
 それにしても、永見孝三も大概な奴だったよ。あの化け物を本気で自分の娘扱いしやがってな。痛い目にあわせてやっても何も話やがらねぇ。結局、死んじまって永遠に黙ることになったけどな、クハハッ!」
アルセーヌ 「……随分、お喋リになりましたネ、いいたいコトはそれだけでですカ?」
千木良 「おっと、興が乗ってしゃべりすぎたか?
 まぁ、それももう終わりだ。俺があの化け物を手に入れてな。
 お前らに偽者を守る義理はないだろう? おとなしくあの化け物を俺に渡しな」
時夜 「ヤだ。
 ギリやらギムはないのかもけど気持ちはある、ていうかー…… お前みたいなのに好き勝手されるのが ヤ」
アーリアル 「こ、ここからさきは…………か、関係者以外立ち入り禁止なので、おひきとりくださいっ」
 周囲の空気が少しずつ凍り始める……。
「……黙りなさい、バンダースナッチ。これ以上この場で暴れることも――『彼女』を冒涜することも許しません。皆さん、戦闘の準備を――彼女を、守ります」
アーリアル 「せんせいが守ってって言ったから…………私はスバルさんがスバルさんでも、スバルさんじゃなくても、その…………まもらないといけないのっ!」
アルセーヌ 「スバルはモウ還りまセーン……そんな甘っチョロイファンタジィ、ホンキで信じテルヒト、ここにはイマセン。それでも……キミはチョット悪趣味デスよ? アキヒト」
「……もういいよ。これ以上話していたらどうにかなりそうだ。バンダースナッチって言ったっけ、お前は絶対許さない。昴の仇、今ここで討たせてもらう」
 “領域”を展開。本当にこいつの存在にはもう耐えられない。
アルセーヌ 「何より、キミがコーゾーのことを口から出スノを、ボクは許しません……絶対に。
 キミの様なオトコには一生理解できナイでショウが」
GM  そのタイミングで君たちの後ろからカタン! と物音が鳴ります。
 みれば、医務室の扉が開いてそこからスバルが、真っ青な顔で君たちをみている。
「あたしは永見昴じゃない……? う……あ……!」
アーリアル 「ス、スバルさん!?」
 医務室から出たスバルに顔を向けます。
 彼女が苦しんでいるのはわかるけど、かけるべき言葉はありません。無視して千木良に向き合います。
「……」
「う、うそ……、嘘……あたしが、偽者……?」
アルセーヌ 「!? トキヤ! スバル連れてエスケープしなサイ!! ASAP!」
時夜 「ねーちゃんっ?!」
 アルセーヌの言葉聞くや否やスバルさんとこに行って、手引っ張って外に連れて行こうとします。
アーリアル  時夜君と一緒にスバルさんと一緒にいこうとします……怖い……の。
GM  では2人が駆けつけるんですが、たどり着く前に……異変が起こる。
「あ……う……か、身体が……熱い……! ああっ!」
 その瞬間、どろり、と、彼女の身体から赤い塊が零れ落ちた。
 それは、みるまに獣の姿を形どり……あの、キミ達が対峙した、赤い獣へと変化するッ!
時夜 「……っ?!」
 スバルさんからバンダースナッチが出てくると驚く。目の前でいったん止まる形に。
「……これは……?」
 バンダースナッチの能力? そんな馬鹿な……?!
「あ、あたし、こんな能力もってないのに……なんで……」
千木良 「俺の“バンダースナッチ”を取り込んだのか! 他人の記憶とレネゲイドをもとに擬態する。それにより能力をも取り込む、本当にそんなことができるなんてな!
 クハハッ、いいぜ、すげぇじゃねぇか!」
GM  スバルは頭を抑えて、真っ青な顔でつぶやく。
「あたし……あたしは……化け物なの……?」
千木良 「こいつはうまくイジってやりゃあ、全シンドロームを操る最強の怪物にできるかもしれねぇ。たまらなく欲しいぜ。くく、クハハッ!」
「……いえ、貴方はもう、何も手にすることはできません」
 目を伏せた少女から出た言葉は、氷のような冷たさを帯びていた。
「ここまで好き勝手した以上、まさか無事に帰れるなんて考えは持ってないという認識で良いですね?」
時夜  多分に邪魔されるだろうけどやるだけはやる。
 バンダースナッチを避けてスバルさんの手を引っ張ってこの場から離脱を試みる!
「あたし……あたしは……いやぁぁぁぁ!」
 彼女は錯乱状態になって部屋から飛び出してしまう。
アルセーヌ 「スバル!? ストップ!!」
GM  時夜が必死で彼女に追いつこうとするも、バンダースナッチに邪魔をされて思うように動けない!
アルセーヌ 「……シット、とりあえズ、そこのワンコなんとかシマしょウ」
GM  さらに、千木良がキミ達を飛び越え、彼女の後を追う!
「――っ。待ちなさいっ!」
千木良 「悪いね支部長さんよ! あんたらは後回しだ、俺はあれがなにがなんでもほしくなっちまった! じゃあなぁ!!」
アーリアル 「きゃ、ま、まって…………!」
アルセーヌ 「アキヒトォおおおお!! 待ちヤガリなサイ!! ……シィイット!」
「……もうやめてくれよ。昴を冒涜するのは……先生……あんた、なにがしたかんたですか?  ……先生」
GM  と、いうところで。君たちの前に立ちふさがるバンダースナッチとのミドル戦闘が発生するらしいんですが、省きます。演出で戦え!
ロールと演出重視ですとミドル戦闘はしょせんこんな扱いです。
GM  まぁ、戦いたいという希望があれば戦わなくもないですが。
時夜  むしろわんこを跳び箱みたいにして飛びこえてさっさと行きたい派ーっ。
 GM演出だけで構わないので敵を任せて昴追います。
GM  すきになさーい。昴と千木良は既に退場しています。
アーリアル  血の獣が動こうとした瞬間、その足が凍りついていてボキッ、と折れる。
 アーリアルは子供泣き状態で、気がつくと周囲が無差別に凍り始めている。
時夜  アッちゃんが折ってくれた血の獣飛び越えて、さっさとUGN支部あとにする。
「全員、この場は一瞬で片付け、すぐに追いなさい。彼女を――バンダースナッチよりも早く!」
 先程戦った獣が相手だ。その立ち回りも、弱点も全て『見えて』いる。それを――皆に伝えるだけで、状況は一変する。
 演出で≪ファンアウト≫≪戦術≫≪常勝の天才≫。
アルセーヌ 「……どけ、邪魔デス」凍らせた獣の急所に容赦なく弾丸を撃ち込ミマス。
GM  真と時夜が獣の隙をついて戦場をすり抜け、昴を追う。
 その後ろでは、獣と3人の戦いの音が響く……というところでシーンを閉じますよ。
「……やれやれ。私が言う前に行っちゃって。
 というか私が戦えないの知っててこうなんだから」
 はぁ、と先走った2人にため息。
「ま、何とかなったから良いけど。アーリアルちゃんと、アルセーヌさんも彼等を追って下さい。
 私は……」一拍置き「……私も、すぐに追います」
アルセーヌ 「ラジャー、マイマスター……恩に着マス」ボクも追っかけるよ!
アーリアル 「うわぁぁぁぁあんっ! ああああああああああああああああああぁぁぁ…………」
 シーンアウト直前に、泣いてぐずってるならアーリアルを宥める役に回っておきます。
「もう大丈夫だから、ね」そんな言葉が聞こえてフェードアウト。

