◇――――――――――――――――――――――――――――◇

 

 GM
 いえーい

 ぼーず
 では昨日の続きですね! おさらい!

 平ゆな
 いたいのー、でもふたりにはなんもなくてよかったのー

 真下 愛
 ドクペの方が美味しかったですぅ

 ぼーず
 うんうん、天使だけどよくはないよね? ゆなちゃん

 ぼーず
 味よりももっと多大な問題があった気がするね? 愛ちゃんもね

 ぼーず
 ちなみにルートビアをもっと臭くしたような奴だよ

 真下 愛
 自分がやる方に回るのほぼ初めてでぇ
 ボケてみたくてぇ

 ぼーず
 GMのかなしさ

 平ゆな
 私は普段以上に分かりやすくぼけてみたのー。
 だって、RW世界だからっ

 ぼーず
 うん、君今邪毒でそろそろ《リザレクト》もヤバいかな? 状態だからね、俺のせいなんだけど(いい感じに歯を見せて笑う

 平ゆな
 いたいのー、くるしいのー

 ぼーず
 笑顔なのが一層キツいからやめてぇ

 平ゆな
 ぴえん

 ぼーず
 じゃあキツいシーンからスタートだ


◆――――――――――――――――――――――――――――◇

【Seane-3】

◇――――――――――――――――――――――――――――◆

 ぼーず
 登場はソレイン……なのかどうなのか、ちょっと怪しい真下愛さん

 真下 愛
 フォーリンレインです


 
◇――――――――――――――――――――――――――――◇


 衝動のままに、レイニーデビルに導かれ街をゆく。
 アラートでもかかってますが、前回倒した亀どもがゾンビ化? してまた攻勢をかけてるようです

 真下 愛
 守らなきゃ。
 だから殺……倒さなきゃ

 レイニーデビル
 君を連れ出したレイニーデビルは数度、自身にかかる火の粉を振り払う程度で

 レイニーデビル
 君の戦いぶりを高みの見物といった感じ

 ぼーず
 こいつらに指揮官たちはおらず、厄介な耐久力(タフネス)と数を揃えた破壊の波ではありますが、ヒーローたちに押し留められている状況

 ぼーず
 君も軽く力を振るうだけで倒せることを自覚していい

 ぼーず
 ……そして君自身の攻撃力が段違いに増してることも

 真下 愛
「あははぁ……いっぱい いっぱい。
 やっつけてぇ…… 守らなきゃ」
 
 そこらに転がってる大振りなナイフを拾い上げて。
 無造作に振り上げて 振り下ろす。

 ぼーず
 さて、

 ――とはいえ
 雑魚でもなんでもこれだけの数がいれば、当然、目の届かないところ、限界は、ある。
 喧騒から少し離れた袋小路の路地、金網を背に、一人の少女が屍の怪物と対峙しているのが見える

 ぼーず
「た、助けて……お願い……あっちいってぇ……」
 ポニーテールに結んだ髪が恐怖に揺れ、涙声でへたり込む少女
 勿論そんなことは怪物には関係がない、ぞわぞわと体を覆う群青の腐汁を波打たせてじりじりと餌食ににじり寄る

 ぼーず
 ちょっと遠目にはゆなに似た雰囲気の子かもしれない

 ぼーず
 という所でさっそうと、ね

 真下 愛
「ゆなちゃんにぃ……手を出すなぁ!!」
 
 《影走り》で瞬時に間合いを詰めて。
 浮かんでいるハート型の魔眼が煌めいて相手の動きを阻害して。
 《瞬足の刃》《暴君の槌》《吠え猛る爪》《コンセントレイト:バロール》で手に持った武器を無慈悲に振り下ろす。

