Scene is start...
画面が暗く、人の名前が流れていくエンドロール。
そこに、2人の声が響く――
「なあ、ハーマン。私の選択は愚かだと思うか?」
「いいえ。あなたの選択は間違ってはいませんよ」
「多分お前ならそう言ってくれると思ってた。
悪いな。ちょっとその言葉が欲しかったんだ」
ひとつは男声とも女声とも取れない、中性的な少女の声。
その声にはおぼろげな不安の色が混じり、もうひとつの声に問いかける。
ひとつは深いバリトンの、年季を感じさせる執事の声。
その声には包容力があり、穏やかな言葉でもうひとつを受けては行き先を示すように返していく。
「いつか、必ず今回のような、どうしようもない……選ぶことも出来ない選択肢にぶつかることもあるでしょう。
その時は、あなたの信じる道を進みなさい。それが、最善の選択肢です」
「ありがとう」
不安に迷う少女を察しての執事の言葉に、少女の口からこぼれるの感謝の言葉。
忌憚なき間柄の執事に対し、さらに彼女の口から言葉が続く。
「それでな、ハーマン。一つ相談があるんだ。
いや、これはもともと――偶然だったんだがね」
すっと場面に薄明かりが差す。
そこは白い部屋、白い天井、中に佇む2人の人間。
白くに纏めた少女がひとりと、黒くに纏めた老執事がひとり。
ふと見ると、少女の傍にもう一人少女が居る。
年のころは8歳か9歳か。黒い長髪に、赤いリボンを留めた女の子。
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ジーク |
メタ的に言うと、この女の子はつまりは朝海の<転生体>。
レネゲイドビーイングなのだがな。 |
夕姫 |
ちょっ、何しているんですかリート?!
これ以上私を苦しめるような事を貴方はー!! |
PC一同爆笑しつつ喧々囂々。しばらくお待ちください。
しかし何を言い出しているんだろうかこのPC1は。予想の斜め上でしたよ。
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GM |
まあ、エンディング続けてください。 |
白の少女、ジークリート・ウェイスェンフェルトは傍らの女の子の手を握る。
「どうも彼女の記憶の内、あの白い部屋にいたとき――私たちが出る前――その位までしか覚えていない不完全な個――レネゲイドビーイングではあるらしいんだ。
だが、会ってしまった以上放っておけなくてね。しばらくは面倒を見ようと思う」
彼女の身の上を、自らの心の内の決意を老執事へと語る。
老執事ハーマン・アーバインはそれを受け、静かに言葉を紡ぎだす。
「あなたが思われるようにするがよろしい。
しかし……レネゲイドビーイングですか……残酷な話ですね。
死んでしまった彼女は、もうどこにもいないはずなのに……」
ふとその場の音が消える。
しんみりとした空気が、沈黙が場を支配する。
「いえ、過ぎたことを申しました。あなたの好きなようにするとよろしい」
「お前には、迷惑をかけるな」
語れることも多くはない。
そういうとジークは傍らの少女の手を引いて、部屋のドアへと向かっていく。
「それではすこし出かけてくるよ。今日はあの公園の桜が奇麗なんだ」
「ええ。行ってらっしゃいませ、お嬢様」
「いい加減、その言い方はやめて欲しいのだけれどな」
白の少女と手をつなぐのは、赤いリボンの女の子。
2人の少女はゆっくりと、公園の並木道を歩いていく。
たくさんの、満開の、薄紅色の並木道を。
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...Scene is end.