...Scene is end.

GM  さて、トリガーイベントが終了しました。 以降スバルの行方を追う判定を行えます。
 難易度8の[知覚]もしくは[情報:噂話]に成功することで昴の居場所を探し出せますが、同時に、直後に発生するイベントのあと、クライマックスへ突入します。
 ですので、自由にシーンをまわすのはここが最後のチャンスです。
時夜  はーい。
GM  それはそれとして、スバルにロイスを持っている方。
 今ここで、そのロイスをタイタスにするかどうか選択してください。
 スバル――つまり“今の昴”だよね、ならタイタスにするよ。
 ってか、もともとタイタスみたいなものだし。
時夜  ロイスのままー。 【憧憬】/敵愾心の意味が少し変わるけどロイスのままっ。
 裏切ったとか死んだとか思ってないしね、ボクは少なくとも。
アーリアル  そもそもロイスを持ってなかった……ので変えようがない。あくまでせんせーの為。
 むしろこれから“今の昴”にロイスを取ります。【庇護】/悔悟。
アルセーヌ  ソウイエバロイス、取り忘れてまシタね。 【庇護】/脅威でロイス取リマス。
GM  了解です。
Scene 20
GM  では、シーンを回しましょう。
 この先はシーンを造りたい人に作りたいだけやってもらおうかとおもいますので、挙手でシーンを作製してください。
アルセーヌ  あ、GM。マコトとラブシーン作ってイイデスか?
GM  どうぞ。
 んじゃ、侵食振りますー――10、これで85か。
アルセーヌ  ボクは94まで上がりマシタ。
 では夜景をバックに真を抱き寄せ(ry
 もとい、外に出てスバル探しに失踪してる段階でマコトクンに尋ねますネ。

Scene is start...