 ぼーず
「GRAA!?」
 君の必殺の一閃はは過たずに敵を一刀両断にする。重力と真空の波に引き裂かれた敵は防御も許されず沈黙する

 ぼーず
 もうダメだと頭を抱えて怯えている少女がおずおずと目を開ける
「……~!! ……ほえ?」

 少女
「え? なんで……あ、貴女は」

 少女
「え!? あ、”ソレイン”さん、愛ちゃん……?」

 真下 愛
「うん、愛ちゃんだよぅ。
 怖かったねぇ もう大丈夫だよ」

 少女
 よくよく見ると彼女は鞄に君たちのグッズをつけている

 少女
 ひときわ目立つのはショートカットの緑色の服を着たぬいぐるみ
「あ、ありがとうございます!! 私、ファンで……えっとその、アルコイーリスの!!」

 真下 愛
「この辺はまだ危ないから。
 ちゃんと避難してねぇ?
 次は守りきれるかわからないのでぇ」

 少女
「愛ちゃんが推しで……あ、えっとこれも、自分で作って」とぬいを見る

 少女
「は、はい……ひっ!」とここで亀に気付いてちょっと腰を抜かす

 真下 愛
「ふふ ありがとねぇ。
 そっくり?」

 少女
「あ、は、はい……えへへ、すいません、びっくりしちゃって」

 真下 愛
「さぁ、しっかりしてくださいねぇ。
 ちゃちゃっとボクがやっつけちゃうんでぇ」
 
 そっと手を出して。
 
「立てるぅ?」

 少女
「あ、は、はい……」おずおずと手を取る

 少女
「~~!!(か、かお近っ! まつ毛長い……遠くで見るよりずっとキレイ)」
 真っ赤にしながら立ち上がり

 少女
「あ、ありがとうございます」とここでようやく安堵の笑みを心から浮かべる

 真下 愛
「握手会じゃないから、手を繋いだのは内緒ですよぅ?」

 可愛らしくウィンク。

 真下 愛
 ああ 笑顔があの子みたいでカワイイなァ

 少女
「は、はい! 今日助けてもらったこと忘れません! 2人の秘密、ですねっ!」

 少女
 向き合ってちょっと名残惜しそうに手を離すと、背を向けようとする
 ふわり、と揺れた髪の匂いが鼻腔をくすぐる

 真下 愛
 ああ なんか繋いだ手がドキドキするなぁ
 
 良い匂いだなぁ クラクラしてきたなぁ

 真下 愛
「うん ボクたちだけの」
 
 反対の手に持ったままのナイフを振り上げる。
 
「秘密だよぅ」
 
 そして、そのまま振り下ろした。

 少女
 ゆらゆらと、よく知るその子のようにあいらしく
「じゃ、私邪魔にならないとこに、またライブいき――」ちょっと名残惜しそうに、君に振り向こうとして―――

 少女
「え」と言葉にならない声を上げる、肩に振り下ろされたナイフの柄をありえないものを見るように

 フォーリンラブ
「ごめんねぇ。
 もうライブには来れなくなっちゃった」
 
 うっとりと陶酔するように。
 
「でもね、でもねぇ。
 君の血を浴びたら すっごいドキドキしてすっごいクラクラするのぅ。
 これってぇ きっと恋だよねぇ?」

 少女
 なんで、と口が動く、涙が渇きかけた顔が苦痛に歪み、ごぽりと鮮血が口から漏れ出す

 少女
「ぁ……ん、で……」鮮血を散らし、糸が切れたように少女の体が水溜りに沈む

 フォーリンラブ
「ほらほら 好きになっちゃったからさぁ。
 好きな子にはアタックしないとダメって言うじゃない?
 だからねアタックしてね、殺すとね ああ、好きなんだーって気持ちがね」


 しかし――誰も知られることはない。
 ざあざあと降りしきる雨が、暗い路地を一層暗く隠す

 フォーリンラブ
 死んだことを理解すれば。
 恍惚とした感情が顔から抜ける。
 
 真顔になったそれで。
 
「……この子じゃなかった」

 少女
 光を失った目が、浮かべた涙をそのままに少女を見る、いや、もう見てはいないのだが――

 レイニーデビル
「フ、フフフ」

 レイニーデビル
「素晴らしい、素晴らしいわ……ああ、ここまで使いこなすなんて!!」

 レイニーデビル
「やはりお父様の目に狂いはなかった。
 誰より優しい貴女、誰かのために、護るために全てを投げ捨てられる勇気ある貴女」

 レイニーデビル
「その名の通り、誰よりも愛深き故に、悩み進む強い人――だからこそ一度堕ちれば極上のヴィランとなる」

 レイニーデビル
「祝福しましょう、この誕生を! 我が妹、我が同盟者。
 天気雨は今、闇に呑まれた。狂おしく、甘く、深い深い絶望と愛の淵――

 レイニーデビル
 ”フォーリンラブ”。その名を刻みつけましょう」

 レイニーデビル
「我が君の名の元、曇ること知らない日輪に――」

 レイニーデビル
「行きましょう、”ゆな”がまってるわ――」

 レイニーデビル
 そうフォーリンラブに囁いたところでシーンカットぅ!


