先言っときますけど思いっきり自己満足なのであしからず。
時間軸的にはPC2のアフターパート、ガチ直後。
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Side Noname
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「……ふぅ」
報告書を描き終わって一区切り、チェアにもたれて空を仰ぐ。
ひと段落は付けていい、筈……
此処は支部のデスク前。
上のモニターに一通り報告をしてから医務室に処々をしておいてからサラサラ動く。
しぶちょ〜はしぶちょ〜でアフターをしてくださっているから、此方は此方の領分を。
バカは医務室で寝てる。
医務班には『当座大事ではない』『後回し』と言われたけれど、あっさり寝たんだからまあ……ね。
周りもぼろぼろだけど“石”を持った彼女が傍にいるから大丈夫。
いざとなっても彼女なら、意志を持っているから大丈夫。
――多分。
色々不安な処はあるけれど、多分。
意志の方向性は間違ってはいないわけだし大丈夫……多分。
まあそこは私の領域外。
私は芳しい純白の百合が佇む様なサマなんて、澄んで穢れ無き光だなんて世辞にも言える訳も無い。
私は“白”という色すら持たない、色なき色――言うなれば、空っぽ。
総からくの色(シキ)を束ね指揮する程に、識も色も持ちはしない。
だけど空では無では名前が無い、呼ぶ為には便宜上でも名前がいる。
空っぽなものを比喩するのには、よく“闇”とか“黒”とか使われる。
判らないものだからこそ、暗に闇に準える。
判らないものだからこそ……
不意に湧き上がる、あの感覚。
欠片の予兆を感じれば、黙ってペンをその場におく。
足元に“穴”を開けて自分を落とす。
誰も入ってこれない、誰にも判らない。そんな超空間の結界の中へと、自分を落とし込んだ。
小さな小さな異空間。
言わば隠し部屋、ポケットディメンション。
辺りには何もなく、何の色もない、異なる次元にて異なる場所。
その内で泣き、喚き、叫ぶ。
独り。
――今の自分。
タガを外す。
抑えてた衝動を解放する。
ただ独りしかいない場所で、狂ったように喚き散らしては暴れる。
すぐ目の前に在った死の恐怖を、不可解な事に対する恐怖を、不条理な事に対する恐怖を。
領分も器も越えた、横暴なまでの存在に状況に対峙していかねばならない――その恐怖を。
それらが頭の中を己を蝕み蹂躙し、“私”を介して私の外へと発散する。
どの位の時間が経ったか。
その衝動から少しだけ己へ戻された思考の余地から、ばらばらのピースを組むように集め始める。
私 ハ 誘う
誘う――濁はいらない――清と静を持って制を成す。
私 ハ イサナ
私 ハ 見据える
見据え――其は正邪善悪虚実総てを見、識り、それを酌み、汲む。
私 ハ ヒトミ
言葉の力を汲み、辿る。
己を強く持つ、日常への回帰の道をたどる。
『援軍は期待できない。それでも、何とか護り通してくれないか?』
『お前達がちゃんとやってのけてくれりゃ、そうすりゃ何かあっても、俺達は無駄死ににゃならねえからな』
駆け巡る衝動の中で、伝言者の……否、特攻者の言葉が響く。
『貴女はとくべつだから、皆期待しているんだよ』
『ボクの方はアレにあんまり近づけないからさっ、君の方でガンバってくれよ♪』
『……ズルイ……なぁ』
生まれた時から言われ続けた、周りからの期待の言葉と
ついさっき言われた彼女の、羨望含めた懐疑の音が木霊する。
オーヴァード同士で子を編む事が珍しいわけじゃない。
だけどそのオーヴァードの力が、バランスよく共存して出るとは限らない。
純粋とも言えるほどに1つが強く発現した上で、もうひとつシンドロームが発現している事例は稀なのだと、まだその≪亜純血≫がどういうメカニズムで現出するかは判らないのだと、そう聞いている。
――判ってる。
私はアイツとは違う意味で、期待されてる存在だって。
アイツ程に“とくべつ”じゃないだろうけど、それでも稀な存在なのだと。