 N市をただいま疾走中。
「見失ったか……くそ……」
アルセーヌ 「そういえばマコト、まだ聞いてませんでしたネ」
「……なにがだよ?」
アルセーヌ 「簡単なクエッチョンです。キミは、今のスバルを見つけて、ドウしますカ?」
「……守るよ。昴としてじゃなくて、UGNに助けを求めてきた保護対象として」
アルセーヌ 「……デキマスカ? キミに。ボク、少し不安ネ」
「……昔さ。UGNの施設でまだ教導を受けてた頃なんだけど」
 唐突に、ぽつりぽつりと話し始めます。
「チルドレンの情操教育にって犬を飼っていたんだ。アルファっていうんだけど、賢いやつでさ。僕は犬苦手なんだけど、アルファだけは怖くなかった」
アルセーヌ 「ワンコ、ボクも好きですよ……紅くないなら」
「いつだったかな、もう憶えてないや。アルファがエフェクトの暴走に巻き込まれて死んでしまって」
アルセーヌ 「スッゴイカワイソッ! ……いや、なんでもないデス、続けて」
「……。
 たまたま、居合わせたのが僕だけだったから、教官に伝えて埋葬したんだ」
アルセーヌ 「キョーカン、ですか」
「……でも、次の日宿舎に戻ったら、アルファが居たんだよな。
 驚いたよ。教官のことも随分問い詰めたっけ。『チルドレンたちの情緒の安定のために、クローン犬を用意した』そんなこと聞き出すのに、随分時間をかけたなあ……」
 おぼろげな記憶を確かめるよう、ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。
「みんなはそんなことこれっぽっちも知らないから、ソイツのことをアルファって、いつもどおり呼んでた。……僕は、いやだった。アルファが馬鹿にされてるみたいで」
アルセーヌ 「ふむ、ふむ」
「でも、そのうち思ったんだ。アルファじゃないのに、アルファって呼ばれてるソイツもずっと……辛いんじゃないかって」
アルセーヌ 「……ツライ、ですか」
「僕はあの子を昴とは呼べない。昴とも思えない。あんなへたくそな擬態で生きていけるとも思えない。……だから、守るよ。ちゃんと一人の誰かとして生きていけるように。できれば、昴のお墓の前で一度謝らせたいくらいなんだ。……なんていわれようと、無理でも、僕は守るよ」
アルセーヌ 「マコト……ボクはコーゾーのこと、尊敬してマス。今でも、ソレ変わりまセーン。
 ……ただ、一つだけ、間違っテル思いマス、そして、キミも」
「……なんだよ」と、そっぽを向きます。
アルセーヌ 「マコト、キミが守りたいのは、スバルではなくて“死んだスバルとの思い出”でショウ?
 キット、コーゾーもそうだったんだと思います。
 だから……便宜上、“彼女”と呼びましょうか。わんわんヤローから守れはするかも知れませんが、ソレデは“彼女”を救えまセーン」
「……じゃあ、どうしろっていうんだよ」
アルセーヌ 「ボク、マコトやコーゾーの判断、責められまセーン。思い出浸ル……それは“悼ム”ことだからです。スバルを大事にすることね。
 でも“彼女”は下手クソな擬態でも、別人でも、ヒトじゃなくても【ナガミ・スバル】の世界で生きてます、だからこそマコトは“痛ム”のデショウ。マコトが、アルファと呼ぶのがイヤだったように。
 でもそれだと“彼女”の世界、キット壊れルネ」
「あの子に擬態は向いてないよ。だから、やめさせる。それから、本当の名前を聞きたいかな。でないと、いつまでたってもチャント向き合えない。昴の真似なんて、続けさせてちゃいけないんだ。
 もしそれに反対だって言うなら……アルセーヌさん、僕は貴方とも、UGNとも……戦うよ」
アルセーヌ 「さっきも言ったでショウ、責められナイ、と」
「ならどうする? 黙って僕のやることを見逃すか、それともここでやりあう?」
アルセーヌ 「ただボクは、あの子が、かつてのスバルが夢を願ったボーイが……自分のコト考えてるの、ちょっと悲シク思っただけデス」
「……僕の気持ちは、貴方にはわからないよ」
アルセーヌ 「ハッハァ! ディコミュニケーション、ですネ! コーゾーも罪なコト、したモンです」
GM  そこでシーンを切ります。
アルセーヌ 「……アルファはさみしかったと思いますよ、マコト」

