エンディングフェイズです。
|
翔 |
っても俺、ヤるこた決まってるンだとしか言えねぇんだよな。
例のナイト・パブ行って“首つりジャック”はブン殴るだけぶん殴ってくる。 |
夕姫 |
私も決まってはいるのですが、正直、かける君とのシーンも造りたいのですよね。 |
翔 |
あ? ンじゃそっちにするか?
とりあえず連中はブン殴ってきたてことでもイイぞ俺は。 |
GM |
全員好きにしろよ。
エンディングが2回以上あってもいいよ。満足いくようにやってくださいよ。 |
夕姫 |
ああGMがブン投げたっ。 |
ジーク |
完全に一仕事終わった顔になっているな、あのGM。 |
GM |
満足いくように、やりたいことをやると良い。
もっとも1人1シーンずつで締めた方が締まりが良くなるのですけれど、ね。 |
夕姫 |
あー……じゃあ私阿東さんところに行きません。
エンディング、SSにして持ってきても良いですよね? |
GM |
好きにしてください。
シーンを思いついた人からエンディングを始めてくださって結構ですよ。 |
ジーク |
では私から。 |
夕姫 |
あ、どうぞ。 |
ジーク |
……あれ、良いのか? |
翔 |
ユキは場面が思いついてるだろうけれど時間食うンだろうし、紡は判らん。
俺に関して言やぁ、誰とも競合しねえから後でも先でも別に構わねえ。 |
紡 |
とはいってもPC1は最後にした方が締まりは良いだろうから、翔から夕姫、ぼくとぐるっと回って最後にジークのエンディングで良いんじゃないかな? |
翔 |
あー……だな。
ンじゃ俺からイくか。 |
Scene is start...
...Scene is end.
Scene is start...
...Scene is end.
Scene is start...
H市にある病院、月見夕菜の部屋。
|
紡 |
個室には入らずドアのガラスから様子を見、元気そうだなと思ったらこっそりを顔を出す。
顔を出したところに夕菜と眼だけ合わせると、手を振りそのまま病室を去る。
夕菜はぼくには気づくけれど、ぼくへと声をかける間も無くぼくはいなくなる。
そして去る際、ぼくは翔とすれ違った。 |
翔 |
なんか紡のエンディング、ジャックした形になりそうだな、すまねえ。
てことで病室のドアをコンコン。 |
月見 |
「どうぞ」
ぼうっとした、元気のなさそうな声。 |
翔 |
「失礼します」といってガラッ。
病室に入りお見舞いの果物を持ってきては「はい」、渡す。 |
月見 |
「あれ、翔君なんだ。
さっき、紡君がいたような気がしたんだけれど……」 |
翔 |
ちょっと考えてから「まあ――悪かったな、俺で」 |
月見 |
「そ、そんなことないってっ。そういう意味じゃないからっ」
手をパタパタと振り、ちょっと慌てて否定します。 |
翔 |
少し間をおいてから月見の様子を見て言葉を選ぶ。
「まぁ……元気そうだな」 |
月見 |
「うん、そうだね」 |
翔 |
「身体の方は?」 |
月見 |
「ぜんぜん大丈夫。なんかよくわからないんだけれど、怪我したのがうそみたい」 |
翔 |
「じゃあ、嘘だったんじゃねえの? よくあることじゃん」 |
月見 |
「そっかぁ。
でも嘘だったのなら、どうせならすぐ退院したかったなぁ」 |
翔 |
「退院できねえの?」 |
月見 |
「何かよくわからないけれどたくさん検査してる」 |
翔 |
「ごしゅーしょーさま」 |
月見 |
「検査・検査って朝から晩まで、も〜っ。病院のご飯おいしくないし―っ」 |
翔 |
会話の間に目を細めてオーヴァードになってないかどうかは確認してみるンすが……? |
GM |
覚醒はしてないですよ。 |
翔 |
ふぅ、そいつァ良かった。
「病院のメシなら元気になるからイイんじゃねえの?
マズイつったってそもそもアンタは元気あり余ってるみたいだし――」 |
月見 |
「食べたいなーっ、あそこのお店のイチゴタルト食べたいなー」 |
翔 |
ヤべえ聞いてねぇ上にフラグ立ってやがる?!
