-------------------------------------------------------------------
 Back Track
 -------------------------------------------------------------------

GM:ココカラガ、本番デス。
服部 絵理奈:今回はホントにナ!
GM:うふふふふ。
神崎 リサ:(おなかおさえ)
GM:ということで、バックトラックのお時間です。
GM:各人、最終侵蝕率と、残ロイス数を宣言してください
高橋 健人:139%、残りロイス4つです
服部 絵理奈:109%の残りロイス5つです
神崎 リサ:131%、残り4つです
桐生嚆矢:侵蝕率170%、残ロイス数:6。
高橋 健人:これはご丁寧に申告どうも……
神崎 リサ:びっくりしたそうだ彼もいるんだった
服部 絵理奈:それにしても私の上がらなっぷりがひどい。
高橋 健人:今までわたすが上がってなかったんやで
GM:ふふふ♪
GM:PC順に回ってから、最後にNPCとまいります。
GM:PC1:高橋健人。
GM:等倍ふりor倍ふり、いずれかを宣言し、バックトラックをおねがいします。
高橋 健人:倍振りを宣言します
GM:はーい★
高橋 健人:139-8d10
DoubleCross : (139-8D10) → 139-42[8,7,1,7,2,1,9,7] → 97

神崎 リサ:おお
高橋 健人:なんか奇天烈な目だな
服部 絵理奈:セーフ!
GM:おかえりなさいませ、現実へっ♪
高橋 健人:ただいまーい



GM:PC2:神崎リサ
GM:等倍ふりor倍ふり、いずれかを宣言し、バックトラックをおねがいします。
神崎 リサ:はいー。倍振りで、ゆきます。
神崎 リサ:131-8d10
DoubleCross : (131-8D10) → 131-41[3,8,8,5,3,6,3,5] → 90

神崎 リサ:ああ結構減った
高橋 健人:おかえりー
服部 絵理奈:おかえりー
GM:おかえりなさいませ、現実へ♪
GM:これからあるぞエベレストクラスの現実が♪
神崎 リサ:ただいまぁ……



GM:PC3:服部 絵理奈
GM:等倍ふりor倍ふり、いずれかを宣言し、バックトラックをおねがいします。
高橋 健人:えりちゃんも無駄に倍振りすっかー
服部 絵理奈:等倍振りを宣言しまする
GM:あはは、無難に無難だ、かもーん。
服部 絵理奈:109-5d10
DoubleCross : (109-5D10) → 109-37[7,8,10,3,9] → 72

GM:おかえりなさいませ現実に♪
高橋 健人:ちっ おかえりー
服部 絵理奈:ただいまー
神崎 リサ:おかえりー!
GM:てか思ったより減ってるな!? 1人くらいは3倍行くと思ったのに!
高橋 健人:まっさかー
服部 絵理奈:まだあと1人残ってるじゃないですかー
GM:くけけけけ。



GM:最後。NPC:桐生嚆矢。
GM:バックトラック代行はPC1:高橋健人。
高橋 健人:責任を人に押し付けるんじゃあない!!(ぶんぶん
GM:最初のルールで「代行させるよ」っていったからね!?
GM:等倍ふりor倍ふり、いずれかを宣言し、バックトラックを代行おねがいいたします。
GM:がんばれ(にこにこ)

高橋 健人:えーと
高橋 健人:倍振りします
高橋 健人:170-12d10
DoubleCross : (170-12D10) → 170-76[10,1,8,2,8,9,3,10,3,3,9,10] → 94

高橋 健人:うわ高い
服部 絵理奈:ファッ!?
神崎 リサ:おおお
服部 絵理奈:友情パワーすげえ
高橋 健人:ゆゆうじょうぱわー 
GM:けたけたけたけた (12D時の平均は66です)
神崎 リサ:おかえり……!!
GM:おかえりなさいませ現実に♪
GM:もっともソレが、優しい現実とは限りませんがね――
GM:てことで、バックトラックは終わりです。
GM:みなさまちょっと雑談側へまいりましょうか♪


 -------------------------------------------------------------------


 -------------------------------------------------------------------
 Climax After……
 -------------------------------------------------------------------

 ――廃ビル群。

 噴射の停まったミサイルは、主なきビルを壊しそこに倒れる。
 銃弾の嵐が過ぎ去れば、そこに残るのは志半ばで果てた世界の破壊者。

 辺りには、火薬と硝煙の匂いがまだ残る――。
 

服部 絵理奈:「み、ミサイル止まった……!? 嚆矢くんは!?」
服部 絵理奈:血みどろぼろぞーきんの嚆矢に駆け寄ろうと。

高橋 健人:千切れきった蔦の端をそのまま放ると霧散する。
高橋 健人:ミサイルを尻目に嚆矢の近くまで足早に向かった。
 

 正視に堪えない、無残なものが転がっている――。
 

神崎 リサ:本来であれば狙う急所を、あえて極力避けた。
神崎 リサ:そのつもりではあったが高められた一撃がどこまで彼を削ったかは自分でも確かめなければわからない。

 健人の跡を追い倒れた少年へと駆け寄る――


 《情》とやらが健人にあるのなら、それが彼を護ったのだろう。
 リサの銃撃の驟雨を受けて尚、辛うじて手厚く急所を外すような縛り方を施していた。
 普通の人間では当然この程度では死ぬが、相手は曲がりなりにもオーヴァード。そして頑丈さは取り柄だと知っている相手。
 