...Scene is end.

GM  これは決別したなぁ。
 さて、次にシーンを回したい方、挙手をお願いします。
時夜  ちょっとレネゲイドビーイングサイドの話をしたいなー、はあるんだけどね。
 あるんだけどソロールもなんだよなあ……で悩んでるトコ?
 同じく、一瞬ソロール入れれたらクライマックス行こうかなぁって感じです。
GM  では、えー……どちらが先がいい?
時夜  あ、先いいよー。
 あ、私はクライマックス直前に欲しい感じ。
 合流する前にちょいと挟ませてもらえれば良いので。
 2人で譲り合ってると進まないんですがね。
Scene 21
さてさて……。
GM  譲り合ってても進みません。希望がなければPC順的に葵からシーン演出してください。
アーリアル  ひっく、うっく……誰か、慰めて、くれても……いいのよ。
アルセーヌ  ソウイエバ、アーリアルさんがミドル戦闘の最後酷くなってましたねえ。
 デモ、慰めると凍りそうナノデスヨネー。
時夜  だけどボク、慰める前に駆け出しちゃったしなあ……。
 じゃあ慰める役回るか。
 ぐずったアーリアルちゃんの話を聞いて慰めるシーン作ります。
アーリアル  わーい。
 ミドル戦闘のシーンの、続きからでいきます。

Scene is start...

 UGN・N市支部、医務室前。
 バンダースナッチとの戦闘の後も生々しいここで、一人泣きじゃくるアーリアル。
 ひっく、ひっくとぐずりながら、気がつくと医務室の廊下周辺が完全に凍結している。
「ほら、もう大丈夫だから」
 そういいながら、自身も所々凍らされながらもアーリアルをぎゅ、と抱きしめる。
 良く見ると服とか一部凍っちゃってる。
アーリアル 「ひ、あ、ご、ごめんな、ごめんなさ――――」
 それを見てさらに焦ってRCが効かなくなっていく、悪循環。
「…………もうやだよぉ、何がなんだかわかんないよ…………せんせい、なんで…………う、うううう…………」
「うん、私は大丈夫だから。はい、少し深呼吸してみようか」
アーリアル 「ふ、ふうううう…………」
 息を吸って吐いて、空気が少し凍る。
「先生はね、きっと間違ったことをしちゃったんだと思う。亡くなった娘さんを悼むあまり、代わりを探しちゃってたんだよ」
アーリアル 「…………それ、駄目なこと、ですか? だって…………」
 目をこすり、俯いたまま、暫く悩む。
「…………スバルさんが死んじゃって、それを生き返らせたいって思ったせんせいを、間違ってるとは…………思いたくない、です、絆を保ちたい、って思うの……ふつうじゃないですか」
「うん、それも正解。
 だけど、亡くなったことを事実として受け止めて、向き合わなくちゃいけないこともあるの」
 考え方はそれぞれ。葵がそう思うだけで、考えとしてあるものだとは分かっている。
アーリアル 「……葵さん、これから、どうするんですか? スバルさん、捜すんですか?」
「絆を保ちたいって気持ちは大事なもの。だけどね――生き返らせようとするどころか、他の人に代わりをやらせちゃうのはね」
 そこまで言えば、一拍置く。
「それまで頑張って生きてたその人――昴ちゃん――の人生を、否定することになっちゃうの」
アーリアル 「…………じゃあ、私達は、『あの』スバルさんを、どうやって見てあげれば、いいんですか?」
「ええ。探すわ。あの子が永見 昴として生きるか――どうするかは任せるつもりだけど、放っておいたらあのバンダースナッチに良いように利用されて化物として扱われるだけ。それは、あの子も、永見さんも望んでいない筈」
アーリアル 「わたし…………おやくにたてます、か?」
「ありのまま、目の前にいる彼女をそのまま見てあげればいいんじゃないかしら。
 あの子は真実を知った。その上でどうするかまでは私達が決めることじゃない」
 それは彼女がすべき選択。だからこそ――
「彼女が決めた道を、応援してあげるのがあの子と、あの子を助けようとした永見さんへできる最良のことだと、私は思ってる」
 真摯な瞳でアーリアルを見つめ、そしてにこり、微笑む。
「勿論。今回は永見さんと親交があった貴女がいないと駄目なの。一緒に助けに行きましょう」
アーリアル 「…………は、はい、がんばり……ますっ!」
 ぐ、と涙を拭いて、立ち上がって、だっと走って行こうとして、何処に行ったらいいかわからなくて涙目になる。
「……一緒に行きましょう。大丈夫、今皆で探してる所だから」と手を差し出しましょう。
アーリアル  手をとって、前を向く。 ――――がんばらないとっ。
GM  では、綺麗に閉まったところで、シーンを切ります。
 シーンの切り際、アーリアルには分からない外国語(ラテン語)で呟いて行きます。
 亡くなって、仮の霊安室に安置されたままの部下に対して「……ごめんなさい。すぐ終わらせて、ゆっくり眠らせてあげるから――」