 
◇――――――――――――――――――――――――――――◇

 
◆――――――――――――――――――――――――――――◇

【Seane-4】

◇――――――――――――――――――――――――――――◆

 ぼーず
 ん、悪だくみ完了、ではシーンが変わってアルコイーリスの事務所、ゆなが目覚める所からです


 
◇――――――――――――――――――――――――――――◇

 ――、――。
 
 すっきり。
 とは言わないまでも、痛み止め×睡眠薬が切れて。
 目が覚める。

 平ゆな
「……いあい……」
 ”痛み止め”も切れますよね、そりゃーね。
 
 お水、お水……。
 ちっちゃな手を伸ばす、たわたわ。
 ペットボトルを手に取って。

 ぼーず
 正直寝覚めとしては最悪の部類でしょうが、事務所はとても静かです

 ぼーず
 暫くは薬で寝てましたが、外は夜と見間違う位の大雨、まっくら

 平ゆな
 蓋を開けて。
 こく、こく、こく……。
 
 ふぅ。
 
 ”静かだなあ……”

 平ゆな
 ちょっと寂しい、ひと恋しい。
 でも、ひとはいない。
 ぬいぐるみー、どこー……

 ぼーず
 そしてこの時点で無意識にリザ繰り返して限界が来ているので……傷が全然ふさがってません
 気付くとかなり分厚く巻いた包帯やガーゼの上から血みどろ、ベッドも

 平ゆな
 ”もう夜かあ。大雨だー……”
 
 傍のヒーローズクロスが真っ赤っか。
 ……うーん……。

 ぼーず
 さてそんな風にしているとですね

 ぼーず
 声が聞こえます、マリーシャの声かな
 病室の外、リビングにあたる部の方

 マリーシャ?
「……あら? ゆなー目が覚めたかしら」

 平ゆな
「おあおー、れいちゃーん。
 まっかなのー……」

 平ゆな
 ほんとに、いろんな、いみで。

 マリーシャ?
「あら……大変ね、こっちにこれる? 小鳩も愛もかえってきてるわよー」

 マリーシャ?
 いつもなら。
 いつもなら、言わないであろう。彼女にしては配慮の足りない提案

 平ゆな
「うん、いくー……」
 のそのそ、ぼてっ。
 倒れては、起き上がり。

 マリーシャ?
「おとうさんとおかあさんも、もうじきくるわよ」

 平ゆな
 ちょっとふらふら。
 でもゆるゆる、からの、ぼて。
「レイちゃーん、てつらって―……」

 マリーシャ?
「……」ぎぃと扉が鳴る音がして、足音

 マリーシャ?
 きみの目に2本のすらりと伸びた足、死人のような、艶のない色

 マリーシャ?
 見下ろした誰かは言葉を続ける
「あら。随分弱っているのね、なら手間が省けるわ」

 平ゆな
「おふおー」
 見上げる。
 はて、色がちょっと違う。
「レイちゃん―、おいおなおし―したー?」

 レイニーデビル
 倒れた体に覆いかぶさるように、巨大な影が落ちる、大きな手のようなそれは――そのまま叩きつけるように落下し

 レイニーデビル
 そのまま、蹲ったゆなの全身に叩きつける

 平ゆな
 ぷえ?!
 なんか、なにか落ちてきたっ?!
 
 ――ドンッ!
 