ウィルスをオーヴァードを解明する上で、とても稀な検体なのだと。
――判ってる。
“とくべつ”だから責がある、やれる事と立ち回りがある。
その清濁を意味を見通しているから、だから面倒が来てるんだって。
面倒事を鈴なりで持って来てしまう、トラブルメイカーの面倒も含めて。
――判ってる。
私はズルい、その上で私は誤魔化してうまく立ち回る。
自分の意志を持ってその色を、誤魔化し見せぬよう立ち回る。
その立ち回り、それ自体が真色であるかのように、立ち回る。
……だって
私が色に利益に衝動に、身を意志を完全に任せてしまったら。
仄かな灯りの様のように、はっきり判るよう見せてしまったら
その時は衝動の先が示すよう、破滅に死にしか繋がらない。
異世界の因子、感情にて衝動
ウィルスが起こす衝動だけではなく、年頃の高校生が持つ様な感情的な衝動もその一つ。
それは己へ落せば今まで律せられた因果が歪む。
ゆっくりと悪魔の影が落ち、そして死神の瞳が見据え出す。
下手に黒い渦に身を任せれば、その先には付けてはいけない黒星――無明が待っている。
その先にあるのは真闇たる死。黒星の門が口を開けて佇んでいる。
枷付け律するだけでは膨らみつづける、そして最後にはパンと弾ける。
それじゃただの爆弾だ。
それじゃダメだ、時限爆弾になったらいけない。
だから日常のその最中で、それとなく因子を衝動を交えて発散させている。
例えば、悩みまごつく年頃女のうざさと消極性
その対象にアタリをつけて後押しするような行動と鍵をそれとなく渡して、厭気を発散させてみたりとか。
例えば、皆が可愛いおいしいと噂する猫鍋という冗談を交えて
レネゲイトビーイングを食べてみようとして、不可解さと隔意の壁を薄らげたり……とか。
例えば、
何でもかんでも食らおうとする底抜けバカの派手な行動、トラブルメイカーの狂気の宴にて強気の演
それに真っ向正面から同じ手札で
つまりは隔意たる科白回しと感情と、そして少しの行動を持って敢行をしてみたりとか。
それだけでは当然足りないわけで
それでも足りないヤバイヤツは、こういう処でこうして発散するわけだけどさ。
まだ身体はカタカタ震えてるけれど、大きく息をついては空を仰ぐ。
身体を投げ出し大の字に寝そべる。
上も下も当然何もない、ただただ独りしかいない異空間の虚空を見つめる。
外は大した時間は立ってないはずだけどね……
よし、震えも消えた。
もう大丈夫。
軽く目を瞑り、思考に入る。
しかし今回は反省点いっぱいあるけれど――
一番ヤっちゃったのはどう考えても、“名前”を言っちゃったことだよな……。
傍からは「そんなコトが?」と笑われそうなことだけれど、あれは流石に流石に、なあ……。
アレは割と、油断したと今でも思う。
意識して“名前”だけは言わないよう、そう気をつけていたんだけどな。
どこぞのどバカが軽率行動ばっかやってくれるモノだから、イラついてたとかも言えるんだけど
どこぞのどバカの軽率行動が引き金で、どうやらあと一歩で全部――本当に世界も日常も何もかも、統べて喰らいつくされカードも奪われる処まで行ったからだとかも言えるんだけど
言ってしまった前にあった事を、言い訳になんて出来はしない。 即訂正はしたものの、やはり言葉の力って強いよね。
言ってしまった後に告げられたのは、予測に難くなくそのどバカの死……
否、私まで含めたUGN・Y市支部の死期告知。
言ってしまった後に齎されたのは、予測に難くない支部の仲間の死気と指揮。
それしか手が無いとはいえど、確約された彼ら大勢の死の予兆――死期の告知だったのだから。
衝動に身を任せていたら、黒猫が現れ不吉を死を告げにくる。
魔の使いたる名も無き黒は、双眸で総てをいつでも見据えている。
――判ってる。
私は黒、私は空、私は力。
私は生まれついてのオーヴァード、UGNの工作員。
虚無と空間、時を司りし亜純血。
その身は破壊にはおよそ向かない、柔に殉ずる追放者。
