エンディングフェイズ/Ending phase



GM  では、エンディングは誰から行きますか?
 サンプルなのでサンプルっぽいのはありますが、サンプルっぽいのを別に演る必要性はないっす。
アーリアル  じゃあ、私から……。
 先生のお墓に華を添えるシーンで……。
アルセーヌ  ビチクソワンコにえらく中途半端なところで乱入、されてましたしねー。
アーリアル  喪服を着て、お墓に……あれ? でも先生のお墓ってあるのかな……?
 死体は見つかってないのだけ、ど……?
アルセーヌ  ウチのキョーカイにアリマスヨー? こしらえは浄土真宗ですガね。
アーリアル  ……。
 殺害現場と思われる場所に、花を添えに行きます……。
Scene 1
Side:Arlial

Scene is start...

 その日は小雨が降っていた。
 此処は永見孝三がバンダースナッチの手により、命を落とした場所。
 その痕跡それそのものは、FHかUGNかはわからねど、第三者の手によって既に何事もなかったかのよう失われた――どこにでもある、そんな場所。

 そこへ、一人の少女が訪れる。
 喪服を纏い、その場所へと花を添え、静かに両手を合わせ、目を閉じている。

 「せんせい。
  せんせいが守りたかった「スバルさん」は大丈夫です、だから…………心配しないでください」

 喪服を身にまとう青髪の少女――アーリアル=ファラフレイム。
 目を閉じ両手を合わせたまま、彼女は語りかけるかのよう、ぽつりぽつりと、呟く。
 
 「新しい『――さん』は、きっと幸せになれる、と思います。
  せんせいの最後のお願い、ちゃんと聞けました、だから……」

 呟きが掠れる。
 すっと、頬に透明な滴が、音もなく伝う。

 「前みたいに、よくできたね、って褒めて…………くれないか……なぁ…………っ」

 涙雨のような、小雨が降りしきるその場所で、ぽろぽろと小さく泣く彼女。
 その姿を捉えた視点が、カメラがそっと遠ざかって行った……。

...Scene is end.

 ……もしかして、彼女の名前が決まらないとみんな動けない?
 こっちからやる?
 いや、全然そんなことない。PC1の弓為君はアンカーでFAです。
 あ、よかった。
GM  では次やりたい方っ。
アルセーヌ  ハーイ。
 普通に教会でドブロク飲んで、事後報告してるところから始めマショー。
Scene 2
Side:Arse`ne

Scene is start...

N市郊外にある、アルセーヌの教会。
濁酒を飲みながら事後報告を一通り終わらせ、一息つく金髪神父。
淡々とした顔で相対するのは彼の上司、ローザ=パスカウィル。
アルセーヌ 「ハーイ! ローザ。お仕事終わリマシたヨー! ハッハァ!!」
ローザ 「報告書は読ませて貰った。千木良の処理に成功したようだな」
アルセーヌ 「それはモウ、シチ面ロッピのダイかつやーくデ―!
 ローザ、ボクに惚れちゃダメですよ?」
ローザ 「…………それは何の冗談だ?」
アルセーヌ 「ヘイ、今度ヤッパリ、ドブロク片手に、夜景でも見なガラ・・・デイツ(↑)!どーです!?」
ローザ 「……相変わらずだな、アルセーヌ。
 夜景とドブロクという組み合わせについて君が考え直すのなら、私も考えておこう」
GM  ローザは特に何の感慨もない、淡々とした声で君に命じる。
「さて、任務を終えたばかりではあるが、新たな任務を君に命じる。
 今度はZ市でブラックリストの人物が見つかったらしい。すぐにZ市へ向かってくれ。」
アルセーヌ 「オウ……イギリス人のそーゆーとこドーかと思いマスね!? 江戸っ子としては。
 ハイハイ、そんじゃ、Z市ね。すぐイキマス」
 景色が暗転し、そして場面が切り替わる。
 映るのは名前のない墓と、その前に置かれた1つのグラス。

「そうそう何処まで話しましたカ……。
  “彼女”の性質……擬態スルことで自我を得ル、でしたか。ならスバルと認めてもらわナイ、と壊れてしまウ。そう、思ったのですガ、ね。ボク」

 声だけが淡々と。
 特徴的なイントネーションが、その場面へと差し込む。

「そんな小賢しいコト、カレ考えてなかったみたいです、凄い子ネ」

 白い手がグラスへ延びる。
 金髪の男性がグラスを煽って酒を飲む。
 彼の目の前には無言の墓と濁酒の入ったグラス。
 風が、ざわりを木々を揺らす。

「コーゾー……キミの“息子”も、“もう一人の娘”も元気ですよ。
 マコトと“――”も」

 ことり。
 そっとグラスが、墓の前へと置かれる。

「ジャア、ボク、いきます。ローザ怒りだす前にね」
 手を振る男性。
 彼は墓へそう告げては、背を向けそして遠ざかって行った。

...Scene is end.