 爆発・炎上・熱気が爆ぜる。
 《災厄の炎》が、暴走する。

 レイニーデビル
「……!!? くっ」
 手ごたえはあるが必殺には至らず、ぶすぶすと煙を上げる骨の手を咄嗟に引き戻し

 レイニーデビル
 ここでごたいめーんかな

 レイニーデビル
「……あらあら、随分と酷いことするのね、ゆな」

 平ゆな
 ――ちり、ちりっ。
 ――ぱち、ぱち、ぱち……。
 
 暴発した紅炎が、事務所を焼く。
 一発破壊には至らなかったが、リネンのように燃えやすい代物を着火する。

 平ゆな
「やーやっちゃったっ!?
 レイちゃん、大丈夫!!???」
 飛び起きる。

 平ゆな
 当人もぶすぶす、と、肌や包帯が焦げている。

 レイニーデビル
 暗い廊下が炎の光で照らされる――暗がりの中、初めてお互いの顔を見合わせる

 平ゆな
「レイちゃん?
 ――新しい、こすちゅーむ?」

 レイニーデビル
「こんにちは―”プロミネンス”。挨拶するのは初めまして、ねぇ?」

 平ゆな
「ぢゃなくって!?
 ごめんレイちゃんやっちゃったっ、消火、消火っ。
 おねがーいー!!?」

 平ゆな
 ???
 ハテナマークがいっぱい浮かぶ。

 レイニーデビル
「その炎は、消えないわよ?」
 そういうとボンっと更に爆発して瞬く間に火の手が広がる

 レイニーデビル
「知らなかったのかしら? 貴女のその悪魔の火は水掛けたくらいじゃ消えないの……オーヴァ―ドなんだから」

 平ゆな
 いつもの熱気、いつもの爆発。
 やっちゃったのは自覚してる。
 けど、なんか……あれ……。

 平ゆな
「だから、オーヴァードのレイちゃんに頼んでる」
 活舌がしっかりしだしてる。
 ”いたいくるしい”にわめいてる、言い方変えたら治す方に傾注してる場ではないから。

 レイニーデビル
「無理よぉ? だって私にそこまでの力はないし――それに」

 レイニーデビル
「ここには”誰もいない”、貴女しかいないんだから、プロミネンス」

 平ゆな
 ???
 またハテナマークが浮かぶ。

 レイニーデビル
「レインメーカーも、ソレインも、ここには居ない――ということよ、お分かり?」

 平ゆな
 首を横に振る。
「おわからない」

 平ゆな
「あーもしかして! レイちゃん拗ねたっ!?」
 さっき”挨拶するのは初めまして”いってたもんね。
 
 てふてふ、近づいて、はぐっ。
 抱き着いて。
「レイちゃーん、おかえーりー」
 と、キスをする。

 レイニーデビル
「!? 何を……!」とっさに近づかれた瞬間、《自動触手》で反撃

 平ゆな
「ぷにゃあ!?」
 さくさくさく、つらぬかれる。
「いたい―、レイちゃんの愛が痛い―。
 いつものあいさつしただけなのに―」
 と、貫いてきた触手に軽く口づけて、レイちゃん向けに投げキッス。