...Scene is end

Scene 22
GM  さ、時夜君行けますか?
時夜  いけるーっ。
 ただ、“超”がつくほど垂れ流しソロールになるってことだけはゴメンナサイしとくね。

Scene is start...

 街の中――

「ああもう、見つからないなあ……どこ行ったんだろうねーちゃん……」
 N市支部を飛び出して、“彼女”を探す時夜。
 あちらこちらを見てもまだ見つからないのか、焦燥にかられた表情を浮かべている。

「そりゃー……ちょっとショックだったけど、さ」
 ぽつり。走るさなか、唐突にひとり、ごちる。
「スバルねーちゃんはスバルねーちゃんが蘇った訳じゃなくて、コーゾーさんの記憶の擬態だったのは、さ。 でもさ」

 言いよどみ、言葉が一度止まる。
 コンクリートを蹴る靴音だけが、あたりに響く。

「……なんていうんだろう。
 でもそれで、あのねーちゃんを化け物とか、モノとかって言うのは違う気がするんだよ。
 そりゃ……レネゲイドビーイングって、人じゃないよ?  レネゲイドが意思を持ったモノだから、研究資料にしようとする連中だっているよ。
 ――ボクだってそれで、追われたことだってあるよ」

 自らにも起きたことを顧みて、人の考えを想いを動きを模索する。
 つらつらと何の気なく、誰に話すでもなく、口から言葉が続いていく。

「だから、さ。
 そんなレネゲイドビーイングが、人の中に居ようと・有ろうと・知ろうとするには色んなモノが必要でさ。
 レネゲイドビーイングって知るだけで忌避の眼だったり、話聞いてくれなかったりもして、さ。
 ウィルスだ、モノだーって言う人だっているんだよ? レネゲイドと一緒で力を操り、恩恵を享受してるオーヴァードですら、さ」

 とぎれとぎれにわいてくる言葉と記憶の端々。
 ふぅと小さなため息がひとつ、想いとともについて出る。

「学校だって、ちょっとおかしい奴とか弱い奴とか、おもちゃにしていぢめてる奴だっているよ。
 動物だから・モノだからで何しても良いって奴も多いよ、実際そういって悪戯してるのもいるしさ。
 でもじゃあ、その動物やモノは本当に何も思わないの? 何の考えもなしに、その子たちは為すがままなの?」

 誰にあてるでもない疑問。
 否、この場に居るモノにはあてる疑問には在らず。考えをまとめるためについてる疑問。

「擬態って、何の為? あのねーちゃんは、だます為に擬態してたの?
 コーゾーさんの資料が真だったら、だます為じゃないよね。“自分”が欲しかったから――だった、よね。それを擬態って責めて、否定するのって……お門違いじゃないの……かな。
 自分を護るために、助けてって言う為にスバルねーちゃんの姿でUGNに来たんだよ」