「それじゃ俺はこれで帰るわ」と慌てて切り上げて病室から出る。 |
月見 |
「誰か買って来てくれないかな―」じーっ。 |
コンコン。
――ガラッ。
|
ジーク |
ちょうどその時病室に訪れた私、左手に持つのは何かの包み。
空いている右腕で病室を出ようとした翔の腕をひょいと掴む。 |
翔 |
「ってちょ?! おいおいおいっ?!」 |
ジーク |
「好きだって聞いたから、お見舞い」
そういうと左手の包みを、ゆっくり夕菜へと手渡す。 |
月見 |
「え、え、え?! これ、あのお店の?! あのお店のイチゴタルトじゃないっ」 |
ジーク |
「ちょっと、大きかったね」 |
月見 |
「ジーク……ほんとよくわかってる、さいっこーっ。私ジークの友達でよかったっ♪」
感無量な言葉と様相、喜びを隠せず上気する。 |
ジーク |
「じゃあ、3人で食べようか」 |
翔 |
じたばたじたばた、必死でもがくもののジークの腕から逃げられない。
「か、帰らせろよおいちょっと待っ?! お前ら2人で喰やイイだろうがよ! 」 |
月見 |
「なんで翔君食べないのこれ、おいし――」 |
翔 |
「甘いのは嫌いだっつーの!」 |
月見 |
「またまたぁ。
そういう偏見持ってるからおいしくないような気がするんだよ」 |
翔 |
「ンなこたねェ!!」 |
ジーク |
逃げようとする翔をしっかり捕まえたまま、至極真顔で彼へ言う。
「済まんな。
間違って5人分くらい買ってしまってな。2人で食べるには大きいのだ」 |
翔 |
「紡とユキでも呼び出せよ俺はいらねえって!!」 |
コンコン。
|
月見 |
「はーい」 |
夕姫 |
からッ。
「あ、これ。お見舞いの品。
ぎょうざいちご――じゃなくって、ぎょうざ・ばななちょこぱふぇ」 |
翔 |
て、てめえら全員知った上で……お、鬼がいるっ……。
|
GM |
翔の甘いもの関連のトラウマなんてキャラ達は誰も知らないのですからプレイヤーの親切でこそあれ意地悪はひとかけらもないですよ。
遠慮なくどうぞ、好きなことをやりましょう。 |
月見 |
「ユキちゃん、前から言おうと思ってたんだけどね」 |
夕姫 |
「?」 |
月見 |
「あのね、女の子はね、お見舞いにね、ギョウザは持ってこないの」 |
夕姫 |
「え? このギョーザ、バナナチョコパフェだし、あなた好きそうだと思って」 |
月見 |
「ユキちゃん。あなたの感覚は何かちょっとズレてる気がするの」 |
夕姫 |
「でも、好きでしょう?」 |
月見 |
「好きだけど! 好きだけどなんかちょっとズレてると思わない?!」 |
夕姫 |
「だって甘いものだし――」 |
翔 |
この間もじたばたして逃げようたしてンだ、が―― |
ジーク |
当然のように私ががっちり捕まえている。 |
夕姫 |
「食べてみて? 一線越えてみたら結構おいしいから」 |
月見 |
では恐る恐る口にして「何これ、新しいおいしさ?」 |
夕姫 |
「ね、負けた気分になるでしょう?」 |
このお話自体はだいぶ内輪ネタ、放っておくと延々と続きます。
なのでこの辺で切りましょうか。
|
夕姫 |
「甘いものが嫌いな人なんていないですよ。ね? かける君」 |
翔 |
当然のように顔がものすご〜く引きつってる。 |
月見 |
「翔君これおいしいよ食べてみてっ」 |
翔 |
「いらねーって!!」 |
ジーク |
そろそろ四十九院も入ってくるころ合いかな? |
紡 |
あ、ぼく入る予定はないんだ。
ちょっとやりたい演出があって、みんながやりたいことが終わるのを待ってる状態、かな? |
GM |
ではこの4人が病室で騒いでいるころ―― |
ワイワイと騒ぐ病室。
月見夕菜が死んだという事実なぞ“嘘”のよう、そんなことなどそこには微塵も感じられない。
まさに平和ともいえる、そんな光景。
そこからそっと離れれば、外に流れているのは閑静な日常。
さらさらとそよぐ風、のどかな水面、街を歩く人々の靴音。
水車が水を汲んでは流すかのように、それらはH市をゆっくりと流れている。
いつもの日常。
H市の外れの方にある高台で、“紡”はそれを、その街を一望している。
はらり。
そんな中、しおりが一枚空から降ってくる。
桜の押し花を留めた、あのしおり。
降りてきたそのしおりをそっと掴むと、一目、ちらりとみやる。
「「ばいばい」」
しおりを一瞥しそう言うと、彼はそれをそよぐ風にそっと流しては、背を向けH市を後にした。
|
...Scene is end.
Fin.