GM  大人ですねぇ。
 ちなみにシナリオの裁定をそのまま通すと、アルセーヌの言う通りでした。
 あ、危なっ……!
時夜  ほんとうだよまったく!
GM  では次の方。
時夜  あ、ボクいく。ショッピングモールにある喫茶店で“――”と話してる場面いく。
 演技したい場面はサンプルシナリオのエンディングと一緒なんだけど、“――”もいる形。
Scene 3
Side:Tokiya

Scene is start...

 よく見る街の、どこにでもあるショッピングモール。
 その喫茶店でしゃべる子供が一人と女子高生が一人。
「でね、ねーちゃんのことここで、キョーちゃんに紹介されたんだ」
時夜 「でー。かんっけつにいうとここら辺が顛末?
 とりあえずFHのスカタンは砕けたから、ねーちゃんも無事―……」
 と”――”をちらり、見やる。
 当座の脅威こそなくなったけれど、それでも心配なお子様一人。
少女 「そうだったんだ……だから、時夜君はあたしのことを守ってくれたのかな?」
時夜 「んーっと、紹介されたことと守ったこととは関係ないっかなっ♪
 ねーちゃんのこと気になったのは事実だし―、あのスカタンにムカって来たのも事実だしっ」
アルセーヌ  しかしキョーちゃんトハ……UGNの古参が聞いたら卒倒するレベルのあだ名デスヨ。
時夜  あーあー、これね、一応周りを気にしてるんだ。
 キョーちゃんのことを目上的に扱っちゃうとむしろ周囲から「あれ〜?」って思われるし。
 ほら、キョーちゃんとは見てくれあんまり年齢変わってないからさー。
ちなみにこの“キョーちゃん”は、都築京香の事です。
時夜 「キョーちゃんは実際、マコトにーちゃん達よりもあのスカタン達よりもたくさんたくさん色々知ってる。
 “人を知ろう”って考えるなら色々相談したり、手を取ったり、仲良くして損はきっとないと思うよ♪」
 敵にならなきゃね、という言葉だけは心の中で呟いておく。
GM  そこで、君たちのところに見覚えのある少女がやってきます。
「お疲れ様です時夜。 無事彼女をFHから守ることができたようですね」
時夜  やってくる少女に手を振ります。
 こっちこっち、て感じで振り振りしながら、空いている椅子を一つ勧め。
「おっつかれー。 てことで、紹介しに来ました♪
 こちらが“――”、で〜、こちらがキョーちゃんこと都築京香さんっ」
アルセーヌ  お父さーん、娘さんが悪い仲間に誘われてマスヨー。
 族(ゼノス)入っちゃいマスヨー?
時夜  だがぢつは ボクはゼノスってないんだなこれが。
 ほんっきでたんに2人を紹介しておく、だしー。
GM  都築京香は進められるままに席につくと、“彼女”をみて微笑む。
「我々レネゲイドビーイングが大きく進化を始めたのは、ほんの20年前のこと。
 私はその原因が、人間の精神構造をレネゲイドが取り込んだ結果だと考えています」
都築 「永見昴となったレネゲイドビーイング、つまり、あなたはある種、人間の精神構造を取り込むことに特化した個体。
 あなたの存在は我々に新たな可能性を示してくれるかもしれません」
時夜 「あー……てことはねーちゃん、それこそボクらの救世主になるの、かもね♪」
GM  突然の難しい話に“彼女”が戸惑っていると、都築京香が席を立つ。
「そう。彼女の存在は我々にとって変化の兆候となるでしょう。
 それでは、今回はお疲れ様でした。いずれ会いましょう」
 と、会釈をして、すたすたと歩いていきます。
時夜 「んーっと、キョーちゃ……」
 言おうとした瞬間、都築京香が席を立つ。
「あ、オッケー。 じゃあまた、そのうちねーっ」
 手をぶんぶん、振って見送ったそののちに、“――”にあどけない笑みを浮かべる。
「むっずかしいことはきっと判らないしあんまりすぐわかろうとしなくて大丈夫♪
 キョーちゃん、一緒においでっていったわけじゃないし、とりあえずはねーちゃんは今の生活満喫して、楽しんで、色々知ってで良いんじゃないかなっ。
 さみしいや、つらいばかりじゃ、仕方ないしね」
アルセーヌ  傍から見たら小学生のあいびき&厨二病、新しいデスねー。
時夜 「さてっ、とっ」
 かたりと席を立つ。
「今度は街、散策してみようよっ」
 そういうと笑いかけながら彼女の手を取って、喫茶店から街中へ。
 店を後にする、そのシーンを映し出してシーンアウトでお願いでーす。

...Scene is end.

GM  次の方―。
 はい。じゃあいきまーす。
 サンプルのエンディング前にちょっとソロールをやらせていただきたく。すぐ終わると思う。
GM  どぞどぞ。
Scene 4
Side:Aoi

Scene is start...