 いつの間にか、走っていた足が止まっている。

「――別に、あのねーちゃんをスバルねーちゃんとして扱えなんて言わないよ。あのねーちゃんは、ねーちゃんとしてでいいんだよ。
 あ、でも少しだけお礼はいっておきたいかな? “ありがとう”って」
 感謝の混じる言葉、口元はほんの少し笑みに緩む。
「でも、さ」
 一拍の間。緩んだ口元の笑みは消える。
「助けてって拙くても叫びを上げたのに、人格も居場所も何もかも否定されたら……どうすればいいんだろう」
 言葉と表情が翳る。自然俯き、硬いコンクリートのほうへ視線を落としていた。

「――ってーっ!
 こんなこと考えてる場合じゃないっ!? それこそ本人見つけなきゃっ、なきゃなきゃー……って忘れてた!」
 時夜の姿がぶれる、輪郭こそ人間だが波紋や波がうねる。
「こっちで探した方が早いんだ……」
 人の姿は仮初のもの。擬態を脱げば本来の姿、オリジン:サイバー。

「……まあ、ボクだって。人の振りをしてるバケモノなのは、変わらないんだよね……」

...Scene is end

時夜  エンドっ。
 ソロセリフだけどおつきあいかーんしゃっ。
GM  了解です。
 では再度シーンがほしい方、どうぞ。
 いなければ、だれか居場所を探るシーンを作ってください。[噂話:8]か[知覚;8]です。
 もしくは、時夜君がそのまま今振ってもいい。
時夜  ≪オリジン:サイバー≫使用の許可は?
GM  でます。
時夜  社会5、サイバー起動で+10、侵食で+3。
 失敗してたまるか噂話把握、8D10のヒラメ振りーっ――36!
GM  回るなおい!
アルセーヌ  マグネイトされてても余裕の判定過ぎる!
時夜  本気になってるから回すよー☆ミ
 では居場所を調べたので、次はトリガーイベントとなります。
Scene 23:トリガーイベント:真実か、それとも嘘か。
PC1のシーンとか書いてありますが、登場は任意です。
GM  あ、言い忘れてました。
 時夜が探し出した場所はUGNの研究施設跡でした。
アーリアル  登場、登場――侵食値95になっちゃった……ヤバい、かも……。
 アーリアルちゃんが出てるなら出ざるを得ません。
アーリアル  あ、様子見してますから、最初からは出ません……。空気を読んで、うん……。
アルセーヌ  マコトクンと一緒に居たんですから、流れ的に一緒に居ないとおかしいのデスネー。
 ――10振ったし。リザレクト消えたー?!
時夜  ボクがいないわけがない。しばらく、黙ってるけど、ね。ぶう。

Scene is start...