 ――ぱちっ。

 蔦の下から、何かがはじける音と光。
 ずいぶんと小さいが、――ブラックドックの稲光。

 ……ここまでボロボロなのに、まだ、息はある。
 

高橋 健人:織り込み済みだ。いかに全力を尽くそうと、こちらが多少の手を緩んでしまおうと――最低限、立たせないのが目的。
服部 絵理奈:「……生きて、る?」
高橋 健人:「レネゲイドの活動は微弱です。脈もあります」。と、首筋に指を添え、奔る電流には眉一つ動かさない。
神崎 リサ:「そう、か」健人の報告にわずかに安堵の息をつく。
服部 絵理奈:あたりをきょろきょろと見回し。静寂が戻ったビル街で耳をそばだてる。
服部 絵理奈:「でも……UGNの本部の人達が来ちゃったらきっと……」
高橋 健人:「ええ。大規模な処分とあらば、本部命令のこともあります。ハウンドのみならず、他の精鋭も動いているかと」
高橋 健人:ここで明らかに“面倒が来る”という眉をひそめる気配。
高橋 健人:微かに香るのは澄み渡る花の香。受けた傷に菌が入らぬよう、そしてなけなしに力を戻せるようにと。
神崎 リサ:「……このまま応援が到着すれば、おそらく彼は」
神崎 リサ:……その後の言葉は途切れる。
高橋 健人:「支部長。処理班は恐らくすぐ。このまま支部に彼を連れていき、一旦霧谷支部長に事情説明をするのも手です。いかがなさいますか」
高橋 健人:どちらにしても本部への説明は免れない。これは延命処置、ひいては悪あがきと言う名の時間稼ぎ。健人にも焦りはあるが、それはおくびにも出さないようにしていた。
服部 絵理奈:「何をするにしても、嚆矢くんも手当しないとだし……移動した方がいいのかもしれないですね」
神崎 リサ:その確認の返答が声にのぼる前、見やった先に目に留まったのは……見覚えのあるフレームとハンドル。
神崎 リサ:一緒に巻き添えを食って吹っ飛んだ愛車の馴れの果て。

服部 絵理奈:「……。支部に嚆矢くんを匿う、なら……わたしが残りますか? 処理班来た時にだれも居ないのは不自然ですし」

 ――す、と、風がこちらへ、撫でた気がする。

 なれの果てのその向こうから、人影が2つ。
 真摯で冷たい表情の、長い髪の少女がひとり。
 その後ろについてくる形で走ってきているのは、ゆるい感じの少年がひとり。

 もしかしたら、見覚えがあるかもしれない――“絹の蜘蛛”と“隼の剣”。
 

玉野 椿:「ああもう! あなたがちんたらやってるからっ……」
“隼の剣”:「はっはっは、これでも全力だって―。てか椿のが足はやいんだからしょうがないだろーっ」
玉野 椿:後ろのゆるゆるにいらっ☆ てしながら。
服部 絵理奈:「た、玉野さん!」
高橋 健人:《領域》に入ってくる相手の気配は痛いほど覚えがある。もう一人の存在は、付随してくるに値する人間。
神崎 リサ:あれを修理して、このまま嚆矢もろとも支部に引き返してしまえば。そんな思いが一時頭をもたげる。しかし聞き覚えのある声が耳に届いて顔をあげた。
高橋 健人:2人の言葉、仲間の動きにワンテンポ遅れて立ち上がった。もうかける服はこれしかないと――制服の上着を嚆矢にかけながら。
“隼の剣”:「あー、もうほとんど終わってるなーこりゃ」
玉野 椿:「……あなたがもうちょっと早かったら……」
“隼の剣”:「ヘイヘイすみません。ンじゃ後処理してくるんでなー」

 “隼の剣”、高崎隼人。
 緊張感があるのかないのかわからない口調。玉野椿の肩をたたいては、ビルに落ちているミサイルの方へをさっと向かう。
 

高橋 健人:「お待ちしておりました」深々と玉野に向かい一礼。そのたおやかな動作は、傷を負っているにも関わらず平時と変わりない。
玉野 椿:「……お疲れ様、いきなり大変だったわね。ジェルマン。そして――」
玉野 椿:軽く会釈する、絵里奈ちゃんの方に。
服部 絵理奈:少し慌てた様子で会釈を返す。
神崎 リサ:「……相変わらず仲良さそうで何よりだな」 2人のやり取りを眺めていたら、ふとそんな一言がとんでいた。
玉野 椿:リサちゃんの方を向く。
玉野 椿:「ファイアフラッシュ、少し頼まれてくれるかしら? そこの女の子を、おうちまで送ってほしいの、今すぐに」
神崎 リサ:「絵里奈を送り届けることは、喜んで引き受けるが」じ、と見返したまま動く気配はない。
服部 絵理奈:困惑した様子で玉野さんと支部長を交互に見ています。
玉野 椿:「……」

 情という温かみが消える。敵を前にした時の、冷たいチルドレンの顔。
 

玉野 椿:「あまり、みせるものじゃないので」

 そういうと、手を差し出して構える。
 服をかけられた、“解放者”の方へ。
 

高橋 健人:「失礼いたします」玉野の手先、ひいては視線を遮る形で立つ。
玉野 椿:「……」
玉野 椿:「通達を、聞いてなかったかしら。ジェルマン」
高橋 健人:「命令を遮るような形になりまして申し訳ございません。ですが本部、UGNの立場も含めて顧みて頂きたいことが幾つか」
玉野 椿:「どうぞ」