 レイニーデビル
「……私は、レインメーカー、じゃない!」と叫んで忌々しげに拒絶

 レイニーデビル
「怪我のせい、と思っていたけれど頭までゆだっているようね!
 いいわ、ならその頭でも理解できるように教えてあげる」

 レイニーデビル
「――来なさい、フォーリンラブ」

 フォーリンラブ
「ねぇ ねぇねぇねぇ。
 ひとつ聞きたいんですけどぉー
 
 レイニー、君 ボクの邪魔をしてるのかな? かな?」

 レイニーデビル
「は、はぁ!? ええ、何を言って」

 フォーリンラブ
「ゆなはねぇ……ボクが殺すの。
 恋してるから。
 邪魔してるよね? 邪魔だよね?
 君 いま ゆなを殺そうとしたよね?」

 平ゆな
「あ、そーちゃーんv おかえーりー」
 でびるんに抱き着いてた(けど貫かれてる)
 その状態から、片方の手を腕を広げて、かもん・ハグ体勢。

 平ゆな
「ん???」
 なんか今すっごく物騒な単語が聞こえたぞ? 気のせいだよね。
「ハグ―」

 レイニーデビル
 なら一瞬取り乱した顔を不敵にゆがめて
「あら、そういうことね、そうよ? 早くしないと――私が殺すわ」

 フォーリンラブ
「ハグー」
 
 すっごいキラキラした笑顔で近づいてくる。
 愛の頃だと、仕方なしを装っていたけれど。

 平ゆな
 頭の奥が警告音を発してる
 けど、それはなるべく無視”したい”。
 否、無視している。
 
「ハグ―っ」
 レイちゃんとそーちゃんをはぐっ。
 からの、そーちゃんにキスっ。

 フォーリンラブ
「あははぁ……ドキドキする。
 やっぱり恋だよねぇ これぇ」
 
 そしてノータイムでゆなを刺した。
 これってボクの愛なの。

 レイニーデビル
「ええ――ハーグ」
 無表情で
 ハグの腕を左手でいなし、ザクリと右手のカギ爪で喉を裂く

 平ゆな
「あ」

 平ゆな
 ごふり。
 喉から血があふれ、はらわたを貫かれ。

 レイニーデビル
「少し、面食らったけれど……哀れなものね、こうなるまで信じない――いや、『信じたくなかった』のかしら」

 レイニーデビル
「アルコイーリス(わたしたち)が、もう『死んでいる』ことに」

 平ゆな
 警告音は分かってた、だけど耳を貸す気は一切ない。
 だって、そーちゃんだもん、レイちゃんだもん。
 
 ”例え何かに変質して、ヴィランと変わっていても”。
 
 だって、

 フォーリンラブ
「…………
 2回目だよ、レイニー」
 
 刺したナイフを引き抜いて。
 ハヌマーンの速度とバロールの重力操作でもって恐ろしい速度でレイニーデビルを斬りつけた。
 
「『ゆなは傷つけさせない』!!」

 平ゆな
 ”――ふたりは、やさしいから”

 レイニーデビル
「あら、怖い怖い……やっぱり制御が効かない、か」

 レイニーデビル
 骨の翼を展開し、攻撃を削ぎ落とす

 レイニーデビル
「貴女(フォリラ)に任せても――いいけれど、折角だから仕上げは2人で同時にやるとするとしましょう」

 平ゆな
 手でのどを覆う。
 薄く焼き、血をとめる。
 
 腸は手が回らない、そもそもそれどころじゃない。
 ぼたり、ぼたり、血がしたたる。

 レイニーデビル
 バネのように跳ねると瞬時にゆなの側へ、糸の切れた人形のようになった体を抱える

 フォーリンラブ
「お前が邪魔しなければ、今頃ユナでもっとドキドキできたのに!
 できたのにぃ!!」
 
 ゆなを守るような位置取りにつく。
 血の滴る刃物さえなければ、いつもと同じ立ち位置。

 レイニーデビル
 強烈なレネゲイド物質が散布される向かうソレイン、支えるゆなに向けて最後の一撃
 すなわち堕落の最終段階――《堕ちる絶望》。

 レイニーデビル
「悲しいわね、貴女も。まだ多少笑気が残っているのかしら」

 レイニーデビル
「バケモノのくせに、堕ちれば牙向く怪物でしかないというのに、愛や希望に縋る」

 レイニーデビル
「一皮むけばそんなもの、愛ゆえに人を殺す獣、希望を与えると嘯きながら、灰にする悪魔」

 レイニーデビル
「いいのよ、そんな仮面は捨てて、あるがままの自分へと堕ちましょう。
 ――アイドルも、ヒーローも、全ての偶像を今ここに殺しましょう」

 平ゆな
 《堕ちる絶望》がくる。
 とっさに、そーちゃんを庇うように抱えてハグをする。

 平ゆな
 ”ちがうもん”
 ”わたしも、そーちゃんも、ずっとずっと、正気だもん”
 
 びくり、のどが天を仰ぐ。
 まとめて喰らう、《堕ちる絶望》
 
 【アルコイーリス? 大仰だな、よくわからん連中の癖に】
 【もう終わってんだよ、オーヴァードなんざ】
 【一皮むけば悪魔だろ、コワイコワイ】
 
 幾度も聞いた、幾度も泣いた。
 言葉が増幅されて、リフレインする。

 レイニーデビル
 ここで極大の爆発を起こす
 燃えていく、3人の時間夢の始発点。アルコイーリスの全て
 予定の詰まったホワイトボードも、ファンの想いの詰まった手紙も、研鑽した歌と踊りの汗が染みついたレッスン場も
 今までの――全てを飲み込んで、黒い感情をかきたてる憎悪の波動が辺りを包む。
 