そこは、UGNエージェントが眠っている墓地。
早朝とも言える時間に彼女はそこにいた。

「……ゆっくり眠って下さいね。お疲れ様でした……そして、ごめんなさい」

彼女――上条葵の目には涙。今回の件で何人もの同胞が殺された。
自分が適切な指示を出せなかった所為で――彼等は、自分が殺したようなものだ。

実際にはそんなことはないのに、目の前の墓を見ると次第にそう思ってしまう。葵の悪い癖。
必要以上に責任を感じ、精神的にギリギリになっても、支部長と言う立場が何とか彼女を『正常』へと引き戻す。

「ごめんなさい、私が不甲斐ないばかりに……」
 そう呟きながら、彼女は1人1人の墓の掃除をし、花を飾って行く。
「――さ、これからしばらく忙しくなるから、またね」
 墓に眠る同胞たちに声をかけ、彼女は静かにそこを去る。

 N市支部に現れた彼女はいつもより少しだけ綺麗に化粧をして、眼鏡をかけていた。
 と、ここでサンプルのエンディングに引き継いでいただけると幸いです。
GM  ん、サンプルいるの?
 サンプルに合わせようと思って、その前置きとして先ほどのをやらせてもらった次第です。
GM  では、君の目の前にはうずたかく積まれた書類の山がある。
「あっ、支部長。こちらがN市支部の修繕計画書となります」
部下 「こちらと、あちら、あとあれとこれにも承認のハンコかサインをお願いします」
「お疲れ様。ああ、その修繕計画書は一部材料と費用の工数の見積もりが甘かったから代案出して承認もらっているわ。それとこれは彼の負担が大きいから計画見直して」
部下 「ありがとうございます支部長」
「それから……」
 1つ1つに対して丁寧に対応して行く葵だが、部下は気付くかもしれない。
 その眼鏡の下に隈ができてること、化粧をしている時は大抵顔色の悪さを隠す時であること。
部下 「……支部長、あの」
「はい。何でしょう?」
 目の前の仕事を一度止め、部下の方を向きます。
部下 「何でも貴方一人でされなくても、よいのですよ。
 一人で背負わず、私たちにもう少し、その、頼ってください。
 高木も、須藤も、皆支部長と同じ想いを抱いて戦って、死んで行ったんです。
 皆、同じ想いを抱いています。
 貴方一人で背負って戦う必要は、ないんです」
「ありがとう。
 でも、少しでも仕事してないと気が沈んじゃいそうで、彼等にも申し訳ないですから」
 やや寂しげに笑顔を向けて、「それに、皆さんにはいつも助けられていますし私がこういう時位頑張らないと、って。お気遣い、ありがとう」
GM 「……失礼、過ぎたことを言いました。
 では、その書類の件、よろしくおねがいしますね」
 そういって、部下は部屋を後にします。
「さて、この仕事を片付けたら次は――」
 最早部下すら把握し切れていない仕事の量。そういえば、前に歩けなくなるまで働いた時に救護室に連れてってくれたのは彼だったっけ。
 少し前の事を思い出し苦笑をしつつ、少しだけ無理は控えようと思い仕事に戻る――所でシーンカットでお願いします。

...Scene is end.

 来たか―……。
時夜  がんばれまことにーちゃん♪
 じゃあ描写しちゃおう。
Scene Final
Side:Makoto

Scene is start...


 手を空にかざすと、太陽に透けて雲ひとつ無い青い空が見えた。
 隣を歩く『彼女』の手を引いて、僕は都会の一角にぽつんと作られた人工的な緑の中を歩いている。
 彼女は不安そうに、けれど、しっかりとした足取りで歩を進めていく。
 それを頼もしく、どこか嬉しく思いながら、僕は彼女に声をかけた。
「キミの事を知ったときから、ずっと一緒に来ようと思ってたんだ」
 彼女が不思議そうに首を傾げたから、僕は苦笑してしまった。
 それもそうだろうと思う。彼女は最初、自分を昴だと思っていたのだから。
 正直なことを言えば、僕だって少しはそう信じかけてた。
 ギリギリまで信じ切れなかったのは、単に、昴が僕の胸の中に残っていたからなだけだ。
 彼女とつないだ手の反対の手に、質素ながら仏花を持っている。お線香は、彼女が持つといってきかなかった。結局、僕らはお互いに手を離さないまま、それぞれに、昴に挨拶と報告に来たのだった。
「昴はきっと、妹がいると知ったら喜ぶと思うな。それ以前に、驚くと思うけど。
 きっと大騒ぎになる気がする」
 僕がそう言うと、頷くみたいに花が揺れた。
 踏み出した砂利の先に、昴のお墓がある。
 この半年間、お葬式以来、一度も来なかった昴のお墓が。

 もっと早く会いに来るんでした。
 そう、彼女が言った。
「それは僕もだ」
 と、僕は頷いた。

 逡巡するみたいに、彼女の足が止まった。
 だから僕は元気付けるように殊更大きな声で、眠っている人達には申し訳ないけれど、声をかけた。

『行こう。宇海(うみ)』

 その日が、彼女の人生の、最初の船出だった。

...Scene is end.

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