 ぽそりと、
 絵里ちゃんに向かい“今のうちに帰りなさい。ここからは、コチラの世界の話になるから”と。
 

高橋 健人:「一エージェントの提言で、どこまでお汲み頂けるか。些末事になる、時間を取らせることにもなるかもしれませんがお聴きくださると幸甚です」

 もちろん猶予はないが――ミサイルの発射を止めたという状況がある。
 まだ、時間は残されていると信じている。


高橋 健人:玉野の言葉にまた深々と頭を垂れ、身なりを正す。足を揃える。
高橋 健人:そこから絵理奈やリサを一瞥した。
神崎 リサ:「いや、絵里奈にもそれをこの場にいる権利はある。ここまで任務に携わってきた当事者、なんだから」
服部 絵理奈:「ま、待って……くださいっ!”リベレーターズ”に潜入していた時に見聞きしたことで話さなければならないことが……!」
玉野 椿:絵理奈の声を聴いて少し困惑する。小さくため息をつく。
玉野 椿:「……まあ、教えていいよって言ったから、大丈夫かなーはあったんだけど……」
高橋 健人:一瞬目を伏せた。一応こちらには伏せていた事項だが、こうなったからには仕方ない。
玉野 椿:「積もる話ならば、後で聞くわ」
玉野 椿:「こちらはね、不穏分子がはびこってるからそちらにも飛び回らないといけないの」
玉野 椿:「――そこの反逆者は、まだいきてる。蘇らないようにきちんと”処理”をして、次に行かないと」
高橋 健人:「“証拠”たりうる人間を処分するには早急だと、端的に意見させて頂きます」
玉野 椿:「イスカリオテとのつながりの証拠? ならば不要だわ。コイツの手下にもイスカリオテは通じていた。もちろんもっと近くのもののがいいのでしょうけれど」
玉野 椿:「それならば、死体から聞いた方が安全。危険なジャームを、生かしてはおけない」
高橋 健人:「“反逆の聖人”だけではなく。リベレーターの子供らとは異なる、UGNの他エージェントとの繋がりに関してもそうでしょうが」
高橋 健人:「――ジャームではない、という了見です。それもあり生かしている」

玉野 椿:「ジャームであろうがなかろうが、世界を脅かしたものに生きる道理はないわ」
高橋 健人:「事の発端もUGNのその捏造により起きている。ミサイルの手配含め、それらが政府側に露呈すれば、ミサイルを盗った挙句無闇に殺しを起こしたことになります」
玉野 椿:「既に露呈はしてるわね、防衛隊から盗んだのよね、このっ」

 怨嗟の視線がボロ雑巾に突き刺さる。
 

高橋 健人:「リベレーターズではなくUGNが盗んだ、という認識はすでに政府側にも?」
玉野 椿:「そこまでは私も知らないわ。リヴァイアサンなら把握してるのでしょうけれど、あの人いまちょっと」
GM:普段以上につなぎが取りづらい理由はあなた方PCなら察せるでしょう。(なう代理指揮&保護の並行中)
高橋 健人:「――全ては与儀大介らがチルドレンの事実を捏造し、反乱を唆し、ミサイルを手配し、起こしたこと。責任を彼に負わせて処分するのなら、それこそ教官が負う責務ではないのでしょうか」
高崎 隼人:「……」

 背景では、ミサイルがいつの間にか消えている。
 ちょこまかと少年がひとり動いては、ささっとあれやこれやに触れては荒く修復していって。
 

玉野 椿:少し考える。

 それが事実なら、確かにではあるのだけれど。そんな悠長な問題だろうか? 
 リベレーターズは世界を破壊しようとした、そんな危険思想のものを生かして連れて帰る?
 

玉野 椿:「……手が回るかな……」
高橋 健人:「それとも“教育”しおえた後の責任の一切は取らない、それが正しくない形であれど――というのがUGNの応対と取られますが」
玉野 椿:「教育し直し、にはなるでしょうね。そこまで無責任じゃないわ」そういうと手を降ろす。
玉野 椿:「どれにしても拘束よ。染まっててどうしようもないなら逆洗脳みたいになるかしら。自由とかなんてあるべくもない」

 自分のことは、ある意味棚に上げているのか下げているのか。
 健人は霞んだ元教官の顔を思い馳せ、すぐにかき消した。思い出すのも無駄だ。


 感謝の念の是非は曖昧だ。
 拾ってくれた命がUGNであれば、彼にも? 
 それは全てではないが、よくも悪くもとしか思っていない。死ぬよりはマシだった。


 ――代わりに思い出したのは、あの思い出の場所と思い出せる限りの仲間の顔だった。
 

高橋 健人:“ホーム”にロイスを取得。 ○遺志/疎外感 
服部 絵理奈:「逆洗脳、って、そんな……」

 ――『《犠牲者》となる人柱がいる。誰をスケープゴートにするの?』


神崎 リサ:ふと、あの少女の声が蘇った気がした。

 そんな折、ちょこちょこと戻ってくる。
 2人の邪魔にならない範囲で、しゃがみこんで、服掛けられた少年に触れる。
 

玉野 椿:「……あ」
高崎 隼人:軽く手を上げる。
玉野 椿:むっとした顔。「終わったの?」
高崎 隼人:「ん。終わった、ミサイルはこんな感じ」
高崎 隼人:手を出すと、小さな弾丸みたいになったミサイルが2つ。
高崎 隼人:「修復も荒くしたし、“事情聴取”もしといたよ」
高崎 隼人:すると、3人の耳傍へ、風が音が運ばれる、《彼方からの声》。
高崎 隼人:『ぜんぶ聞いてたし聞いたけど、“俺が今見聞きしたことをまるっとそのまま、椿にボスに伝えちゃって構わないんだな?”』
神崎 リサ:「――!」

 これまでの健人との"花"のやりとりで、ある程度慣れていたおかげか。
 声を飛ばした彼を除けば、リサの様子はただ振り返って目を見開いただけのように見えたかもしれない。


玉野 椿:「じゃ長居は無用ね。生け捕りにするならするで、――隼人もてる?」
高崎 隼人:「ぇ、めんどい。モノなら折りたためるんだけどなあ……」
高橋 健人:わずかに管丁字を忍ばせておきましょう。
高橋 健人:『リベレーターズの処遇に関しては彼らの望むままに出来ないのは承知しております。ですが、“ジャーム”の捏造の事実は訂正して頂きたい』
高崎 隼人:『ねつ造はよくわからんが、要は判断が違えたってことか? 割とすぐだとおもうが、どれにしてもそれ生け捕りにしたところで待つのは死か戦闘人形だぞ。なんもしなきゃ』
高橋 健人:『――――』
高橋 健人:僅かにうつむく仕草。
玉野 椿:「はいはい、じゃあ私が持っていきますよ―だ。でも連絡はお願いね?」
高崎 隼人:「うーす」