 ――――――《落ちる絶望》発動。

 平ゆな
 つけている、ヒーローズクロスが
 赤から紫へ、そしてどす黒く変わっていく……。

 平ゆな
 ガタガタと、ふるえがこみ上げる。
 
 ぎゅっと握る
 いつも持っている”思い出の写真”を。
 そーちゃんの袖を。
 
 心の支えを、その熱を。
 温かさを。

 フォーリンラブ
 斬りかかろうと振り上げた腕が、ゆっくりと降りる。
 
 ぎゅっと握られれば、安心させるようにそっとその指に触れた。

 平ゆな
 ふれられると、にへら。
 力なく笑う。

 ”うん……。
  わたしは、だいじょうぶだよ、そーちゃん”

 ”ありがと”

 と、心の声が聞こえてくる。

 平ゆな
 《堕ちる絶望》が舞う空間。
 ソラリスの化学物質が舞う空間。
 
 絶望を引き起こす幻覚/伝達物質が舞う空間。
 それはつまり、
 
 ”想いが伝わる”空間。

 平ゆな
 ”――なら、私は愛を歌うよ”
 ”ーーそーちゃんにも、れいちゃんにも、みんな、みんな”
 
 ”一皮むけば、獣で悪魔というならば”
 ”一皮むけば、安らぐ光の天使なのだから”

 平ゆな
 ”そーちゃんは、ここにいる”

 平ゆな
 ”レイちゃんだって、そこにいる”
 
 ”あなたがどんなに《レイちゃん》を否定していても”
 ”あなたがどんなに《そーちゃん》を殺したと嘯いても”

 平ゆな
 触れられた指に、手を添えて。
 
 ”――レイちゃんがいるのは変わらない”
 ”そーちゃんが、がんばっているのだって、変わってない”
 
 ”しんでなんていない”
 
 ”深い愛を以て”
 ”ふたりは、そこに、在るのだから”

 レイニーデビル
 炎が上がる、力なく結んだ手を眺め、終わりを予感する

 レイニーデビル
 だがしかし――望んでいた変化は訪れない
「……? なぜだ? 何故変異しない、堕ちれば何らかの変化が――

 レイニーデビル
 そこまで口に出し、気付く。
 燃え盛る火の音に交じるかすかな旋律、いや音にすらならない確かな”歌”

