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【幕間】憎悪の獣
――Written by TsukiyaPlayer
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キャンペーン2話目にて。
月夜が暴走した時の奴の内的世界はこんな感じだった。
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――憎い。……ああ……憎い……許せない……
俺の中で黒い波が激しく寄せては返しを繰り返す。
――ダメだ!ダメだ!ここで呑まれちゃダメだ!
何のためにきたんだよ!!友達の家族を助ける為だろうが!!!
波に呑まれて、溺れて。何とか水面に顔を出そうと、息をしようと足掻きもがきを繰り返すけど、黒い海が鏡になってあの時の光景を映し出す。
「――――!!!!」
そう、10年前のあの日――全てが変わってしまった日。
目が覚めると母さんが、俺の上で冷たくなっていた……あの瞬間。
「あ……ああ……あ、 あ あ」
俺はもう抗えずに黒い海に沈む。息を止めることも放棄して、ただただ溺れに溺れて海の底へ。
ああ、何で……
何で俺は生きてる?
何で俺だけがオーヴァードとして覚醒したんだ?
何で死なせてくれなかったんだ?
死ぬべきは、俺だったのに。
俺がわがままを言わなければ母さんは死ななかったのに。
弟か妹だって生まれてこれたハズなのに。
……殺さなきゃ。
俺を。あいつを。
殺さなきゃならない。
こんな人間は、あんな人間は生きてちゃいけない……生きるなんて許されない。
こんな罪人を生かしているなんて許せない、許さない。
絶対に許されてはいけないんだ。
……何で生かしてるんだ?
何でこの世界はこんな奴らを生かしておいて平気な顔してるんだ!?
何で、どうして、何で、何で何で何で何で何で――――――!!!
――許さない。
絶対に、絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に……!!!
「――殺してやる……殺してやる!!!お前も!俺も!みんなみんな、みんな諸共にぶっ殺してやるッ!!!うあぁあああああああああああああッ!!!!」
そこにいたのはもう俺という人間じゃなく、ただ鎖で繋がれた憎悪に狂う獣だった。
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