 風が吹く。
 隼人がエフェクトを使って、処々連絡をしているようだ――。
 

高橋 健人:『高崎さん』
高崎 隼人:『ん、なんだい?』
神崎 リサ:自分には健人のように声を飛ばす手段を持たない。かと言って声を出せば傍らの椿に届いてしまう。
神崎 リサ:だから、隼人の目を見、静かに首を横に振った。
GM:いや、え、と。
GM:聞こえないようにとか宣言して、わかるように(たとえば『』でくくるね)もらえれば、隼人にのみ届くよ……(《彼方からの声》)
GM:(と、雑談で説明したんですけどね)
神崎 リサ:あ、それはこっちからも察せる……から説明合ったんですねスイマセン!!
高崎 隼人:リサちゃんを一瞬見て。
高崎 隼人:『そ。まあお上からの任務は知ってると思うんで、そのままおわりでいいんじゃね? N市部の疑いもはれるだろうさ、ここまで金星あれば。お疲れさん☆』
神崎 リサ:『だめだ。それじゃ桐生嚆矢が、彼らが救われない』
高崎 隼人:『でも救わないだろ、アンタの仕事はここで終わりならばさ』
高橋 健人:『せめてこちらで預かることは不可能なのですか』
高橋 健人:絞り出した声に、苦し紛れの色。
高崎 隼人:『イスカリオテを結託して防衛省からミサイル盗んで、本部の教官ぶち殺しました。で、一介のエージェントで預かるでは済まないよさすがに。統括者や管理人がバックにいりゃ、また口添えできる奴もいりゃ話も変わるんだろうけれど、そうじゃないだろ? ジェルマン』
玉野 椿:「んー、隼人、かかりそう?」
高崎 隼人:「わかんね、ってかN市にどんだけいたと思ってんだよこっから連絡けっこーきっちーんだぞ?」
玉野 椿:「ぱーとメールしちゃえば早いじゃない」
高崎 隼人:「……メール使ったからブラックドックに傍受されて先こされた、わけなので……すけどー……」
玉野 椿:「はいはい、じゃあもうちょっと待ちますよ。……リヴァイアサンの苦労が察せるなあ」
神崎 リサ:『いいや。この事件の真相を、原因を解明させるのがあたしの仕事だ。このままではそれは未完全なまま』
神崎 リサ:『だからまだ終わってない。これもそのひとつ』
高崎 隼人:『あ、それならさっき《サイコメトリー》でぜんぶ視てきた。ミサイルやらそこのバカ視点だけどな。なんでそれで、報告で終わり』
高橋 健人:『……霧谷支部長』独りごちるように、玉野の言葉を拾い上げるように述べた。
高橋 健人:『――“リード”』
高橋 健人:『“リード”も処分ですか? それとも引き続き霧谷支部長の配下として?』
高崎 隼人:『んー……アスカ、てこか?』
高橋 健人:『白銀明日香。霧谷直属のチルドレンとお伺いしております』
高崎 隼人:『そこのバカが脱走させたてのが失踪の真相なようだから、たぶん処分までには至らないと思うけれど。《教育》で、上の命令を聞く人形に逆戻りだろうなあ。たぶん』
高崎 隼人:『ほっとく場合は自由はまず難しそうだなー……失踪の原因はそれだけど、そいつがミサイルの解除コード読みとって教えたのがここでこうなってるからなあ……』
神崎 リサ:『……』
神崎 リサ:身じろぐ気配。でもここでうなずいて引き下がっては。指をくわえて見送ってしまえば、すべては自分たちの手から離れていってしまう。
神崎 リサ:『それで彼を処分して、チルドレンたちをまた再教育して』
神崎 リサ:『今回はそれで解決した、終わったんだとしても』
高崎 隼人:『もっかいいおうか、ファイアフラッシュ』
神崎 リサ:『……第二のリベレーターは必ず現れるぞ』
高崎 隼人:『どんだけ威勢がよく煽ろうとも、俺を俺らを誹謗中傷しようとも』
高崎 隼人:『”お前は救わないんだろ”』
高崎 隼人:『なら、黙ってみていろ』
神崎 リサ:『その改善策までお前はあげられるのか』
高崎 隼人:『そのことばはそっくりそのまま返すよ、俺の管轄じゃない』
高橋 健人:「玉野さん、せめて状況確認としてライトニングボルトを支部に一度連行できませんか。支部には霧谷支部長の――リードがおります」
高橋 健人:「彼だけを《サイコメトリー》したのみでは不十分です。リードも近い所に居た、彼女も読んで欲しい。そのためにライトニングボルトを引き連れたい」