UGNの研究施設。破壊された瓦礫の転がるその場所は、半年前とまるで変わっていない。
そしてキミは、そんな施設の通路のひとつで昴の後姿をみつけた。
彼女は、通路の壁にある結婚をじっと見つめている。ここは……永見昴が死んだ場所だ。
GM  血痕です、誤字ー!?
アルセーヌ  よろしいならば、ここは落書きにしておこう。昴と真が子供の頃に書いた落書きDA!
GM  誤字は脳内変換でお願いします。
「……こんな所に居たんだ。ここは、昴が死んだ場所だよ」
GM  真の言葉に彼女は振り返らず、言葉を返す。
「ここで本当の永見昴は死んだ。あたしは永見昴じゃない……。
 お父さんが生み出したレネゲイドビーイング……そう、なんだよね」
「ああ……きみは昴じゃない」
「そっか……うん、そうだね。ここであたし、いえ、永見昴は、死んだ。
 きっと、”あたし”は人間を知りたかった。人間になりたかったんだね。
 そんな願いをもつ”あたし”に、お父さんは自分の記憶を提供してくれた。そして、娘の昴としての人生を与えようとしてくれた……。
 それはお父さんのエゴだったのかもしれない。でも、それでも”あたし”は嬉しかった」
GM  彼女は振り返る。キミに向かって。その両の瞳に、いっぱいの涙を流しながら。
「でも、劇はもうおしまい。”あたし”は人間になりきれなかった怪物。
 この世界にあたしの居場所なんて、ない。どこにもない……! あたしは……あたしは……」
「キミは、キミだよ。怪物だろうが人間だろうが、キミはキミだ。キミにしかなれないよ」
 心が壊れかけた瞳の光。いっぱい涙を流し、真のほうを見やる。
「あたしは、この世界に存在していていいの……?」
アルセーヌ 「このセカイに、いちゃいけないモノなんてアリマセーン」
時夜 「ねーちゃんに死んでほしいって、消えて欲しいなんて思ってる奴はどこにも居ないよ」
「キミはキミにしかなれない。でも、居場所はあるよ。
 ずっと考えてたんだ。永見先生は何がしたかったのかって。時夜だってこう言ってるしね。
  ……キミが持っていたペンダント覚えているかい?」
「覚えているよ。あれは、昴とお父さんの大切な思い出だもの」
「あのペンダントに、キミの素性にまつわるデータを閲覧するる為のパスワードが入ってた。
 パスワードは、プレアデス。
 ――でも、おかしいと思わない? 永見先生は、キミを昴にしたいなら、そんなデータを残す必要なんてないんだ。
 だからね、僕はこう考えるよ。都合のいい理屈かもしれないけどね。永見先生はこう君に言いたかったんじゃないかって。『キミの嘘はばれる、だからペンダントに込められた二人目の娘、プレアデスをよろしく頼む』……だってあのペンダントは、永見先生の娘を記した、本当に大切なものなんだ。
 昴の形見で、永見先生の形見でもある。キミには血が繋がってないかもしれないけど、キミは永見先生にとって、本当の娘だった……昴の妹だったんだって」
アルセーヌ 「……コーゾー、ボクにキミのこと紹介してくれませんでシタ」
 ボソリ。どこともなく呟きマス。
「キミをスバルにしたいならボクの記憶、あった方がいいのニ。コーゾー、ソレしまセンでした。
  時間、なかったのカモいわれたラ、それマデですが」
「だから、僕にとってはキミはキミだ。昴じゃなくてね。
 ……はじめまして。僕は弓為真。昴の……友達だよ」
GM  ……。
参ったな。
シナリオに有る通りの残酷な裁定を通そうかと思ったんだが、これだとどうも、ここで「PC1がロイスをタイタスにしたからジャーム化」をやるのは綺麗じゃない。
 はっはっは。そりゃ昴はタイタスにするさ。だって昴じゃないもの!
時夜 「逆に、ボクの記憶はねーちゃんにはあったね。  ボクは――」
 そういうと腕だけが変質して解け、波紋と成る。
「――ねーちゃんと同じ、というにはねーちゃんに失礼かもしれないけどね。
 ボクは人間じゃないけど、人間の中で暮らすレネゲイドビーイング。
 居場所や考え方、理解の糸口、人間や周りとの付き合い方の為の切符用」
アルセーヌ 「コーゾーがナニ考えテタか、わかりまセンケドも、ネ。
 だから……決めるのはスバル、キミ自身です、キミがダレなのか」
GM  昴の目にたまった涙が一筋、流れた。
「そっか、お父さん……うん、そうかも、そうだといいな」
アルセーヌ 「キミがダレであろうと、ボクは祝福しまス。コーゾーの娘デスから……カレが護りたかったのはキミですから。だから、キミが決めて、いいんデス」
「あたし、昴じゃなくても……いいんだ。」
 GM、かつての昴と今の昴のロイスを昇華します。
 それから、“彼女”に対してロイスを取得します。【決意】/不安。
アーリアル  そこでたったった、と駆けてきて、ヒトコト。
「せ、せんせいが大事にしてたのは、守ってほしいっていったのは、「あなた」だから……が、がんばって!」
 じゃあそんなアーリアルちゃんの後を追ってきて同じく一言。
「話は大体済んでいるみたいだし――初めまして、から始めましょう。ようこそ、私達の世界へ」
GM  君たちの言葉に彼女は微笑む。
「みんな……ありがとう。みんな、あたし、ここにいていいんだね。 昴じゃなくても、ここにいていいんだね……」
 そして、笑顔のまま真に向き直り「はじめまして、弓為真さん。あたしの名前は……」
「……あれ、あ……そっか、あたし、名前が……」
GM  その瞬間、声が響いた。
「どうやら役者がそろっているみたいだな。
 誰がその化け物を手に入れるか、そろそろ決着をつけるとしようぜ?」
アーリアル 「……………………ぱ、ぱんだすなっく……じゃない、バンダースナッチッ!?」
GM  と、ここでシーンを切ります。

...Scene is end

GM  次のシーンはクライマックスフェイズとなります。もちろん全員登場です。
 了解。