その力は破壊にはおよそ向かない、されど在りし総てを支配せしめる時と力と空間の統御。
律せぬ力は悪魔と化す。
力に酔わず、沸く衝動にも流されず、律する為には意志がいる。
それもその力を統べられる程に、受け入れ捌け手繰れる程度のモノがいる。
知り、認識し、細まで全てを零さぬよう
細かく広げ、その総ての見えざる色を手繰る為には
その広がりに細かさに、応じられるだけの強い意志が
――誰にも負けぬ精神力が。
それこそ
矮小なりし弱き人が、読めず見えぬ抗えぬ……言わば神の意すらも超えて、手繰る。
見えざる手すらも飲み込み為す、その覚悟と精神力が。
黒にもちゃんと、色はある。
真黒の瞳に色は無い。
色と言う名は、名前は無い。
神の居住まい、己の意志は強く持とう。
視えぬ見えざる他が意思と違える事を恐れることなく、その意を汲んで立ち回ろう。
何時か来る
存在するなら抗う事なぞできない確約の時、終わりの時まで
言うなれば神の意志とも定めとも、絶対的とも言えるであろう
死期が来る、その時まで
色なき色を知られる事無く、罪たる真を気取られなきよう
追放されし魔神が真色を、染め出すこと自体が罪(シン)たること。
流されし追放者には濁はいらない、芯なく揺れ揺蕩い水鏡を澄ます。
見据えし魔神は見通して、切り札の切り方だけは違えてはならない。
ましてや神殺しの鳥なぞ齎しては――ならない。
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ゲームの副題:とくべつなもの、に掛けた上で
何で瞳ちゃんはいつもクールなんだか、己をあんまりだそうとしないのか
(多分に)シキ君の保護者? をなぜやれてるのか、そんな理由。
後ついでに、地道に日常おバカパートのきちんとした理由も。
プレイヤーメンバーの名前は全部掛けたつもりです。
駄文の元ネタはガチでキャラシート&フレーバー説明通り。
終了時点分を全部書きだします。
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キャラ名:伊弉 瞳
コードネーム:NoName
ワークス:UGNエージェント(UGNチルドレン上がり)
カヴァー:高校生
年齢16、女性、160/48、AB、磨羯宮
シンドローム:バロール/エグザイル、オプショナル:無
肉体2感覚2精神6社会2
技能:精神:RC4、意志1
<ライフパス>
出自:結社の一員
経験:平凡の憧れ
邂逅:神居獅貴/友人
覚醒:生誕 衝動:恐怖
<エフェクト>
エグザイル:異世界の因子
バロール:死神の瞳3、因果歪曲、悪魔の影
<イージーエフェクト>
バロール:ディメンションゲート、ポケットディメンション
コンセントレイト:バロール2
Dロイス:≪亜純血≫
会得:バロール:“黒星の門”
<ロイス>
▽プレイヤーメンバー
神居獅貴:畏敬/隔意
白百合ほのか:期待/嫌気
しぶちょ〜:尊敬/不可解
▼NPCメンバー
UGN同期:仲間意識/恐怖
噂好きの学友:憧れ/隔意
春日部恭二郎:憐憫/危機
タイタス/昇華:ともに無し
Sロイス:神居獅貴、維持成功。
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余談:磨羯宮
一々山羊座を“磨羯”と書いたのも
・磨くもの。
・去勢した黒い羊のこと、大意は“行きなさい”(=羯)
・逆転させると羯磨、受戒/懺悔の儀式作法。
冬|>実りなき時期、冷たい気、澄んだ空。
山羊座|>別名:死者が潜る天国の門として「神々の門」、太陽の南の門。
山羊座の三角に総ての惑星が揃ってしまうと、世界は炎に包まれて滅びる。
(余談:神々の門の出口は蟹座。プレセペ星団/積尸気(シシキ)が有名)
後にこじ付けとしてつけられた山羊座神話にでてくるパンという神様は、パニック(恐慌)の語源。
その恐慌は、人に外に伝染する。
!何か調べたらでてきたので。
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