玉野 椿:「手がかかるから隼人だけでいいんじゃないかなー……雁首揃えても遅いもの」
高崎 隼人:「どーかん。読むだけなら俺だけでいい。椿、とっととそのぼろぞーきん、しかるところに送ってくれ」
高橋 健人:「リードは不安定な状態です。ライトニングボルトの安否を酷く懸念しておりました」
玉野 椿:「……連絡は?」
高崎 隼人:「終わっ……ちゃいないが道すがらやるよ」
玉野 椿:「ん、じゃ行こうか」よいしょと、ぼろぞーきんを拘束する形でかつぎあげる。
高橋 健人:「せめて顔を合わせるぐらいの時間をください。……俺にもあいつと、彼女に、そして霧谷支部長にも話さなきゃいけないことがあります」
高崎 隼人:「んー、とだ」
高崎 隼人:「顔を合わせて何をする?」
高崎 隼人:「いったろ、この騒動でゆるくピクニックなんて時間がないって」
高崎 隼人:薄く、怒ってる気がする。
高崎 隼人:「一介のエージェントの判断は越えてる、ジェルマン。あんた一人でどうとかなる問題じゃない、かといって」
高崎 隼人:「それこそその判断はアンタの個人独断だ、支部長もその上も何も言わないし介入はない」
高崎 隼人:「特に、ファイアフラッシュが黙殺してるんだ。……何もしない手を出さないという判断だろう。まあ懸命だな」
玉野 椿:「……隼人?」
高崎 隼人:手で制する。
高橋 健人:眦を少しだけ決する。リサは何も言わない。自分の権限では限られてくる。
高崎 隼人:「さっさといこーぜ、ほかの連中もカタつけなきゃいけないんだ。こんな寒空でばか話なんてやってられないしさ」
神崎 リサ:「……待て!」
神崎 リサ:「いや、待ってくれ」
高崎 隼人:ずいぶんと、冷たい目でリサちゃんを振り返る。
高崎 隼人:「なんだ? ファイアフラッシュ」

 本部エージェントの彼をひきとめようと、そればかりに注意を向けてしまっていた己の意識がようやく我に返る。
 それは目の前で彼らを見送ろうとしていたのと同義だ。


神崎 リサ:「健人の、ジェルマンの判断力は支部長のあたし以上だ。だから、彼の意見を聞いてやってくれないか」
高崎 隼人:「断る」
高崎 隼人:「より厳密には、既に意見は聞いた。聞いたうえで”連れて帰る”だ」
高崎 隼人:「お前の判断はこの場において”何もしない”なのだから、さっさと支部に帰ってリヴァイアサンの負担を軽くするんだな」

 ――顔は平静を保とうとしたまま、ぐ、と拳を握りしめ。リサを射抜くように見て刮目する。“自分だけではどうにもならない”。
 ――“自分の声は届いても、受け容れられない”。

高橋 健人:『――俺だって責任は取りたい、けれども俺だけではどうにもできない。どうか、支部長――』
 
 力のない自分に、添えて欲しい。今まで頼られてきたのはよく理解る。それだけ能力を認められていたからだ。
 それでも最後に振るうのは自分の腕ではなく、支部長というリーダーの腕/指揮だ。

 互いに何をし、何が出来るのかを見極め……それでも自分の口から自分の言葉で告げられないのであれば、健人は奥歯を噛むしかない。

高橋 健人:また絵理奈をも見る。関与していて尚、当事者の言葉を聞けずに終わるのか。

 玉野と言葉を交わしても、今ここで更に告げられることはないのか。
 立場が自分より下である、そんなことは今更だ。それでも本部の任務に連なったイリーガルとして、言葉を尽くして欲しい。
 
 彼らがどういう境遇にあったからこそ、それを間近で見た者だからこそ。
 

高橋 健人:――《絆》を全て、ここで断たれてしまうのか。
服部 絵理奈:「私は――リべレーターズに潜入して、その子たちと交流してきました……」
服部 絵理奈:「彼らはただ、わたしみたいな者が普通に享受してきた日常が欲しかっただけ、に見えました」

服部 絵理奈:「学校に行って、友達と遊んで、笑って、好きな事をする……っていう」
服部 絵理奈:「わたしは、覚醒した時、UGNに協力するかどうか、選択肢を与えて貰えました。リベレーターズの元UGNの子にも、UGNに戻らない自由、っていうのがあってもいい……そう私は思うんです……」
高崎 隼人:「お嬢ちゃん。あえてお嬢ちゃんって呼ばせてもらうけど」
高崎 隼人:「《自由》ってのは、何をしてもいいわけじゃない。起こしたことには責任が伴う」
高崎 隼人:「戻る自由、戻らない自由。選択肢を与えろってなら掛け合え――ってまあだから俺に掛け合ってるんだろうけどさ」
高崎 隼人:「その前に、その家出連中は、勝手に家出をし、あまつさえ大騒動までおこした罰は、受けなきゃいけない」
高崎 隼人:「俺は罰を与える任務とかあんまりどーでも~なんだけど」
玉野 椿:「こら隼人」
高崎 隼人:「《かわいそうだから、よそで幸せになりなよ》なんて、家から出して、家があるのか?」
高崎 隼人:「ないならただそれは、野良の危ない世間知らずの捨て子にするだけだぞ」

高崎 隼人:「俺も椿もチルドレンだ、そこのジェルマンも、ファイアフラッシュも」
高崎 隼人:「チルドレンは、より厳密にいっちまうと、お嬢ちゃんみたいな日常、外の世界を知らないで育ってる」
高崎 隼人:「日常の世界を、その常識を知らずのままなら、俺らの物差しで、チルドレンの物差し・常識でとうぜん行動しちまう」
高崎 隼人:「モノを破壊する、動物や人をころす。割としょっちゅうだ。何分対オーヴァード兵器として、対ジャームで教育されてるんだしな」
高崎 隼人:「家に、UGNに帰るならそれ相応の罰はある。同時にしでかしたことを再度繰り返さない用の教育がある。それが言い方かえたら洗脳レベルのきっつい奴かもしれなくても」
高崎 隼人:「家に帰らない、UGNの外に生きるなら、野放しにしていいわけじゃない。――お嬢ちゃん、そこまで考えてるか? ただ《かわいそう》なんて同情じゃ、すまないんだ」
高崎 隼人:「――嬢ちゃんがかわりに、家出連中に嬢ちゃんの日常を居場所をあげて。嬢ちゃんがチルドレンたちみたいな任務に追われるよーに、なるわけじゃないんだしさ」
服部 絵理奈:「自由には責任が伴うし……そっか……リベレーターズを潰されたらもう帰る場所がUGNしかないんですね……」
服部 絵理奈:「ごめんなさい、そこまで考えが回ってませんでした……」
高崎 隼人:「わがままいっぱいのガキンチョが、何するかなんて想像に難くないだろ?」
高崎 隼人:「思い通りにいかないから癇癪起こして壊すとか、しょっちゅうだ。それをオーヴァードの力で振り回したら――てことさ。だからおいそれとなんていえないってこと」
服部 絵理奈:「今回の件はいわば世界を壊そうとしたようなものですもんね……。うぅ」
高橋 健人:「……そうです、自由とは枠の中にあるもの。その外にあるのは無法、ならず者として世間に排他されるのみ。彼らが望んでいたことは判るが――」