 レイニーデビル
 崩れ落ちた人形を見る、狂愛の殺人者の寄りそいながら、その唇は確かに、歌を口ずさんでいた

 レイニーデビル
 溢れんばかりの愛を、祝福を
 偶像に過ぎない、カタチのないうつくしいものを
 めいっぱいに肯定し、歌を紡ぐ

 レイニーデビル
 ――やめろ

 レイニーデビル
 声に出したのが己だったことに気付く
 恐れに気付く、ここまでしてなお犯せない光に慄く

 レイニーデビル
「やめろ、やめろやめろやめろ!! 貴様、その歌を―!!」
 恐怖のまま無防備な背中に爪を振り下ろし――

 フォーリンラブ
「3度目だよぅ、レイニー!!」

 レイニーデビル
 狂乱の一撃、あまりにも大ぶりなその一撃は十分な威力を持っていた――はずだった

 フォーリンラブ
 風がその威力を凪ぐ。
 
「ボクが殺すって言ってるのにぃ。
 悪い事をしちゃう手は要らないよねぇ?」
 
 そして刃が鋭く躍る。

 レイニーデビル
「————!」迎撃する刃をそのまま断ち切らんと骨を刃にかえようとするが

 ???
 刹那――骨の内側から伸びた白い手がそれを空中で掴む

 レイニーデビル
 刃に挟まれる鮮血――その血肉は骸骨の腕を強かに濡らし、滑らせ―

 レイニーデビル
「が、あああああーーー!」刃が、その腕を断ち切った

 レイニーデビル
「わ、たしの腕――お父、様の――」

 レイニーデビル
 落ちたその手からボロボロと、黒い炭になって体が崩壊していく

 フォーリンラブ
「あは あははは あははははは!!
 レイニーもクラクラしちゃいましたぁ?
 ボクはちょっとクラクラしてきちゃったよぅ」

 レイニーデビル
「”お前”――きえ――は――――」最後に怨みとも困惑ともつかない言葉を残して

 レイニーデビル
 雨降りの悪魔レイニーデビルは消滅した



 フォーリンラブ
 レイニーが倒れたのを見届けて。
 
「さぁ、ゆなちゃん!
 ……恋に堕ちよう? いっぱい愛(殺)してあげるぅ」

 平ゆな
 薄く笑う
 安堵の笑みとも、困惑の笑みともとれる笑み。
 糸が切れたよう、意識が喪われ、身体が崩れる。

 平ゆな
「そー……ちゃ……」

 フォーリンラブ
「今度こそ、刺して捻って舐っていっぱいっぱい愛してあげる。
 ボクねぇまだまだぎこちないけど、きっととってもドキドキしてクラクラできると思うんですよぅ」

 フォーリンラブ
 そして倒れたゆなに向けて。
 ナイフを逆手に持って突き入れようと―――

 ???
 ぴくり、と背後にうごめく気配

 ???
 燃え落ちた骨(レイニーデビル)の灰、その黒い塊がもぞもぞとうごき組みあがり、ひとつの形をとっていく

 ???
 ナイフが振り下ろされる刹那、『それ』はするりとフォーリンラブの背後に回り

 ???
 がしり、と腕の形を取り拘束する

 フォーリンラブ
「誰ぇ!?」

 村雨タイガ
「ヤ、メロ」

 ???
 ゾワゾワ組みあがるのは黒色の骸骨、それは斬り落ちた巨大な右腕に融合し――

 ???
 立ちはだかるように少女を護ると、ゆっくりと鉤爪をフォーリンラブにむける

 村雨タイガ
「ゆなに ちかづくなら

 ???
 たおす」

 ???
 ナイフの届かぬ間合、不規則に動く骨の槍が死角から拘束しようと動く

 フォーリンラブ
「お前もボクの邪魔をするんだねぇ?
 邪魔をするやつは殺さないとダメですよねぇ。
 恋敵は蹴散らさないと」
 
 速度で多少は対応しようとするものの。
 すでに拘束されている事もあり、思うように動けない。
 
「なんで、ボクの恋の邪魔をするのぅ!?」

 村雨タイガ
「”あい”は

 ???
 そんなこと、のぞまない」

 村雨タイガ
「ころさない たおす お前はここで」

「捕まえる!」

 ガシガシと組みあがっていく巨大な手、既に体の半分近くを制圧しようとする、が、

 フォーリンラブ
「……今は勝てないですからぁ
 ここは引きますぅ」

 フォーリンラブ
「もう、ここには居られないしねぇ……」

 ???
 ぴくり、と一瞬拘束が緩みますね

 フォーリンラブ
 ゲートを開いて、そこに身を躍らせる。

 村雨タイガ
「!」飲み込まれる瞬間、体をバラして再構築

 フォーリンラブ
「最後にひとつだけ言っておきますけどぉ。
 ……燃えるの知ってて、爆発物を用意しないなんて甘い事をレイニーはしないですよぅ?
 もうじき、引火するんじゃないですかぁ?」



 その声を最後に、堕ちた恋は姿を消した。


 ???
 その言葉に身をすくませる

 ???
 骨から復活したソレは、己の体を組み上げる
 今のままの己では、彼女を救えない

 ???
 歩くための足がない、抱えるための腕がない
 人であるときの記憶はどうも朧気でそれでも来るべき破滅を避けに全力を尽くす

 ???
 必死で彼女に寄り添い、支えようと何度かココ見たところで、声がした

 小鳩
「ゆなー!! あいー! レイ……っ、ごほっ、いたら! 返事――っ、して」

 ???
 声が聞こえる。
 記憶領域に不備があるが、信頼できると確信できる声だ。

 小鳩
「……ゆな?」

 小鳩
 煤だらけの顔を拭い、煙にしかむ目をぬぐいながら倒れた少女に駆け寄る

 平ゆな
 血みどろで、気を失う歌姫がそこにいる。
 背を見れば貫かれた跡があり、喉からも血が滲みでて灼けていて。
 つけているヒーローズクロスはどす黒くなっている……。