 それは同時に《枠》を壊すということ。自由ではなく、生み出すのは恐怖や混乱だったのではないか、いつかの日を記録でなぞり考えたこと。
 

高橋 健人:「けれど、“家”に帰すとて、教えることは一つとは限らない。俺はそれを望んでいる」
高橋 健人:「その“家”も一つでもない、と……俺は……考えて、いる」
服部 絵理奈:「家も、ひとつじゃ、ない?」目を丸くし

 伏した瞼の裏に描いた、笑顔の“子供”。
 それは怯え逃げ、行き着く所に行き着いた。

 あれも彼女が、リサが望んだ一つの結末。
 同じように手にしたい結末を、しかしあまりにも手に余るその大きさに健人は薄く目を開いた。現実はここ。


 自分に求められているもの。ひとこえ。
 健人が放った一声と意思ある眼差し。
 食い下がってくれた絵里奈の一声。

 それだけじゃあだめだ。あたしの一声がいる。

 ぐるぐるとうずまく思考を叱咤する。
 これ以上なにも言わなければ、言えなければ。どうして自分がここを選んだのか。それを否定することになる。だから。


高崎 隼人:「ま、立ちんぼーずもなんだからいこう」
高崎 隼人:くるり、背を向けて先導する。
神崎 リサ:「――一介のエージェントの言葉がきけないんなら」
高崎 隼人:「おーい、椿いこうぜー!」
玉野 椿:「ちょまっ!? ほんと勝手にっ――」
神崎 リサ:「責任者の一声があればいいんだな」これは自分に言い聞かせるように。
高崎 隼人:振り返らず歩みを止めず。
高橋 健人:「言葉だけでは足りません。行動しなければ、意味がない」
高崎 隼人:「そうだな、見てるだけの神輿じゃない、実際に行動できる責任者のな」
高崎 隼人:通る声が響く。
神崎 リサ:「ならば! あたしが!」
神崎 リサ:「彼の! 桐生嚆矢の後見になる!」
神崎 リサ:声を、はりあげる。ぶつける。
神崎 リサ:「道を教えなおす……その責任を負う。受け入れる」

 くるり、向く。
 動向開く、陰惨な目。
 

高橋 健人:首を振る。
神崎 リサ:「……それはあたししかできない!」
高崎 隼人:「どうやってだ、神輿の支部長」
高崎 隼人:「《責任を負う》なんて軽かない。そのバカがしでかしたことは世界の破壊」
高崎 隼人:「手下のチルドレンにしゃべらせて、高みの見物してるようなカルい神輿に負えるものか」
神崎 リサ:「……あたしは、いや」
神崎 リサ:「……その通りだ。担がれて、支えられる事が当たり前だと、助けてもらえるのが当たり前だと、甘えて」
神崎 リサ:伏せかけた目を再び前に、目前に戻す。ここであきらめるわけにはいかない。
神崎 リサ:「あたしたちは霧谷支部長に一任されて、一番彼らのそばで事件を追ってきた。現場を見てきた。この事件を、彼らを知った」
神崎 リサ:「彼らと引き換えにこの地位を奪われるというのなら喜んで返す。身を切れっていうならここで切る」
高橋 健人:「――支部長。犠牲に成り立つ上での結実は、また犠牲でしかない。それこそ“人柱”になった彼のように」
高橋 健人:「必要なのは“守り抜く”覚悟です。その上での末路に……死があるのかもしれないにせよ」
高橋 健人:「貴方に求められるのは、大いなる器。受け容れるもの」

高橋 健人:「対価は必要です。それが貴方を失うことで済むのなら、俺だってそうするッ……!」
高橋 健人:逸していた視線を、振っていた首をリサに向ける。


 そんな安いともいえないが、ここで何もかも捨てるのは違う、と暗に健人は言う。

 自分を捨てて彼らが助かるのならとっくにそうしていた。
 現にそうならないからこそ、苦渋の懇願をしていたのだ。そのための力が足りていないだけで。


高橋 健人:「貴方は彼らを見て何を感じたのかッ!」

 ――肩が強張り、ついに怒気を孕んだ声色になる。
 ……やがて息をついて、謝罪をし、また俯いた。


高崎 隼人:小さな溜息。
高崎 隼人:「だからいってるだろ、”カルい神輿”と」
高崎 隼人:「そうだな、じゃあこうしようか」
高崎 隼人:「俺がボスに口添えしてやる。支部長たる管理者の地位を、ジェルマンに譲れ。そしてその場でしね」
高崎 隼人:「そうしたら、そこのぼろぞーきんの身柄は渡してやる」
高崎 隼人:陰惨を通り越して冷酷な、高圧的な様子で言い放った。

 びくりと肩が揺れた。
 明らかな動揺の気配。

玉野 椿:「ちょ、隼人!?」
高崎 隼人:黙ってろ、とばかりに、再度手で制する。

 ――はやと君の耳傍に、小さな声が聞こえる。
 

高崎 隼人:『あんたが啓蒙する、支えるものはそこまでバカか試させてもらうよ』
高崎 隼人:『もっともこいつを受け入れたら、《れみんぐす》だったかもいっしょにおじゃんの上、遠からず桐生も、――にゃなるんだけどな』
高橋 健人:返答はない。
高橋 健人:ただ、先の動揺が返事のようなものであるだろう。
神崎 リサ:「――」

 目を見開く。
 彼はただ自分の発したことばを返してきただけだ。
 ならば身を、地位を切れと。それを本当に望むのならば、と己に投げかけている。

神崎 リサ:――未だ両手におさめられた"それ"に視線を落とす。
 
 たくさんの相手を傷つけてきたそれ。誰かを守る為にと向けてきたそれ。

 たとえ自分が傷ついても、それで誰かが傷つかずにすむのならばと。
 それ以上誰かが悲しまずに済むのならば、また笑顔を取り戻してくれるのならばと。

 "それ"を握って奔走してきた、根本のひとつ。


服部 絵理奈:「ーー!」泣きそうな顔で隼人と支部長を交互に見ている……

 もしこのまま己が身を切れば、健人の友人はたすかる。健人は決断を下す力を得る。
 自分がいなくなる代わりに、自分が今投げつけた望みはすべて叶えられる。


神崎 リサ:……だが、それで本当に自らが望む結果になるのかと。
神崎 リサ:誰もが望んだ結果になるのかと。……改めて自答、するまでもなかった。

 ――いまわの怒声が耳元でこだましている気がした。

神崎 リサ:「……あたしは」
神崎 リサ:「どこまでも、おろかだったな」
神崎 リサ:同じ過ちを繰り返す己へ。信頼を寄せる部下に応えてやれなかった己へ。ぽつりと零す。
神崎 リサ:そして。両手の中の"それ"をもう一度だけ見て。力をこめる。

 ――さらさらと、二丁の銃は細やかに煌く砂へと転じた。

神崎 リサ:「……すまない、ファルコンブレード。自分で言い出した事だけれども」
神崎 リサ:「それは、それだけはできない」
高崎 隼人:「死は地位は軽くない。責任ある立場にあるやつの、ことば一つでいくらでも変わる」
高崎 隼人:「ファイアフラッシュ」
高崎 隼人:「いま、アンタは《自分の言葉》を覆した。引き換えにするなら、喜んで地位を返すし身も切るんだろ」
高崎 隼人:「――そんな尻軽な奴のことばを、だれが信じる」
高崎 隼人:「後見になる? 責任を持つ? 道を教えなおす?」
高崎 隼人:「……もう一度言おうか」
神崎 リサ:「……」
高崎 隼人:「“手下のチルドレンにしゃべらせて、高みの見物してるようなカルい神輿に負えるものか”」

 ひたすらに、目を閉じて肩を震わせている。

 これ以上言うことはできない。
 口を挟むことは、リサにも隼人にも良くないと理解していた。


神崎 リサ:「……本当に」
神崎 リサ:「全部負うって言ったくせに。その手で全部放り出そうとしたんだな」

 自分がいなくなったら。自分が今背負ってきたものはどうなるのか。
 一時でもその重みを忘れてしまったのか。

 いや。


神崎 リサ:だが彼らにはそうとしかとられない言動を今自分はしたわけで。ぎり、と奥歯が鳴る。
神崎 リサ:「それを負えるのはあたしだけ。彼らを救うための、責任を」
神崎 リサ:「――それを、生きて、果たすのは。あたしの役目」

 ――不意に頭を下げた。深く深く。膝を覗き込むように。

神崎 リサ:「……頼む、いや」
神崎 リサ:「お願いします。あたしに彼を、桐生嚆矢を」
神崎 リサ:「N市支部で、支部長であるあたしの監督のもと、預からせてください」

 く、と瞼を再び上げて、隣に並ぶ。

高橋 健人:「嚆矢だけではない、“リベレーターズ”の処遇に関しても、どうか考えて頂けませんでしょうか」。

高橋 健人:「彼らを恐怖で縛り付ける、洗脳する、そういったことは……反発を増長させるだけ、というのは、おわかりだと存じております」
神崎 リサ:目元を覆う熱を、震える声を、意思の力で叩き伏せようとする。もう、自分にできるのは。
神崎 リサ:そっと誰かがよりそう気配を感じて、ぐ、と歯をくいしばる。
高橋 健人:「彼一人預かるだけでは、難しいこともあります。彼を慕っていた子らを、多少でもいい、こちらで受け入れたい」

 数多といるだろう。支部の空き室だけで埋まるのか。それはある。だが、そこに関しては既に考えはあった。
 支部長も肚を括り、健人も言葉は尽くした。あとは、沙汰を待つしか無い。
 

高橋 健人:――そうして、3度となるか。頭を下げた。
服部 絵理奈:「わたしからも、お願いします――。他のリベレーターズの子たちも、罰……というか反省して貰わないといけないんですよね……?」
服部 絵理奈:2人の隣で、頭を下げた。
高崎 隼人:「反省、なんて軽い話じゃすまないけど、まあそうだな」

 ――すう、と風が通る。
 ――冷たい風が、なぜる。
 

神崎 リサ:もう片方に寄り添う気配と声とを感じて、ひたすらに膝を――その上にある傷跡を覗き込む。
神崎 リサ:ラッキースター、"幸運の流れ星"。それを見据えた。
高崎 隼人:「んじゃその話、キネマ・アルバでも同じことやってくれ」
高崎 隼人:んーっと、伸びをする。
玉野 椿:「……はーやーとー?」ジト目でみている。
高崎 隼人:「あー、うん。分かってたと思うけどちょっと試したし」
神崎 リサ:「……え」
高橋 健人:あっこっちがびくっとした(脊髄反射
高崎 隼人:「うちのボスにもリヴァイアサンにも今の光景、通してたんだよねー」
神崎 リサ:思わず振り仰いだ先の言葉の意味を理解するのに数秒程。
神崎 リサ:「……あ、え、それって」
高崎 隼人:「てことでリヴァイアサンからの伝言」
高崎 隼人:「“事情は後でお聞かせくださいね”」
高崎 隼人:「んでボスからはすっげー苦笑してたけど、“結果をだしたなら”だとさ」
高橋 健人:ゆっくりと体勢を戻す。
高橋 健人:「……ありがとうございます。貴重なお手間を、お時間を――取って頂き、感謝しております。“あの方”にもよろしくお伝え下さい」