 小鳩
「ゆな! ゆな! ……! 今、助けるから」

 ???
 彼女の足元に伸び、ふらつく身体を共に支える
 小柄な彼女では傷ついた歌姫を支えられない、肉を失った己では彼女を運べない

 ???
 しかし、2人ならば―

 小鳩
「……!? キミ、これ……ううん……」
 抱えようとして気付く、もうひとりの存在

 小鳩
 人と呼ぶにはあまりに足りない姿、でも今はそんなこと言っていられない

 小鳩
 それに――直感した。
 私は、この誰かを知っている。信頼できるモノだと感覚が告げていた。

 小鳩
「……レイ? ううん、そんなこといってるばあいじゃないね! ありがと! 一緒に出よう」

 ???
 燃え盛るビルの中、2人とひとつはよろよろと出口に向かう


 部屋を出る、階段を下る。
 その音が聞こえなくなった頃―全てを飲み込む煌炎が、夢の跡を塗りつぶした――


  ニュースキャスター
 「――それでは、次のニュースです」

  ニュースキャスター
 「……本日未明、XX地区で起こったビル火災につて続報です。
  この事故の火元はビルに入居していたヒーロー事務所、STUDIO『POPPO』からで―」

 ニュースキャスター
 「この事故で、2人が重体で現在、病院で治療を受けているということです。
  ――またこの事故で、2名の行方が分からなくなっており――」

  ニュースキャスター
 「警察では現在、連絡が取れていない『アルコイーリス』の”ソレイン”真下愛さん、”レインメーカー”マリーシャ・レイニーディさんの2人について情報をー」


 
◇――――――――――――――――――――――――――――◇

 

 ぼーず
 という無慈悲なニュースが流れたとこで

 ぼーず
 シーン、EDで!

 平ゆな
 わーっ。

 ぼーず
 すいませんね、長くなっちゃった
 でもゆなvsレニデビが美しかったのでよし!

 平ゆな
 流石に起床以後は次かなーですかねえ。
 美しかったならよきかなにっ。

 GM
 ですねー

 平ゆな
 ゴメンネさいしょちぐはぐに見えたかもだけれど平常運転はあれなのでっ
 奇怪になるようになるようにっ

 ぼーず
 ソレインがいい子過ぎてね、許さないぞグラトニー

 GM
 結構、動かしやすかったです愛ちゃん

 平ゆな
 ゆなはエンハイ感覚で気づくことは気づくんだけれど”無視をする”
 空気読んでて読まないからなあ。
 愛ちゃん動かしやすいなら何よりに。

 平ゆな
 がんばってSMの情緒を焼こう。

 ぼーず
 タイガくんは大分自由な肉体での登場に、若者の人間離れ

 平ゆな
 火で焼いた方が良かったかと思ったんだけれどまあ、ねえ、と

 平ゆな
 後しばらくのどは回復しない予定です、絶望が分かりやすいでしょ。

 ぼーず
 割と手拍子で大事なとこ攻撃やってしまった
 でも敵だし、冷たく、外道にね

 平ゆな
 だよ顔も命だが声も命だぞ!?

 平ゆな
 ついでにはらわた(だいじなところ)だぞ
 文字通り、クリティカルな場所にした。

 平ゆな
 ので起きた後のは、モノローグ(考えてること)か、光文字です、と宣言ね。

 ぼーず
 あまりイジメることに愉悦な外道というよりは、オーヴァードとしての乾き気味の絶望と仕事人的な冷徹さのあるヴィランを目指してみました
 ちょっとでも”怖さ”伝われば幸い

 ぼーず
 まぁそれこそリハビリで治して、それをドキュメンタリーにするのがショウアップでしょう>ゆなの喉

 平ゆな
 デス。

 平ゆな
 なので、次のシーンでは喉ズタズタです
 応急処置で焼いたからなおさらです。

 平ゆな
 (あとがまずくてもあの時はそうするしかなかったからね)

 ぼーず
 息繋ぐために一度焼いて傷ふさいじゃったから、《リザレクト》――とはいかん

 平ゆな
 実際のどにやけどの跡と爪痕残ってるんじゃないかな……

 平ゆな
 からドキュメンタリーに

 平ゆな
 この立ち絵でうってると遺影に見えてくるなあ


 
 
 
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