神崎 リサ:「…………」

 まさにぽかん、と口を開ける事しばし。
 その間めぐる思考もまたいくつか。

高崎 隼人:ぱんぱんと手をたたく。
神崎 リサ:「あ、あ、ありがとうございます」健人にならったつもりで、入れ替わりにまた勢いよく頭を下げた。
服部 絵理奈:「わ、あ……。ありがとうございますっ」
高崎 隼人:「ツーことで、マジ行くぞ! 椿、それたのんだ!」
玉野 椿:「はいはい、ったくもう……なぁんでか弱い女の子がもっていくのよー」
高崎 隼人:「いやだって、椿が人ひとり担いでも俺より早いじゃん、それに」

 近くにあった残骸から、練成する。
 バイクをその場で、創りだす。
 

神崎 リサ:2人が去るまで、リサが頭をあげるそぶりはない。
高崎 隼人:「とまあ、俺が運転するんで。そこは1つ」
高崎 隼人:「あとほら、いろんなめんどくさい調整もやっからさ?」
玉野 椿:「ぁーはいはいわかりましたわかりましたよ。もう」
玉野 椿:ぷんぷん言いながらバイクに乗って。
高崎 隼人:「んじゃそゆことでー」
高橋 健人:一礼。

 ぶろろろろろ……。
 夜闇に消えていきました。
 

高橋 健人:ながーいながーいため息を吐きましたとさ。
服部 絵理奈:ぽかーん、としつつへなへなと床にへたり込む。
神崎 リサ:「……」
高橋 健人:「…………。自分から申し上げることは特に無いです」

 短く、重い一言。
 

高橋 健人:本人達自身が身を以て体験したからこそ、
高橋 健人:健人のちくちくタイムは当人の疲弊もあってか今日はないようだ。
高橋 健人:「支部に戻りましょう」あとバイク直してください。とのこと。
神崎 リサ:ともあれば膝を抱えて座りこみそうになる下半身に、力を込める。

 ……正直なところ。
 いっそもうこのまま座り込んでうずくまってしまいたかった。けれど。

神崎 リサ:ぐ、と膝に沿えた腕をつっぱって身体を起こす。テールライトはもう遠かった。
高橋 健人:『――支部長の気持ちはわかっています。言葉を誤っても、彼らを救いたいという心。ですから、これからが正念場ですよ。よろしくお願いします』
高橋 健人:微笑う気配。すぐに正された表情と共に、差し出した手。

 不意に脳裏に響く聞きなれた声。
 それがどこか柔らかであったような気がして、引っ込みかけた目元の熱が噴出してしまいそうなのを、慌てて瞬きで散らす。


神崎 リサ:『――ああ、ああ。こちらこそ、よろしく頼む』
神崎 リサ:差し出された手に自らの手を重ねた。

高橋 健人:そしてもう片手は絵理奈へと伸ばされた。
高橋 健人:『絵理奈さん、貴女もよくここまで来てくださいました。今は暇もありませんし、申し訳ございませんがおつきあい下さい』

神崎 リサ:健人にならい、自らもまた地面にへたりこむ絵里奈へと手を差し出した。
服部 絵理奈:差し出された手を掴み、立ち上がる。
服部 絵理奈:「うん、いろいろやらなきゃいけない事もあるみたいだし、付き合うよ。うちには従者が帰ってるはずだし……」
高橋 健人:それに対する直接的な言葉はないが、頷いた。少しよろける仕草があり、手を握り返して持ち上げる。
高橋 健人:「――くっしゅ」、上着諸々をいきなり失ったので体躯は寒かった。
神崎 リサ:絵里奈の手を握り返すと、また力を込めて引き上げる。絵里奈が立ち上がった事で3人で輪を囲む形となった。
神崎 リサ:「健人に、絵里奈」
神崎 リサ:「……」ふと、何かを探すような間。
神崎 リサ:「……その。ありがとう」
高橋 健人:やはり頷いて返すだけ。手を離してそそくさとバイクの残骸に歩いていった。
服部 絵理奈:リサの言葉には微笑みで返し。

 それぞれの2人の顔を見て、また自らも頷きながらも。泣き笑いの様な笑みを返した。

服部 絵理奈:「このままじゃ高橋くんが風邪引いちゃいますし、支部に戻りましょう?」
神崎 リサ:「そうだな、また寝込まれる前に、帰るぞ」
神崎 リサ:絵里奈の手を引いたまま健人の後を追う。今度こそ愛車の元へと向かう。

 そうしてバイクが元通りの形になれば、また2人を乗せて帰路に着くのだろう。
 我が支部へ、待つ人の元へ。



 -------------------------------------------------------------------
  
GM:てことでっ。
GM:今日はここまでかな、絵里ちゃん体調不良みたいだし。
GM:てことでおつかれでーすよー
服部 絵理奈:お疲れ様でしたー!
高橋 健人:あいよう
高橋 健人:おだいじにあんどおつかれさまです!
神崎 リサ:お疲れ様でしたーお大事に……!
GM:次は24日かな、純粋にエンディングです。しかも最終エンディングです。
GM:んではちょっと雑談にこようかみんな(ずりずり
“鮮緑の支柱”:だぞっ